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- カロリー計算は、体重を管理するためには不正確で、脈絡のない方法かもしれないと肥満の専門家が述べている。
- カロリーだけに焦点を当てるのではなく、タンパク質や食物繊維の量も考慮したほうがいいという。
- 別の計算式を使えば、カロリーをこれまでより10%から15%、精度を上げて計算することができる。
多くの栄養学の専門家によると、体脂肪を減らそうが筋肉を増やそうが、体重管理にはカロリーが重要だという。
しかし、肥満の専門家であり、ケンブリッジ大学(University of Cambridge)の研究者で『Why Calories Don't Count(カロリーを計算しない理由)」の著者、ジャイルズ・ヨー(Giles Yeo)博士によると、我々のカロリー計算は不正確で誤った方法だという。
現在の栄養表示は参考にならず、代謝や食欲といった重要な要素に対応していないとヨー博士はInsiderに語った。
「我々は食べ物を食べるのであって、カロリーを食べるのではない。カロリーは食事の量を減らす場合には有効だが、カロリーで食品を比較するのは意味がない」
体重を管理しようとしている場合、タンパク質や食物繊維はカロリー以外の要素でも重要だ。別の方法を使えば、現在のカロリー計算より10%から15%、精度が高まる可能性があるとヨー博士は話す。
カロリーはカロリーだが、個人によって事情は異なる
ヨー博士は、健康や体重維持のためにカロリーが重要かどうかを疑問視しているわけではない。カロリーは基本的な測定単位であり、体重を減らすためには食べた分以上のカロリーを消費しなければならないというのが物理学上の法則だ。
しかし、カロリー計算で自分がどれだけエネルギーを摂取しているか知ることはできても、食後の満足感や30分以内の空腹感など、食べ物が自分にどのような影響を与えるのかを理解するのには役立たない。
例えば、タンパク質や食物繊維などの栄養素は、満腹感を長持ちさせ、消化に使うエネルギーも大きいため、ダイエット中のカロリーカットにも効果的だという研究結果がある。
持続可能な方法を説明せずに食べる量を減らすように指示してもそれは役に立たないことがあるので、文脈が重要だとヨー博士は述べている。
「食べる量を減らしたり、活動量を増やしたりするのが難しい人がいるのは、複雑だからだ」
体重は、最終的には摂取カロリーと消費カロリーによって決定されるが、ライフスタイルの違い、買い物や料理にかかる時間、健康的な食品や栄養情報の知識などの要因によっても、人それぞれの方程式は複雑になる。
「その人の環境要因を考慮せずに、個人の責任だけを押し付けることは役に立たない」
自分のカロリー計算をより正確にするには
ヨー博士によると、専門家や業界のリーダーがよりよい情報を提供することで、消費者をより健康的な習慣へと導くことができるという。
「食品ラベルの栄養情報は重要だが、栄養学を研究している私が見てもとても複雑だ。何が健康的かをすばやく判断するための情報がそこにあるとは思えない」
現時点でタンパク質や食物繊維の消化の仕方が糖分とは異なることを考慮した、より正確なカロリー計算方法があるという。
現在、ラベルに表示されているカロリーは、炭水化物1グラムとタンパク質1グラムにつきそれぞれ4キロカロリーで計算されている。ヨー博士はそれに代わって、各栄養素から実際に得られるエネルギーを2001年の研究に基づいて次のように提案している。
- 砂糖1グラム=3.8キロカロリー
- 複合糖質(デンプンを含む)1グラム=3.6キロカロリー
- タンパク質1グラム=3.2キロカロリー
それぞれの栄養素のグラム数に、上記の数値を乗じて加算すると、より正確な総カロリーが得られる。
この新しい方程式を広く普及させるには、時間とコストがかかるかもしれないが、現在普及しているカロリー計算の方法と、とヨー博士の提案する方法の差は意外に大きい。
その差は平均的な人の場合で、総カロリーの約10%から15%、1日に200から300キロカロリー、1週間の合計では1000キロカロリー以上になる。
「完璧に行うのは難しいが、今よりもよい方法だと思う。1日に数キロカロリー、余分に摂取してしまうことで、大きな違いが出てしまうことが分かっている」とヨー博士は話している。
[原文:You may be counting calories wrong, and a more accurate method could boost weight loss]
(翻訳:大場真由子、編集:Toshihiko Inoue)