左から、フェイスブックのマーク・ザッカーバーグ、グーグルのサンダー・ピチャイ、アップルのティム・クック。
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- フェイスブックとグーグルが協力してアップルのプライバシー対策を回避したと、12の州の司法長官が2020年に内容を更新した反トラスト法違反の訴状で述べている。
- アップルのプライバシーツールは、他のハイテク企業がターゲティング広告のためにユーザーを特定することを難しくしている。
- 規制当局とハイテク企業は、ユーザーのプライバシー、広告テクノロジー、市場の優位性をめぐる、より大きな反トラストの戦いの中で、お互いを攻撃目標にしている。
アメリカの12州の司法長官が検索エンジンに対する反トラスト法違反の訴状の内容をアップデートし、グーグル(Google)はフェイスブック(Facebook)と協力して、アップル(Apple)がユーザーに優れたプライバシー保護機能を提供しようとする試みを弱体化させたと主張している。
修正された訴状には、「両社は、クッキーをブロックしたブラウザを使用しているユーザーや、アップルのデバイス、アップルのSafariブラウザを使用しているユーザーを認識するフェイスブックの能力を向上させた」と書かれている。
「これにより、ユーザーによりよいプライバシーを提供しようとする大手テック企業(アップル)の努力を回避することができる」
この訴訟が最初に提出されたのは2020年12月で、グーグルが談合に関与していると非難し、フェイスブックとグーグルが規制当局の監視下に置かれるようなことになった場合に協力すると合意したことに焦点を当てていた。
また、司法長官らは、フェイスブックとグーグルが違法な広告取引を行っていると非難した。グーグルは広告事業における独占的な力を利用してフェイスブックが広告オークションでより有利な入札を行えるように支援し、これによってフェイスブックのコンテンツがより多くのグーグル広告に表示されやすくしたという。
フェイスブックの広報担当者は電子メールによるコメントで、「フェイスブックは、すべての入札者が競争し、最高額の入札者が勝つ、公正で透明な広告オークションを支持してきた」と述べた。
「フェイスブックがグーグルと結んでいる非独占的な入札契約や、他のプラットフォームと結んでいる同様の契約は、広告掲載に関する競争性を高めるのに役立っている」
訴状によれば、2019年にフェイスブックの従業員間で交わされたやり取りによると同社はアップルのSafariブラウザを使用するユーザーの広告マッチングに苦労していたという。グーグルによるとフェイスブックのユーザーマッチング率は他の広告オークション参加者と同じだが、フェイスブックの従業員はグーグルがJavascriptを使ってフェイスブックがこれらのユーザーをより認識しやすくなるようにする意向だと述べていた。
司法長官らは、フェイスブックが実質的にグーグルを買収した(広告の公平性を歪めた)としているが、グーグルはこの主張を否定している。
グーグルとアップルの関係者にコメントを求めたが、回答は得られなかった。
近年アップルは、ユーザーのプライバシー保護に関する取り組みを強化している。2018年、アップルはSafariなどの製品にプライバシー保護対策を導入し、ウェブサイトがユーザーにトラッキング権限を要求し、30日間サイトを訪れていない場合にはクッキー(Cookie)を破棄することを義務付けた。
また2021年夏には、異なるアプリケーションでのトラッキングの許可をユーザーに求める「App Tracking Transparency」ツールを導入し、フェイスブックなどの企業に大きな影響を与えた。また、Safariのプライバシーレポートでは、各ウェブサイトがどのようにユーザーを追跡しているかが詳しく記されている。
3社は反トラスト法に関する議論の中心にあり、規制当局を巻き込んでの争いが起こっている。アメリカ連邦取引委員会(FTC)は、フェイスブックがソーシャル・ネットワーキング市場で力を独占していると主張して訴訟を起こしたが、6月、訴えは却下された。また、フェイスブックは、アップルがサードパーティのアプリ開発者を抑圧しているとして、反トラスト法に基づく訴訟を準備していると報じられている。
また、アメリカ議会では6月、超党派の議員によって「ビッグ4」と呼ばれるフェイスブック、グーグル、アップル、アマゾンを対象とした5つの規制法案が提案された。これらの法案は、ハイテク企業が市場支配力を持ちすぎないようにチェックする手段を規制当局に提供するものだ。
(翻訳、編集:Toshihiko Inoue)