「Amazon Go」を超える店舗体験とは? 5Gが促す小売業の進化

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(写真はイメージです)

Shutterstock/PopTika

この記事はインサイダー・インテリジェンスによる調査レポート「5Gが小売業にもたらす変化(How 5G Will Change Retail)」のプレビュー版。

2021年、小売企業はデジタルトランスフォーメーションへの努力を続けながら、安全性を確保した上で消費者を実店舗に呼び戻そうとしている。まだ導入の初期段階にあるものの、5G技術は今後小売業界に前向きな変化をもたらすかもしれない。小売企業は5Gへの投資により、リアルとオンラインの双方で顧客体験を向上させていくと考えられる。

2020年12月に発表したレポート「小売業の今後 2021(Future of Retail 2021)」に記したように、2021年にはレジなし店舗での「デジタルファースト」な小売体験が一般化していくだろう。

すでに「モバイル決済」や「アプリでの注文」に対する関心は大幅に高まっている。マッキンゼーによるデータ解析・クラウドソリューション・コンサルティングの総合サービス「Periscope」が2020年6月にアメリカの消費者を対象におこなった調査では、回答者の30%が「モバイル決済」に、28%が「アプリでの注文」に関心を示している。同年3月と比較し、いずれも10ポイント以上上昇している。「Amazon Go」のようなデジタルファーストの小売体験が拡大していき、フリクションレス(摩擦のない)な店舗が普及していくことも期待されている。

※この記事は2021年6月10日に公開した記事を一部編集して再掲載しています

「レジなし店舗技術」をつぎつぎに発表するアマゾン

小売関連技術

コロナ禍でアメリカの消費者の小売関連技術への関心はどう変化したのか。初期段階の2020年3月と、影響が広がった6月を比較すると「モバイル決済」「アプリでの注文」への関心が大きく伸びている。

Business Insider Intelligence

アマゾンは特許取得済みの 「Just Walk Out 」技術を採用するレジなしコンビニAmazon Goの店舗数を増やしている。また、生鮮食料品店「Amazon Fresh」の拡大も計画している。ショッピングカートに入れた商品を自動的にスキャンして精算する「Dash Cart」を導入するAmazon Freshは、ロサンゼルスやシカゴなどの大都市近郊で続々とオープンしている。

2020年9月には手のひらで顧客を識別する認証システム「Amazon One」が発表された。アマゾンは、これらの技術を外部の小売店にも提供するとしている。これにより導入店舗を飛躍的に増やし、消費者への普及を促せるからだ。

アマゾンは顧客のアカウントや決済情報と、「コンピュータービジョン」や「スマートシェルフ」などの店舗内技術を結びつけることで、非接触型店舗を実現している。だが、これ以外の方法を採用する企業もある。

センサーと通信技術を組み合わせた未来の店舗

例えば、シェケル・ブレインウェイ(Shekel Brainweigh)社は、棚に置かれた商品の重さで在庫をカウントする、AIを組み込んだスマートシェルフを備えた自律型の店舗を開発している。同社のリテール・イノベーション部門の共同設立者兼CTOであるガイ・モシェ氏によると、買い物客の追跡には「顔認証」ではなく「光で物体の距離を測定する」日立のLidar(Light Detection and Ranging)システムを使っているという。

現在、グループ・カジノ(Groupe Casino)社がフランスでこの店舗をテストしている。この店舗は5Gを含むセルラーネットワークがあればどこにでも設置可能で、モシェ氏の推測では「コンピュータービジョンを使った店舗」に比べ、コストも計算能力も少なくて済むという。

「5Gで決済」でより早く安全に

5Gアンケート

企業の5G技術活用に関するアンケート。業界別では「5Gを現在活用している」としたのは製造業が23%と最も多く、行政・公共部門が19%と最も少ない。「今後活用する予定」とした割合はどの業界も3分の2程度となっている。

Business Insider Intelligence

コンピュータービジョンやLidarなどの技術で在庫管理や顧客識別を行う店舗は、今後珍しいものではなくなっていくだろう。「モバイルコマース」「近接モバイル決済」「P2P決済」などのモバイル機器を介したアメリカでの決済額は、2019年には7052億8000万ドル(約77兆円)だった。それが2025年には2兆5410億ドルに達する見込みだ。いまやモバイル機器は、小売店への支払い手段としてメインになりつつある。

モバイル・ウォレットの利用が増加しているなか、帯域幅が広く低遅延の5Gネットワークは、非接触型や近接型などの方法を問わず、支払いプロセスの高速化に貢献できる。また、携帯電話会社を介したSIM認証(Wi-Fiログオン不要)や、高速ネットワークを介した生体認証データ処理によっても、不正を防止し安全性を確保しながら決済プロセスを迅速化できる。

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[原文:5G will advance payments and mobile commerce

(翻訳・野澤朋代)

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