NASAの火星探査機「パーサヴィアランス」がとらえた火星の様子。2021年10月21日撮影。
NASA/JPL-Caltech/ASU
- NASAの火星探査機「パーサヴィアランス」は2週間通信が途絶えていたが、再び写真を送ってきた。
- 火星が太陽をはさんで地球と一直線に並ぶ「合」の期間は探査機との通信が途絶えていた。
- その間、地球からの信号は太陽のそばを通過するため、不明瞭になってしまう。
NASAの火星探査機「パーサヴィアランス(Perseverance)」と地球との通信が途絶えていたが、2週間ぶりに写真が送られてきた。
9月28日から10月17日まで、火星が太陽をはさんで地球と一直線に並んで「合(Solar conjunction)」になる期間には、NASAの科学者は探査機との通信を行わなかった。
火星が合の位置にある状態(ソーラー・コンジャンクション)。
Courtesy NASA/JPL-Caltech
NASA のパーサヴィアランスのツイッター(Twitter)によると、探査機は砂丘と岩石の間にとどまり、通信が回復するのを待っていた。その間を利用して、天候や火星の塵が風でどのように動くかを観察していたという。
私は砂丘と岩場に挟まれた絶好の場所に車を停め、太陽が火星との信号を遮断する2週間の「合」に備えています。その間、私は塵旋風や天気の観察など、自分ができる仕事をします。
2年に1度訪れる「合」の間、地球にいる科学者は探査機との通信を行わないことを求められ、10月2日から16日は特に厳重に禁止された。
NASAによると、信号が太陽付近を通過して荷電粒子と相互作用を起こすため、信号が不明瞭になる可能性がある。探査機から地球に送られたデータが欠落していても大きな問題ではないが、問題は反対の場合で、地球から送られた指令が火星に届いたときに不明瞭だと、下のNASAの動画のように、誤作動や探査機自体の破損を引き起こしかねない。
太陽付近を通過することで通信の一部が失われる可能性を説明した動画。
Courtesy NASA/JPL-Caltech
その間、探査機は自動運転になる。NASAによると、休暇をとった科学者もいたという。
ツイッターによると、探査機は10月25日に「仕事に復帰」した。以下は「合」が終了してから送られてきた写真だ。
私は仕事に戻り、これら2つの美しい露頭の間に駐車しました。 いくつかの写真撮影、気象研究、化学実験を行っており、ソフトウェアアップデートも入手しました。
2021年10月23日撮影。
ASA/JPL-Caltech/ASU
2021年10月22日撮影。
NASA/JPL-Caltech
パーサヴィアランスは2月から火星にいる。生命体の痕跡を探す目的でジェゼロ・クレーターの探索を行ったことを、以前Insiderで紹介した。
通信が途絶える前、探査機はそのミッションで2つの大きな成功を収めている。
一度は失敗したものの、火星の土壌サンプルの収集に成功した。そして、探査機から送られてきた画像で、古代の川がたびたび洪水を起こし、時速20マイルの速さで重い岩を引きずっていたことが明らかになった。
[原文:NASA's Perseverance rover beamed back striking images of Mars after 2 weeks cut off from Earth]
(翻訳:Makiko Sato、編集:Toshihiko Inoue)