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東京都が9月に発表した調査では、都内企業のテレワーク実施率(8月)は、全体平均で65%に達した( n=454社)。社員数300人以上の企業では実に8割以上がテレワーク実施済み、企業全体でテレワークが週3日以上と回答した企業は5割を超える状況だ。
8月に公表したテレワーク実施率調査結果。回答企業は454社。
出典:東京都産業労働局
そうした働き方の変化は、「中古マンション価格の変化」という形で顕在化しはじめている。
東京カンテイが10月28日に発表した「首都圏 主要都市有面積帯別 中古マンション価格推移」によると、70平米以上の比較的広い中古マンション相場が大きく上昇している。
2019年第1四半期(1Q)を100とした場合の坪単価の変動指数では、2021年3Qでは27.4ポイント上昇し、同時期の30平米未満との差は23.8ポイントに開いた。「他の専有面積帯の水準を完全に上抜け」(東京カンテイ)た状況にある。
出典:東京カンテイ調査「首都圏 主要都市専有面積帯別 中古マンション価格推移」
横浜、さいたま市でも同様の傾向
23区のみならず、横浜市、さいたま市といった首都圏近郊の政令指定都市でも、「広めの物件人気」はほぼ同じ傾向にある。
特にさいたま市については、70平米以上物件の人気が2021年に入って上昇傾向に入り、あとを追うかたちで50〜60平米台の物件が2021年2Q以降、急上昇している。
70平米以上の中古マンションが2021年から上昇し続けている。また50〜60平米台の物件も直近で急上昇しはじめた。
出典:東京カンテイ調査「首都圏 主要都市専有面積帯別 中古マンション価格推移」
横浜市では30〜40平米台物件が強いという状況には大きな変化はないが、広めの物件の人気が上昇しはじめ、直近の変動指数では70平米以上がもっとも伸張する結果になっている。
出典:東京カンテイ調査「首都圏 主要都市専有面積帯別 中古マンション価格推移」
東京カンテイでは23区の需要の状況について、テレワークの日常化を背景に「特に共働き世帯では双方とも完全に出社が不要でない限り東京23区から近郊〜郊外エリアへ転居することは難しく、相応のワークスペースを確保する必要がある」ため、広い住宅の需要が急速に高まったのではないかと分析している。
(文・伊藤有)