動作サクサクと噂のアマゾン「Fire TV Stick 4K Max」を試す

Fire TV Stick 4K Max

撮影:伊藤有

テレビをアマゾン・プライムビデオ対応にする「Fire TV Stick」の最新版「Fire TV Stick 4K Max」を使い始めた。

最新版といっても基本的には機能が何か増えるわけではない。ただ、動作がかなり早くなる、最新のWi-Fi6対応ルーターの場合は、さらに安定した視聴ができるのが最大のウリだ。価格は6980円。

すでに自宅のテレビでは2017年からFire TV Stickを使っていた。というわけでこの記事では、4年分の世代交代の体験の違いを見ていこう。

4年分の進化と、環境乗り換え

Fire TV Stick 4K Max

最新型の「Fire TV Stick 4K Max」(上)と、2017年購入の旧型。2017年モデルは「LY73PR」が型番。

撮影:伊藤有

これまで使っていた旧型は、モデルでいうと2017年発売の「LY73PR」という型番のもの。4K対応ですらない、フルHD対応のフツーのFire TV Stickだ。

それなりに実用的に使っていたが、いくつか問題もあった。例えば、ずっと電源を落とさず使っていると時々反応しなくなったり、ボタンのレスポンスがものすごく遅くなったりする。いずれも対処方法は「電源を抜き差しする」という極めてアナログな方法だ。

とはいえ、ハードウェア的には致し方ない面もある。2017年モデルは内蔵メモリーがわずか1GB(4K Maxは2GB)、CPUも1.3GHz(4K Maxは1.8GHz)しかない。FireTV StickのOSはAndroidベースだから、動作環境的な厳しさは想像できる。

Fire TV Stick

左が2017年版のFire TV Stick。右が今回取り上げるFire TV 4K Max。本体サイズが少し大ぶりになっているほか、リモコンもボリュームやNetflixボタン付きの最新仕様に。

撮影:伊藤有

さて、最新世代の4K Maxでは、リモコンも近年の最新世代と同じものになっている。2017年モデルからするとボタンの数などが変わっている(最近のFire TV Stickはこのリモコンがむしろ主流なので、昔がいかにシンプル過ぎたのかがよくわかる)。

本体の大きさは4K Maxの方がやや大きいが、テレビのHDMI端子に差し込んでしまえば一切見えなくなるので、あまり気にするところではないだろう。

テレビ裏のFireTVStick

テレビ裏の様子。装着する液晶テレビのHDMI配置があまりよくないので、後ろに大きく飛び出す形になっている。電源ケーブルは2017年モデルからの流用。

撮影:伊藤有

環境乗り換えは、実は書くことがほぼないくらい簡単に済んだ。まず、本体の電源供給に使うUSBケーブルの端子は最新世代でもまったく変わっていなかった。ハードウェア的な世代交代は、「開封して本体を差し替える」「リモコンに電池を入れる」だけだ。

ちなみに、テレビからUSB電源をとる場合は、問題なく動作する場合と動かないケースがある。今回の環境の場合、大画面テレビでは電源供給エラーが出る(供給電流が足りない)が、別の20インチ程度のテレビではテレビ本体のUSB電源で動いた。

そのほか、初回起動時にWiFiの接続設定をしたり、Amazonアカウントの設定をするなどの一般的な初期設定はあるが、開封してものの10分ですべて終わる、という具合だ。

4年分の体験の違いは大きい

「会社は学校じゃねえんだよ」

撮影:伊藤有

アマゾンによると、4K Maxは従来のFire TV 4Kに比べて40%高速になったとしている。2017年モデルはもっと古いモデルでなので、かなりサクサクになるはず…と期待していた。実際のところその通りだった。非常に快適になった。

まず、番組選択で上下左右にカーソルを移動していく際に、まったくひっかかりがない。

アマゾン・プライムビデオだけではなく、Apple TV+やRedBull TVなどの他社アプリも同様に早い。

なお、自宅のテレビはネットフリックスなどいくつかの動画配信サービスに対応しているが、2017年モデルのFire TV Stickではテレビ内蔵の動画配信と似たようなレスポンスだった。今回の4K Maxは明らかに快適で、テレビ内蔵機能はおそらく、この先あえて使うことはないだろう。

それから当然の話ではあるのだが、映像も4K対応になったことで、そもそも画質が全然変わっている。

離れた視聴距離だと結構、差は見えづらいが、俳優の表情がアップで描写される際の肌の質感などハッとする瞬間に4Kの細かい描写を感じる。

Fire TV Stick 4K Maxのレビュー記事における難点があるとすると、これ以上、何か使い込んでわかってくるような要素は何もない、ということだ。

テレビでオンデマンド動画を見る環境としては、実に快適。以上。

4K Maxで見る「Apple TV+」が最近面白い

……とこれだけで終わるのもどうかと思うので1つ、超個人的な「4K Maxで見るべきコンテンツ」の話を。

ネットフリックス作品『イカゲーム』が全世界的なヒットになって話題だが、個人的に今、注目しているのはネットフリックスではなく、「AppleTV+」だったりする。

アップルの動画配信にはこれまで、正直言ってあまり期待してこなかった。一応、日本上陸当初から作品はいくつか見ているが、日本人向けのローカライズには時間がかかるだろうな、というのが第一印象だった。

それが今期に入って、SF好きな人にとって大注目作というべきものがいくつか始まった。そして、実際に作品としてのデキが非常に良い。2つ作品を挙げておこう。

「ファウンデーション」

出典:macOS版のApple TV+からのスクリーンショット。

1つは、SF作家アイザック・アシモフ原作のSF小説の映像化を実現したスペースオペラ『ファウンデーション』シリーズだ。9月から配信がはじまった。

それまでApple TV+にまったく期待していなかった僕だったが、宇宙を舞台にする作品の壮大な4K映像の作り込みと、ストーリー展開の面白さ、脚本の良さで180度評価を変えてしまった。

ネットフリックスと違い、毎週定期的に1話ずつ配信していく仕組みのため、新作配信を毎週楽しみにしている。

「インベーション」

出典:macOS版のApple TV+からのスクリーンショット。

もう1作品は、『インベーション』。人類の存続を脅かすエイリアンの来襲に立ち向かう人類の姿を、5人の主人公の視点で追っていくSFドラマ作品だ。グローバル配信の作品ながら、主人公の1人を演じるのは、俳優の忽那汐里さん、また重要な役柄として菊地凛子さんも出演している。

インベーションでは俳優だけではなく、登場する日本のシーンが注目だ。かなり本格的な日本ロケをしていることがわかる。映像を見ながら、「このエモい街並みは渋谷のスクランブル交差点だな」とわかったり、日本人役の俳優のセリフはすべて日本語で通すなど、こだわりを感じるつくりだ。

おそらくはネットフリックス並みにお金をかけ、かつ本気でグローバルでのヒットを狙う作品がApple TV+から複数出てきていることは、映像業界の変化を感じずにはいられない。

話がそれてしまったが、こんな具合に、プライムビデオ以外をテレビで楽しむときにも使え、そして体験の割に安いというのが、Fire TV Stickシリーズの美点ではないだろうか。

(文・伊藤有

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