国連世界食糧計画(WFP)のビーズリー事務局長。WFPは2020年のノーベル平和賞を受賞した。
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- 世界食糧計画(WFP)のデイビッド・ビーズリー事務局長によると、世界で4200万人が飢餓の危機にさらされているという。
- 彼はイーロン・マスクやジェフ・ベゾスといった億万長者に60億ドルの寄付を呼びかけている。
- CNNのインタビューで「億万長者は歩み寄る必要がある」とも述べた。
国際連合の食料支援機関、世界食糧計画(WFP)のデイビッド・ビーズリー(David Beasley)事務局長は、億万長者のイーロン・マスク(Elon Musk)やジェフ・ベゾス(Jeff Bezos)に向けて、飢餓の危機に瀕している世界中の何百万人もの人々を救うために、一度でいいから寄付をしてほしいと呼びかけた。
「政府はもう限界だ」とビーズリーは、2021年10月26日に放送されたCNNのインタビューで語っている。
「だから今こそ、億万長者が歩み寄って、一度でいいので協力してもらいたい。4200万人の人々は、手を差し伸べなければ、文字通り死んでしまう。そうならないためには、60億ドル(約6800億円)が必要だ」
さらに「難しいことではない。毎日、毎週、毎年やってくれと言っているわけではない」とも述べた。
2021年5月に発表された国連の報告書によると、2020年には少なくとも1億5500万人が危機的レベルの食料不足に直面していたという。
ビーズリーによると、4200万人が最も悲惨なレベルの食料不足に陥っており、「飢饉状態に陥ろうとしている」という。
「これに対処するために、一度でいいから手伝ってほしい」と彼は言う。
「必要なのは60億ドルだ」
ビーズリーは飢饉の原因は「紛争、気候変動、そして新型コロナウイルスのパンデミック」だとした。
彼は、アマゾン(Amazon)の創業者であるベゾスの純資産は、新型コロナウイルスのパンデミックの間に、60億ドルをはるかに超えて増加したと指摘した。さらに、テスラ(Tesla)とスペースX(SpaceX)のCEOであるマスクの純資産は、最近、たった1日で60億ドルも増加したと付け加えた。
10月27日の時点で、フォーブスはマスクの純資産を2538億ドル(約28兆8000億円)、ベゾスの純資産を1961億ドル(約22兆2000億円)と推計している。両者ともに創業した会社の株式を保有しており、それが資産の大半を占めている。例えばマスクは、レンタカー会社ハーツ(Hertz)がテスラの車両を大量に発注したというニュースを受けてテスラの株価が急騰し、純資産が10月25日だけで数十億ドル増加した。
「アメリカの上位400人の億万長者が保有する純資産は、2020年の1年間で1兆8000億ドル(約204兆円)増加した」とビーズリーはCNNに語っている。
「私が求めているのは、純資産増加分の0.36%だ。私はお金を稼ぐことには賛成だが、あなたが今、非常に困っている人々を助けることにも大賛成だ。世界は困っているのだから」
ビーズリーは、どんな億万長者でも旅行に連れて行くと提案している。彼が言うところの「現実」を見せるためだ。
「我々はこれに対処するためのワクチンを持っている。それはお金や食べ物と呼ばれるものだ」とビーズリーは言う。
「簡単なことだ。億万長者は歩み寄る必要がある」
Insiderはアマゾンとテスラにコメントを求めたが、回答は得られていない。
(翻訳:仲田文子、編集:Toshihiko Inoue)