グーグルクラウドを最近退職したバイスプレジデントのサンジ・バイロ。
Google Cloud
グーグルのヨーロッパ・中東・アフリカ(EMEA)クラウド部門では、わずか半年間で3人の上級管理職が退職。トップ人材の流出が続いている。
グーグルクラウドのEMEA地域バイスプレジデント(オペレーション&グロース担当)を務めたサンジ・バイロは、そうした人材流出の最新例だ。Insiderが独自取材で事実を確認した。
2021年3月、EMEA地域プレジデントのクリス・シアウリが「社外に新たなビジネスチャンスを見出したい」との理由で退職。同6月にはイギリス・アイルランド担当ディレクターのピップ・ホワイトがスラック(Slack)に移籍した。
断続的に退職した上記の3人はみな、顧客関係管理(CRM)ツール大手セールスフォースの同僚だった。
2019年9月、当時セールスフォースのEMEA地域エグゼクティブバイスプレジデントだったシアウリがまずグーグルクラウドに移り、EMEA地域プレジデントに就任。
シアウリは間もなくセールスフォースで同僚だったホワイトとバイロをグーグルクラウドに引き入れたが、ふたりとも18カ月(1年半)もたなかった。
グーグルのクラウド事業は成長を続けているが、グローバルに見ると競合他社に水をあけられている。米調査会社ガートナーによれば、クラウド市場の世界シェアは、アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)が40.8%、マイクロソフトが19.7%、続いてグーグルクラウドが6.1%となっている。
グーグルクラウドは地域支社ごとの業績を開示していないが、米証券取引委員会(SEC)にグーグル親会社のアルファベットが提出した書類から、ある程度は経営状況を推測できる。
2021年第2四半期(4〜6月)のクラウド事業全体の売上高は46億2800万ドル(約5100億円)で、前年同期の30億700万ドル(約3300億円)からおよそ1.5倍に増えた。
同時期の営業損失は5億9100万ドル(約650億円)で、前年同期の14億2600万ドル(約1570億円)から半分以下まで圧縮することに成功した。
なお、2020年通期の営業損失は56億ドル(約6150億円)、売上高は130億ドル(約1兆4300億円)超だった。
Insiderは退職の意図についてバイロにコメントを求めているが、本記事公開時点までに回答を得られていない。
(翻訳・編集:川村力)