マーク・ザッカーバーグCEOはFacebookの新社名を「Meta」とイベントで発表した。
出典:Meta
Facebookは10月28日(現地時間)、社名を「Meta(メタ)」に変更すると発表した。
これは同日開催のイベント「Facebook Connect」で明らかになった。12月1日からはティッカーシンボル(いわゆる銘柄コード)も、FBからMVRSに変更となる見込み。
メタバースを今後10年で10億人に
Metaのロゴ。
出典:Meta
Metaはその名の通り「Metaverse(メタバース)」が由来だ。Metaverseにはさまざまな解釈や意味があるが、概ね“現実と仮想が交わるソーシャル空間”のようなイメージで、Facebook(Meta)が28日に発表したプレスリリースでは、
「現在のさまざまなオンライン上でのソーシャル体験を掛け合わせたようなものになります。時には3次元に拡張され、時には現実世界に投影される、それがメタバースです」
と定義している。
Metaは、メタバースの確立のため今後もVR(仮想現実)やAR(拡張現実)のテクノロジーやハードウェア、通信技術などの開発を進めると同時に、今後約1億5000万ドル(約170億3600万円)もの投資を次世代のクリエイターを育成するための没入型学習に実施するとしている。
マーク・ザッカーバーグ(Mark Zuckerberg)CEOは、同日に公開した「創業者からの手紙 2021」の中で「今後10年以内に、メタバースを10億人にリーチさせ、数千億ドル規模の電子取引を提供し、数百万人規模のクリエイターや開発者の雇用を支える」とした。
VRブランド「Oculus」も「Meta」に
ヘッドセットの「Oculus Quest」は「Meta Quest」へと変わる。加えて、Metaは現行機の「Quest 2」の置き換えでも後継機でもない、高性能・高価格帯のVRヘッドマウントディスプレイ(コードネーム: Project Cambria)を2022年に発表予定。
出典:Meta
今回の発表はあくまでも会社名がMetaに変わるだけで、SNSとしての「Facebook」「Instagram」、メッセージングの「Messenger」「WhatsApp」、ビジネスSNSの「Workplace」などのサービス名称は残る。
一方で、メタバースとしては重要のポジションに位置するVR事業の「Oculus(オキュラス)」の名称は順次なくなる。
これはFacebook Reality Labs責任者で今後、MetaのCTOに就任するアンドリュー・ボスワース(Andrew Bosworth)氏が自身のFacebookの投稿で明らかにしたものだ。
これにより、VRヘッドセット「Oculus Quest」は「Meta Quest」、ヘッドセットの設定やストア機能を持った「Oculus App」は「Meta App」になるなど、Metaブランドに統一されていく方針。
今後、QuestなどではFacebookアカウントが不要に
アンドリュー・ボスワース氏は、Oculusブランドの終了についてと、Facebookアカウント必須化の段階的な廃止についてFacebookに投稿している。
画像:編集部によるアンドリュー・ボスワース氏のプロフィールページのスクリーンショット
また、各商品群の独立性も高まる方針が明らかにされている。例えば、ボスワース氏は前述の投稿の中で、2022年中にFacebookアカウントがなくてもMeta Questにログインできる機能の開発に取り組んでいると語っている。
ザッカーバーグ氏も手記の中で、「From now on, we will be metaverse-first, not Facebook-first.(これからはFacebookファーストではなく、メタバースファーストになる)」としており、Facebook本体以外のサービスでは“Facebookアカウント”が段階的に必須ではなくなっていくという。
現状、現行のVRヘッドマウントディスプレイ「Quest 2」を利用するには、Facebookアカウントが必須となっている。
撮影:小林優多郎
Facebookは2020年12月、アメリカ連邦取引委員会(FTC)と48州の司法長官からInstagramやWhatsAppを買収したことを咎める旨で提訴(反トラスト法いわゆる独占禁止法違反)されている。
連邦裁判所は、Facebookの独占的な支配力を持っているという証拠が不十分として2021年6月に訴えを棄却しているが、FTCは8月に訴状を再提出している(その後、Facebookは2021年10月にFTCの訴状の棄却を申し立てている)。
現状ではそれぞれのサービスが旧Facebook社、つまり新Meta社の傘下であることは変わりない。だが、Facebookアカウント連携または必須化の段階的解除は、これらの同社に対する一連の締め付けに対する同社の1つの対応策と考えられる。
(文・小林優多郎)