アメリカ中央情報局(CIA)はアメリカの情報機関の中でも極端に秘密主義を重んじる組織である。だが、わたしたちはGlassdoor(キャリア情報サイト)のおかげで、どうやったらCIAに就職できるのか、情報を得ることができた(ほんの少しだが)。このサイトでは誰でも自分の勤め先を評価できる。どのように応募したらいいのか、面接に臨む際の内部情報なども教えてくれる。CIAだけに特化したページもあり、現在の評価は星5つ中3.6だ。40人以上が実際の面接過程について感想を残している。 無記名で書き込まれているので、1つ1つの評価の“裏取り”をすることはできなかったが、多くの疑問や予備知識については、すでにCIAについて知られていることと合致しているようだ。
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面接の期間が異様に長い。
「悪い点は、とにかく面接の期間が異様に長いこと」。管理職の職員の仕事に申し込んだ人はこう書いている。 「一番最初の応募から、条件付き採用の一歩手前の面接まで10カ月もかかっている。 もし先に進んでいたら、実際に仕事に就くまでに、さらに12カ月かかっていたかもしれない。そうなってからの不採用の打撃は計り知れない」
面接は2カ月から1年ほどかかる —— CIAはウェブサイトで告知している。
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CIAがジョブフェアを主催することもあるが、実際にはウェブからの申し込みがほとんどだ。
採用面接のプロセスは、CIAで自分が何をしたいかを見極めるところから始まる。他の政府機関同様、様々な職種を擁する巨大な官僚組織なので、誰もがジェームス・ボンド(あるいは、ジャック・ライアン? )というわけにはいかない。志願者はまず自分のアカウントを作成し、職種一覧を調べる。そのうちのいくつかは会計士や技術者、言語系の職員の空きだ。しかし、ドライ・マティーニに興味のある人たちは、ジェームス・ボンドよろしく、軽くかき混ぜて、運営管理職の仕事に志願するのが一番だ。 現在の職種一覧には、ある興味深い「21世紀的な」情報職が追加されている。「サイバー運営部員」だ。海外のウェブサイトで掘り出しモノを探し出す政府御用達のハッカーである。
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1つの職種に絞ったら、今度は長い長い応募用紙に記入する。
応募用紙に職務経験、学歴、資格や話せる言語などを書き込む。志願者はありとあらゆる情報を提出しなければならない。機密情報に始まり、身元調査の結果、軍の経歴(もし、あれば)、雇用先との問題、麻薬使用の有無(CIAは麻薬を使ったことがある人物を雇わない)、借金の有無など。 ここで嘘をついても後々必ず見つかる。
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そして、志願者は電話連絡を待つ……。あるいは、電話はかかってこない。
驚くことではないが、CIAには洪水のごとく志願書がなだれこんでくる。ホームページによると毎月数千人からの応募があるという。選ばれた志願者はCIAからの返信を受け取る。大抵は電話で。45日以内に。
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電話面接に通ったら、ワシントンD.C.に行くことになる。
志願者の1人は採用プロセスをこう説明している。まず、ウェブサイトで申し込む。そして、電話面接で基本的な行動に関する質問を受ける。説明会への招待があり、バージニア州かどこかでCIA職員と精神科医それぞれと1対1の面談が行われる。 「長い審査過程を経た後、CIAが飛行機代を出してくれて、様々なツアーに参加することになる」と志願者の1人は書く。「その後、面談に丸1日を費やすことになる」。それが済むと「待ちのゲーム」が始まる。CIAは志願者を長い身元審査にかける。ウソ発見器を使うこともある。
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CIAのリクルーターが聞く質問は「普通のこと」。
CIAの職員というのは、映画などで活躍する「スパイ」とはまったく異なる。そういったことが面談で話題になることもあまりない。 面接で聞かれる質問は、一般企業の採用面接でもよく聞かれる類のものだ。「過去に参加したプロジェクトを説明してください」「逆境に立たされた時のことを話してもらえますか」、あるいは「どうしてCIAで働きたいんですか」など。
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「行動に関する質問」を受けたという人もいる。
もちろん希望する職種によって異なるが、多くの志願者は自らの行動に関して、ものすごく細かいことを聞かれる。CIAが雇用者の審査に費やすすべての時間と経費を考えると、CIAはおそらく、「ストレスにまみれた状況に対処し得る適切な能力を持った人物であること」をまずは確認したいのだろう。 「純粋に行動に関する質問であり、技術的な質問は一切ない」とインターンに応募した人が書き込みをしている。「自分が経験した困難な状況や、他の人たちと自分がどのように仕事をするかについて聞かれた」。また、別の志願者はこんなことも聞かれたという。「嘘をついた時のことを説明してみてください」「自分が欲しいものを得るために、他人を操作した時のことについて説明してみてください」
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志願者の何人かは面接に先立ち、「宿題」をやらなければならない。
管理職を志望したある志願者によれば、電話面接の後、書類の入った小包が郵送されてきて、いろいろと記入しなければならなかったという。CIAに志願した動機についてのいくつかの質問と、昨今の国際問題を説明する論文式の問題が含まれていた。ウェブで人間性診断とIQテストも受けなければならなかったという。
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異様なほど詳細な身元調査を行う。
すべての面談を終えたら、志願者は「SF-86」調査用紙に自分のすべて書き込み、CIAに提出しなければならない。氏名、別名、過去に住んだことのあるすべての住所、家族とその住所、友人、海外の交友関係などなど、その他たくさんのことを。 政府はその情報すべての裏を取る。調査員は志願者の友人や家族、近所の人、はたまた高校の先生までにも、直接話を聞く可能性がある。CIAのリクルーター ロン・パトリック氏がForbesに語ったところによると、「大抵の場合、何段階にもわたる身元審査において、その人物が何かしら国家の安全を脅かすようなものと関係があったとしたら、我々はその人物を雇うことはしない」とのことだ。
安全保障に関する会議の議場に掲げられたCIAの旗
Thomson Reuters
[原文: Here's what it's like to interview for the CIA, from people who have done it]
(翻訳:日山)