マーク・ザッカーバーグはフェイスブックをもっと若者向けにしたいと発表したが、Insiderが話を聞いたティーンエイジャーは、フェイスブックを利用したくないと述べていた。
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- ティーンエイジャーは、以前よりもフェイスブックを利用しなくなっている。
- マーク・ザッカーバーグは決算説明会で、フェイスブックを若いユーザー向けにしたいと発表した。
- だがInsiderが話を聞いたティーンエイジャーたちは、彼らを惹きつけるためにフェイスブックができることは何もないと述べた。
フェイスブック(Facebook)は、かつては若者同士を結びつける存在だったが、多くの調査によると、過去10年間でその状況は変化している。フェイスブック(同名の運営会社は2021年10月28日、社名を「メタ・プラットフォームズ(Meta)」に変更すると発表した)の努力にもかかわらず、Insiderのインタビューに応じた4人のティーンは、同社のプラットフォームを利用するつもりはないと答えている。
2012年にピュー・リサーチ・センター(Pew Research Center)が12歳から17歳を対象に行った調査によると、94%がフェイスブックのアカウントを持っていた。それから10年近くが経過した2021年、投資銀行のパイパー・サンドラー(Piper Sandler)が1万人のティーンエイジャーを対象に行った調査によると、フェイスブックを利用していると答えたのは27%にとどまった。
マーク・ザッカーバーグ(Mark Zuckerberg)CEOは、自社の主要プラットフォームから若者の流出を食い止めたいと考えており、2021年11月1日にオンラインで行われた第3四半期決算説明会で、フェイスブックは「若者へのサービス提供を『北極星(重要な目標)』としたい」と述べた。
しかし、現在のユーザーベースでは、それは容易ではない。Vergeが入手したデータによると、フェイスブックの10代のユーザーは、2019年以降13%減少しており、今後2年ではさらに45%減少すると予測されている。このデータは、フェイスブックの内部告発者であるフランシス・ホーゲン(Frances Haugen)がアメリカ証券取引委員会(SEC)に流した内部文書から見つかったものだと、以前ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が報じている。
この内部文書について、フェイスブックの広報担当者であるジョー・オズボーン(Joe Osborne)は、「フェイスブックは今でも10代の若者に広く利用されているが、スナップチャット(Snapchat)やティックトック(TikTok)といった企業との厳しい競争に直面している」と、Vergeに述べている。
「すべてのソーシャルメディア企業は、ティーンエイジャーに自分たちのサービスを使ってもらいたいと思っている。それは我々も同じことだ」
何人かのティーンエイジャーはフェイスブックと同じメタ傘下のインスタグラム(Instagram)は使っているが、同社の旗艦プラットフォームは使っていないと述べ、フェイスブックへの登録を促すために同社ができることは何もないとInsiderに語った。
フェイスブックを拒否する理由は、ユーザーの年齢層の高さやザッカーバーグへの批判
Insiderが話を聞いた複数のティーンエイジャーは、フェイスブックに背を向ける理由をいくつか挙げている。例えば、ザッカーバーグがこれまでしてきたことや、ユーザーの年齢層が高くなっているといったことだ。
ミシガン州グランドラピッズに住む19歳のトレイ(Trey)は、ツイッター、スナップチャット、インスタグラムなど、他のSNSプラットフォームの方が好きだという。
フェイスブックは2012年に画像共有アプリのインスタグラムを10億ドルで買収した。インスタグラムは若者からの人気が高く、パイパー・サンドラーの調査によると、1000人のティーンエイジャーのうち、81%がインスタグラムを利用していると答えたという。
トレイは「インスタグラムとツイッターを通して政治の惨状を目の当たりにし、精神的・感情的に疲れてしまった」と言う。また、ザッカーバーグはインスタグラムで影響力を持っているにもかかわらず、彼の意思決定は非倫理的だと思うとも付け加えた。
トレイは、ザッカーバーグやフェイスブックが政治的な対立やそれにまつわるさまざまなドラマで何らかの役割を演じていることに対し、何度も批判を受けていることに言及しているようだ。例えば、2020年には、ドナルド・トランプ前大統領がフェイスブックにデモ活動者を脅すような投稿をした際、ザッカーバーグはそれを放置することを選択した。
ティーンエイジャーの間では、他のプラットフォームがフェイスブックを打ち負かしている
ザッカーバーグは決算説明会で、フェイスブックと他のアプリのライバル関係はここ数年でより激しくなっており、ティックトックは「我々がこれまでに直面した最も強力な競争相手のひとつ」だと述べている。パイパー・サンドラーの調査によると、フェイスブックを利用していると答えたティーンエイジャーはわずか27%、一方、ティックトックを利用していると答えたティーンエイジャーは73%に上った。
バージニア州北部に住む14歳のアレクシス(Alexis)がメールでInsiderに語ったところによると、フェイスブックは「年寄りのためのもの」だから使わないという。ティックトックやインスタグラムを好むのは、そこで友達と会ったり、バイラルなトレンドについて学べるからだという。特にティックトックは、「面白いビデオを作るのに最適」だという。
「私の両親も、祖父母も、曾祖父母も、みんなフェイスブックを使っている」と彼女は言う。
「年長者のための場所だとずっと思ってきたので、彼らのビジネスや近所への不満、彼らが面白いと思っているミームなどで、私のフィードがいっぱいになるのを見たくない」
インスタグラムとスナップチャットしか使わないというロンドン在住の16歳、ジェイデン(Jayden)は、そもそもフェイスブックの「目的がわからない」とInsiderに語った。フェイスブックのコンテンツは「ランダムすぎる」と彼は言う。
オハイオ州在住の19歳で、レディット(Reddit)、スナップチャット、ツイッター、ユーチューブ(YouTube)を利用するメーガン(Megan)は、フェイスブックを利用しない理由のひとつとしてプライバシーへの懸念を挙げ、「とても有害に思える」と述べた。
フェイスブックではユーザーデータの盗難や流出が何度も発生している。2018年には、イギリスの政治コンサルティング会社ケンブリッジ・アナリティカ(Cambridge Analytica)によって5000万人のユーザーのデータが収集されていたことが最も有名な例だ。2021年の4月には、ハッカーが5億人以上のフェイスブックユーザーの個人情報とされるデータをオンラインフォーラムに投稿している。
市場調査会社eMarketer(現在の社名はInsider Intelligence)の主席アナリストであるカリン・フォン・エイブラムス(Karin von Abrams)は、2018年にインディペンデント(Independent)に対し、若いユーザーがフェイスブックに背を向けているのは、インスタグラムやスナップチャットのような新たなプラットフォームが提供する「実用性を超えた何か」や、より新鮮な「機能や特徴」を求めているからだと語った。
フェイスブックが何をすればティーンを引き付けられるのか、ティーン自身にも分からない
フェイスブックがインスタグラムやティックトックといった他のSNSプラットフォームを打ち負かし、ティーンたちに利用したいと思わせるために何をすればいいのか。
メーガンは「フェイスブックが何をすれば使うようになるか、まったく分からない」と、ツイッターを通して語った。「年寄りのためのSNSだとしか思っていない」
19歳のトレイは「正直なところ、何とも思っていない」と言う。
「ストーリーズみたいなものを導入したのは知っている。多くのSNSプラットフォームが競合他社を出し抜こうとする典型的な方法だが、フェイスブックには他のアプリにはない魅力だと思えるものがない」
ジェイデンは「フェイスブックを使うには他にいいアプリが多すぎる」と言う。
アレクシスは「年配の人が利用している限り、私はフェイスブックを使わない 」とシンプルに述べた。
(翻訳:仲田文子、編集:Toshihiko Inoue)