ESG投資で気候変動は緩和されない。ウォール街で流行る「サステナブル投資」ブームの問題点

ESG投資

ESGファンドへの投資が気候変動の緩和に役立つという実証的な証拠はない。

Ivan Marc/Shutterstock

流行りものに投資が集まるのは目新しいことではない。例えば、1990年代の株式市場は、あらゆるインターネット関連株に投資家が集まって投機が過熱する「ドットコムバブル」 に巻き込まれた。結局ブームは去ってバブルははじけ、投資家たちはおよそ5兆ドルの損失を被った。

最近の流行は、ESG(環境・社会・ガバナンス)ファンドへの投資だ。ESGファンドの目的は 「社会的責任を果たしている」 企業に投資することで、特に気候変動の緩和を目的とした社会変革を推進しながら、同時に市場収益を得ることだ。

しかし気候変動に関して言えば、この投資ブームの問題点は、この考えを根本から裏付ける実証的な証拠がないことだ。実際、二酸化炭素の排出量が比較的少ない企業の銘柄をポートフォリオの中でオーバーウエイト(訳注:投資対象への配分比率を高くすること)とする投資戦略が、気候変動の緩和に影響がないことは明らかなようだ。ESG ファンドへの投資が急増しているのに、世界は温室効果ガスを排出し続けているのだから。

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