5歳から11歳向けのファイザー・ビオンテック COVID-19ワクチンは、特別なパッケージだ。
Pfizer
- 2021年11月2日、アメリカ疾病予防管理センターはファイザーの新型コロナワクチンを5歳から11歳までの子どもに接種することを許可した。
- 子ども用の新型コロナワクチンの用量は10マイクログラムで、成人や10代の若者向けの用量の3分の1だ。
- 小児用ワクチンの有効性や副作用など、知っておくべきことを以下にまとめた。
アメリカ疾病予防管理センター(CDC)の諮問委員会が満場一致で決定し、CDC所長のロシェル・ワレンスキー(Rochelle Walensky)博士が2021年11月2日に承認したことで、5歳から11歳の子どもがファイザー(Pfizer)の新型コロナワクチン接種の対象となった。
その年齢層の子どもを対象とした臨床試験で、ファイザーのワクチンが新型コロナウイルスの発症を防ぐ有効性は91%だったことが判明した。
しかし5歳から11歳の子どもが受けるワクチンと、大人や10代の若者に接種されるファイザーのワクチンには大きな違いがある。子どもたちへの新型コロナの予防接種が可能になった今、針のサイズ、投与量、副作用など、親が知っておきたい情報について紹介する。
細い針、少ない投与量、少ない副作用、大人と同等の効果
アメリカでの小児用ワクチンの接種方式は、大人向けのものとは異なっている。
ホワイトハウスによると、大人のように集団予防接種会場で実施するのではなく、主に小児科医が子どもにワクチンを接種することになるという。また医師や看護師が使用する注射器の針は大人よりも細いものになる。
さらに3週間の間隔を空けて2回接種することに変わりはないが、5歳から11歳の子どもに投与されるワクチンの量は大人の3分の1だ。大人と10代の若者の用量は30マイクログラムだが、小児に投与されるのは10マイクログラムだ。
ニュージャージー州でファイザーと共同で子ども用ワクチンの研究を行うサイモン・リー(Simon Li)博士によると、少ない量でも大人のワクチンと同程度に有効だという。
「この投与量は実に賢明だった」とラトガーズ大学(Rutgers)の小児科の准教授でもあるリー博士はInsiderに述べた。
ファイザーが30マイクログラムと10マイクログラムのワクチンを子どもに投与してテストしたところ、その年齢層ではどちらのワクチン量でも同程度の抗体を生成することが分かった。しかし、30マイクログラムを投与された子どもは、痛み、圧痛、赤み、発熱、悪寒、倦怠感などより多くの副作用を経験することになった。
リー博士は、このワクチンが子どもの副作用を減らすために特別に作られているのを知ることで親のストレスが軽減されることを期待していると述べた。彼自身の子どもは4歳、8歳、10歳で、ワクチン接種が待ち遠しいという。
「ワクチンが接種できる状況になったら、私は100%、子どもに接種させる」とリー博士は話す。
「願わくば、彼らが列の先頭に並んでくれればいいのだが」
ホワイトハウスによると、新型コロナウイルスの成人向けワクチンの多くが集団予防接種会場や薬局で行われていたのとは異なり、子どもには主に小児科医がワクチン接種をすることになる。
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5歳から11歳までを対象としたファイザーの臨床試験には2268人が参加した。後に新型コロナウイルスの陽性反応が出た子どもは19人で、そのうち16人は偽薬、3人はワクチンの接種を受けたグループの子どもだった。いずれのグループにおいても、重篤な症例や死亡例は無かった。ワクチンの副作用で最も多かったものは、注射した部位の痛み、倦怠感、頭痛だった。
ファイザーは、臨床試験期間中に5件の重篤な有害事象を報告したが、ワクチンとの関連性は認められなかった。むしろこの5件は、臨床試験における詳細なモニタリングの必要性と参加者の年齢を思い出させるものだった。ファイザーは臨床試験に参加した子どもの骨折や関節炎に加え、1人の子どもが1円玉を飲み込んだことを指摘している。
一部の諮問委員は、すべての子どもに接種が必要かを疑問視
2021年10月29日、アメリカ食品医薬品局(FDA)の諮問委員会はファイザーの小児用ワクチンの認可について17対1で可決し(1人は棄権)、その後、FDAは小児用ワクチンの緊急使用を許可した。しかし、一部の委員はこの広範囲に影響が及ぶワクチン接種の推奨に懐疑的な見方を示している。
メハリー医科大学(Meharry Medical College)の学長、ジェームズ・ヒルドレス(James Hildreth)博士は「リスクの高い子どもにはワクチンを接種する必要があると思う」と述べた。
「しかし、すべての子どもにワクチンを接種するのは、私には少し無理があるように思える」
もう一人の委員、医学雑誌『ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン(The New England Journal of Medicine)』の編集長、エリック・ルービン(Eric Rubin)博士は、心筋炎(心臓の炎症)のリスクを慎重に考慮したという。しかし最終的に、彼と他の委員は、新型コロナウイルスのワクチンのメリットが、このような副作用や他の潜在的な稀な副作用のリスクを上回ることに同意した。
同委員会には参加していないが、ユタ大学(University of Utah)の小児感染症の専門家、アンドリュー・パヴィア(Andrew Pavia)博士は別の見方をしている。
「デルタ株が、新型コロナウイルスを小児科の問題にしてしまった」とパヴィア博士は2021年10月にInsiderに語っている。
「子どもは新型コロナウイルスにかかっても、大人のような死亡率ではないので大したことはないとよく言われていた。それは2020年にはある意味は真実だったが、デルタ株ではそうではない」
(翻訳:大場真由子、編集:Toshihiko Inoue)