なぜテスラの時価総額には自動車7社が束になっても敵わないのか。業界揺るがす「2つの地殻変動」

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Nadezda Murmakova / Shutterstock.com

10月5日、スウェーデンの王立科学アカデミーは、2021年のノーベル物理学賞を真鍋淑郎氏ら3氏に授与すると発表しました。地球温暖化を確実に予測する気候モデルを開発したことが高く評価されての快挙です。

今回のノーベル物理学賞にこのテーマが選ばれたことが象徴しているように、温暖化とそれに伴う気候変動は、今まさに人類と地球が直面している喫緊の課題です。実際、世界経済フォーラムが発行した2021年の『グローバルリスク報告書』でも、「発生の可能性が高いリスク」「影響が大きいリスク」の双方で気候変動が上位にランキング入りしています(図表1)。

図1

(出所)World Economic Forum「The Global Risks Report2021(グローバルリスク報告書)2021年版」2021年1月19日。

このように、気候変動リスクはビジネスにおいても脅威となりますが、一方でこれを「機会」と捉える企業もあります。その代表格がテスラモーターズ(以下、テスラ)です。

テスラといえばイーロン・マスクが創業したEV(電気自動車)メーカー。創業は2003年と若い会社ながら、今やトヨタの2.8倍の時価総額を誇るほどに成長しています(図表2)。

図2

(出所)2021年10月12日時点の株価をもとに各社の時価総額を筆者算出。

それどころか、私たち日本人にも馴染みの深い国内・アメリカ・ヨーロッパの伝統的な主要自動車メーカー時価総額上位7社を束にしても、テスラ1社に敵わないのです(図表3)。

図表3

(注)ステランティスはPSAとフィアット・クライスラー・オートモービルズが合併して生まれた多国籍自動車メーカー。

(出所)2021年10月12日時点の株価をもとに各社の時価総額を筆者算出。

テスラはなぜこれほどまでにマーケットから評価されているのでしょうか?

そこで今回は前後編の2回にわたり、ファイナンスと会計の視点からテスラのビジネスモデルについて考察をしていくことにします。

自動車メーカーというより「成長著しいテック企業」

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