グーグルのサンダー・ピチャイCEO
Beck Diefenbach/Reuters
- グーグルは、毎日24時間365日、クリーンなエネルギーのみで稼働する最初の巨大テック企業になることを目指している。
- カーボンフリー(二酸化炭素等の温室効果ガスを排出しないエネルギーを使う)になることは、気候変動への対策になるだけでなく、人材雇用にもメリットがあると、グーグルのサンダー・ピチャイCEOはブルームバーグに語っている。
- Z世代(1997年以降生まれ)は「環境を汚染しているような企業」では働きたくないのだろうとピチャイCEOは述べている。
巨大テック企業のグーグル(Google)では、温室効果ガスを排出せず、100%再生可能なエネルギー源にシフトするという野心的な目標を掲げている。これは気候変動への対策のためだけではなく、人材雇用のための戦術でもあると、サンダー・ピチャイ(Sundar Pichai)CEOは言う。
ピチャイは「これを正しく行わなければ、優秀な人材を引きつけることはできない」とブルームバーグに語っている。
「若い世代、つまり今の10代を見ていると、彼らが環境を汚染しているような会社で働くことを選ぶとは思えない」
従業員が在宅勤務制度の利用やリモートワーク手当について検討を進める中、巨大テック企業間の人材獲得競争は激しさを増している。2021年夏、グーグルは約1万人の社員から、リモートワークや勤務地変更の申請を受け、そのうち85%を承認した。
ピチャイCEOは、未来の労働者が就職先を選ぶ際、企業の持続可能性の取り組みを重視するようになると予測している。
ある調査によると、Z世代は地球温暖化がもたらす壊滅的な影響を強く認識しており、上の世代よりも気候危機に取り組むことを中心としたキャリア形成を目指すようになっていると、Insiderが以前報じている。そして実際に、環境関連の学位や仕事を目指す学生の数が増えていると、大学関係者がガーディアンに語っている。
ピュー・リサーチ・センター(Pew Research Center)が2021年4月に行ったアンケート調査によると、気候変動を「最も懸念していること」と回答したのは、Z世代が37%、ミレニアル世代(1981年から1996年頃生まれ)が33%だった。一方、ベビーブーマー世代(1946年から1964年生まれ)では「最も懸念している」が29%で、「重要な懸念事項ではない」が36%を占めた。
グーグルは2020年に、脱炭素化を2030年までに達成するとの目標を掲げた。これは巨大テック企業の中で最も積極的な環境公約と言えるだろう。2021年7月には、マイクロソフト(Microsoft)もこの取り組みに呼応し、毎日24時間365日のカーボンフリーを宣言した。
一方、アップル(Apple)は、2030年までにサプライチェーン全体をカーボンニュートラルにすることを目指している。カーボンニュートラルとは、同社が稼働するにあたって大気中に排出する二酸化炭素を、除去される二酸化炭素の量で相殺することを意味している。
アマゾン(Amazon)をはじめとする多くの企業がカーボンニュートラルを目指す計画を発表しているが、グーグルは二酸化炭素を完全に排出しない方向へのシフトを目指している。
ピチャイはブルームバーグに対し、この高い目標を達成するための「完璧な答えをまだ持っていない」ことを認め、2030年と期限を設けたことに関して「少しストレスを感じている」と述べた。
「あと10年早くこの取り組みを始めていればよかった。(気候変動による壊滅的な被害を食い止めるのに)間に合わないのではないかと不安でたまらない」
[原文:Google CEO says companies that fail to go carbon-free will lose the talent war]
(翻訳:仲田文子、編集:Toshihiko Inoue)