犬が首をかしげる仕草は、集中力を高め、情報を思い出しているサイン —— 最新研究

ジャーマン・シェパード

首をかしげるジャーマン・シェパード。

Diego Cervo/Getty

  • 犬が首をかしげるのは、珍しいことではない。ただ、科学者たちはこれまで、この行動の理由を研究してこなかった。
  • 最新の研究は、ボーダーコリーが首をかしげている時はタスクに集中しているまたは情報を思い出そうとしている時だと示している。

飼い犬に話しかけたら、愛犬が首をかしげるかわいらしい仕草を見せたことはないだろうか。

10月下旬に発表されたある研究によると、不思議そうに首をかしげる犬の仕草は"不信"や"混乱"を示している可能性もあるが、実は"集中"や"注意"のサインかもしれないという。

研究者らは、さまざまな種類の40匹の犬がいろいろなおもちゃの名前をいかに良く覚え、飼い主のコマンドに応えて特定のおもちゃを取ってくるために情報を思い出しているかを調べた。大半の犬はおもちゃの名前を覚えることはできなかったが、7匹のボーダーコリーは素晴らしい能力を見せた。

研究者らはこれらのボーダーコリーの集団を「才能ある単語学習者」と呼び、その共通点を見つけた —— コマンドを聞いた後、「才能ある単語学習者」はいずれも、そうした才能のない犬たちよりもかなり頻繁に首をかしげていた。

データは、「才能ある単語学習者」たちが持ち時間の43%を首をかしげていた一方で、他の33匹がこの仕草をしていたのは持ち時間のわずか2%だったことを示している。

「言われたおもちゃをちゃんと取ってくることと、おもちゃの名前を聞いた後に首を頻繁にかしげることとの間には関係があるようです」とハンガリーにあるエトヴェシュ・ロラーンド大学の動物認知学の研究者で論文の共同著者でもあるシャニー・ドロール(Shany Dror)氏はプレスリリースの中で述べている。

「これが、首をかしげることと重要かつ意味のある刺激を処理することとの間に関連性があるとわたしたちが示唆する理由です」

論文の著者らによると、犬の首をかしげる習性について調べた研究はこれが初めてだという。

音と頭の中の関連するイメージをマッチさせている?

ボーダーコリー

Cooper Photo

この研究では3つの実験が行われ、このうち最初の実験で研究者らは犬の飼い主40人に対し、月に1度、3カ月間、飼い犬をテストするよう依頼した。飼い主は愛犬に2つのおもちゃの名前を教えてから、どちらか1つを隣の部屋から取ってくるよう犬に指示した。期間中、おもちゃは変えなかった。

おもちゃの名前を覚えることができた7匹のボーダーコリー(「才能ある単語学習者」)だけが次の実験に進んだ。ただし、1匹は実験が始まる前に死んでしまった。2つ目の実験では、6匹のボーダーコリーの飼い主がおもちゃの数を最大13個に増やして3カ月間、同じ方法でテストをした。

このうち「ウイスキー」という名前のボーダーコリーは、59回中54回正しいおもちゃを運んできた。他の2匹もその成功率は90%を超えた。残りの3匹の成功率は57~75%の間だった。

その後、3つ目の実験では、6匹の「才能ある単語学習者」は1週間で12個の新しいおもちゃの名前を覚えることができ、それを少なくとも2か月間忘れずにいられることを示した。

「犬が『お座り』や『伏せ』といった行動に結びつく言葉を簡単に覚えられることは分かっていました。ただ、ごく一部の犬はモノの名前を覚えることができるのです」とドロール氏は述べた

おもちゃを取ってくるタスクで良い成績を見せた才能のある犬たちだけが、コマンドを聞いた後に一貫して首をかしげていた。これが、ドロール氏のチームがこのジェスチャーをボーダーコリーの言葉の意味をはっきりさせようとする試みに関係していると結論付けることにつながった。首をかしげる仕草は、ボーダーコリーが耳にしたおもちゃの名前と自分の記憶の中にあるモノのイメージを頭の中でマッチさせていることを示している可能性がある。

首をかしげるのに好きな方向がある?

パグ

Getty Images

左利きと右利きの人がいるように、才能あるボーダーコリーにも首をかしげやすい方向がある。3つの実験を通じて"好きな方向"は変わらず、目の前の飼い主の姿勢は首をかしげる方向に影響しなかった。

「首を左にかしげる犬は、左にかしげ続けるでしょう」とドロール氏の同僚で共同著者のアンドレア・ソメス(Andrea Sommese)氏はScienceに語った

研究者らにとってこの一貫性は、犬があるタスクに細心の注意を払っている時に首をかしげることのさらなる証拠になるかもしれない。

ボーダーコリー

Shirlaine Forrest/Getty

今回の研究では才能あるボーダーコリーのみを詳しく調べたものの、論文の筆者らはモノの名前を覚える才能はボーダーコリーだけのものではないとしている。

ドロール氏は、チームがジャーマン・シェパードやペキニーズ、ミニ・オーストラリアン・シェパードのスキルも観察したと明かしている。1月下旬のある研究でも、ヨークシャー・テリアが「ウイスキー」に匹敵する好成績を出したという。

[原文:The adorable head tilt some dogs do is a sign they're concentrating and recalling information, a study found

(翻訳、編集:山口佳美)

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