「ケツァルコアトルの巣」には、古代メキシコのヘビの姿をした神を模した建造物がある。
Courtesy of El Nido De Quetzalcóatl
- メキシコのナウカルパンにある「ケツァルコアトルの巣」は、建築家のハビエル・セノシアインの設計によるものだ。
- ヘビのような形をした約1500平方メートルの建物は、10戸のアパートとなっている。
- アパートにはヘビの腹を模した廊下、敷地内には植物園や鉱物の洞窟などがあり、それらは古代メキシコの神で羽毛のあるヘビの姿をした「ケツァルコアトル」をイメージしたデザインになっている。
メキシコのナウカルパンにある「ケツァルコアトルの巣(El Nido de Quetzalcóatl)」は、メキシコ人建築家のハビエル・セノシアイン(architect Javier Senosiain)が設計したものだ
メキシコシティ近郊にある「ケツァルコアトルの巣」の模型。
Courtesy of El Nido De Quetzalcóatl
なだらかな丘と豊かな森に囲まれた「ケツァルコアトルの巣」には、ヘビの形をした建物があり、各国からの旅行者をその静かな佇まいへと招き入れている。プレスリリースによると、メキシコを拠点とし、数々の受賞歴のある建築家ハビエル・セノシアイン(Javier Senosiain)が、この奇抜な建物をデザインした。古代メキシコの神で、羽毛のあるヘビの姿をした「ケツァルコアトル」がモチーフとなっている。
外観は、ケツァルコアトルの羽毛を模して、ゴールデンエメラルドやディープバイオレットブルーといった光沢のある色が並ぶ。メキシコシティから約1時間の距離にあるこの施設は2001年に建設を開始し、6年の歳月をかけて完成した。
10戸のアパートのうちの1戸は、エアビーアンドビー(Airbnb)で宿泊の予約ができる。価格は1泊385ドル(約4万4000円)から。
ケツァルコアトルの巣は、ネットフリックス(Netflix)の「The World's Most Amazing Vacation Rentals(世界で極める! 魅惑のバケーションレンタル)」のシーズン1で紹介された
ヘビの口の中に階段がある。
Courtesy of El Nido De Quetzalcóatl
セノシアインはケツァルコアトルの巣の設計に「有機的建築(organic architecture)」の考え方を取り入れたという。これは、1900年代初頭に建築家のフランク・ロイド・ライトが提唱したことで、人間の居住空間と自然環境のバランスを取ることを意味するとアメリカのPBS(公共放送サービス)が解説している。
ケツァルコアトルの巣は、7500平方メートルの敷地内に、広さ1500平方メートルの建物がある
セノシアインは、ケツァルコアトルの巣が周囲の景観に違和感なく溶け込むようにしたかったという。
Courtesy of El Nido De Quetzalcóatl
プレスリリースによると、ケツァルコアトルの巣は「不規則な地形」の上での建設となったため、ヘビのような建物にするのは非常に困難だったという。敷地内には樫の木の森や庭園、水路に囲まれた10戸のアパートがある。
すべてのアパートはヘビの背中の側にあり、2階に3戸、1階に7戸が配置されている。
室内の壁も丸みを帯びた柔らかなカーブを描き、ヘビをテーマにした建物にマッチしている
白を基調とした壁に、木のアクセントと最小限の色が使われたインテリアとなっている。
Courtesy of El Nido de Quetzalcóatl
各アパートの内部は、高さ6.5メートル、幅8.6メートルで、「吹き抜けと暖かみのあるアースカラーのカーブした壁、驚きに満ちた庭園の景色とつながるいくつもの窓」を備えている。
アパートは一度に8人までのゲストが快適に過ごすことができる
Each guest also has access to nearby gardens and streams.
Courtesy of El Nido De Quetzalcóatl
アパートには、ベッドルーム5室、バスルーム4室、リビング、ダイニング、設備の整ったキッチン、洗濯室がある。各戸は、トンネルのような色とりどりの廊下で結ばれている。
インテリアはニュートラルなトーンでまとめられ、色鮮やかな外観とは対照的だ
木目調やニュートラルなトーンで統一されたインテリア。
Courtesy of El Nido de Quetzalcóatl
ゲストは滞在中に瞑想、自然散策、ヨガなどのアクティビティを楽しむことができる。近くのケツァルコアトル公園には、ステンドグラスのトンネルのような空間があり、まるで万華鏡の中にいるような気分が味わえる。
「卵(The Egg)」と呼ばれる空間もある
大きく丸みを帯びた壁が天井まで続く。
Courtesy of El Nido De Quetzalcóatl
エアビーアンドビーのホストによると「卵」は真っ白な壁の丸い部屋で、ラウンジとして使用できるという。
ケツァルコアトルの敷地は広大で、植物園もある
ケツァルコアトルの巣には、草の中からヘビの頭が飛び出しているところもある。
Courtesy of El Nido De Quetzalcóatl
ケツァルコアトルの巣には、ゲストが入ることのできる多様な庭園がある。サボテン、ハーブ、鉱物の庭園などであり、他にも芝生の円形劇場などもあると、Architectural Digestは伝えている。
ケツァルコアトルの巣には、数本の小川が流れている
ケツァルコアトルの巣は、この地域の丘や木に編み込まれるような構造になっている。
Courtesy of El Nido De Quetzalcóatl
ケツァルコアトルの巣では近くの水源が利用され、それが施設の生態系を支えているという。
「この地域には、施設の生態系に欠かせないいくつかの小川がある」とプレスリリースに記されている。
「それらによって二酸化炭素の吸収、酸素の生成、温度の調節、湿度の維持がなされている」
施設の排水は、ろ過された上でケツァルコアトルの巣の生態系に戻される
ケツァルコアトルの巣には、植物園やハーブ園がある。
Courtesy of El Nido De Quetzalcóatl
プレスリリースによると、アパートからの排水は施設内にある下水処理システムを通した上で「緑地の散水に使用される」という。
(翻訳:仲田文子、編集:Toshihiko Inoue)