起業断念した東大時代。30歳で起業予定を5年前倒し「始めない理由ない」【Luup社長・岡井大輝2】

Luup岡井大輝

撮影:今村拓馬

Luup社長の岡井大輝(28)が「起業」という選択肢を考え始めたのは、東京大学に入学した頃だった。

高校まで「将来設計は白紙」。ただ、人生の時間を費やすなら人類の中心課題に挑みたいというマインドは持っていた。

「多くの人が『やるべき』と信じられるような大義を掲げて突き進むのが好きなんです」

しかし、なぜそんな性格になったのかは自分でも分からない。特に突出した何かを備えた子どもではなかったと振り返る。「10代で経験した特別な何かが起業につながったとは思わない」と淡々としている。

「そもそも子ども時代に得意なことなんて、大した差にはならないことの方が多いと思うんですよね」

今につながる過去の成功体験についても「特にないと思う」と飄々と、こだわりがない。

話を聞くうちに、岡井の言葉には終始、自分の特技や能力を生かして社会に役立てようとか、自分だけが突出しようという“我欲”が見られないのだと気づいた。

代わりに何度も口にするのは「意味」や「大義」といった言葉だ。やるべき意味を見出せるかどうかが、岡井を突き動かすエンジンなのだろう。

研究者ではなく起業向きと直感

東京大学

東京大学に入学した岡井だったが、一つのことを突き詰めていく研究は性格的に向いていないと気づく(写真はイメージです)。

MMpai / Shutterstock.com

東大の農学部に進んだのも、「人類に関わる課題は生物生態系のテーマにありそう」と考えたからだ。

しかし、実際に生物素材系の研究室に入ってみると、優秀な研究者たちの能力の高さに圧倒された。

「東大には、研究者として自分よりも遥かに成果を出せそうな性格の人たちが何人もいて、自分の出る幕はないと感じました。

研究者の道は向いていないと気づいたときに、起業という選択肢が浮かんだんです。自分が知る限り一番自由なゲームが起業で、自分に合っていると直感した。だから選んだくらいの気持ちでした」

たかが80年、100年しかない人生。自分という有限な資源を使って、最大の価値を生めそうなカードにベットしたい—— 。

同じ大学に通う仲間たちといくつかの事業を構想するも、資本が大きく集まらないこともあり「インフラと呼べるものになり得ない」と判断し断念した。しかし、岡井は諦めていなかった。

再結集約束し、3年後に起業

Luup岡井大輝

撮影:今村拓馬

「足りないのは経験。ならば、起業に必要なスキルと経験を身につけてから再結集しよう」と仲間と約束し、岡井はコンサルティングファームに就職。

他のメンバーも、外資系金融、スタートアップの営業、エンジニアなど、それぞれに起業に必要なピースを埋めるように散らばり、力を蓄えた。かくして約束から3年後、5人のうちまずは3人でLuupを設立した。続けて2021年には、もう1人も加わった。

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