人手不足を解消するには、ブルーカラーにもっと多くのものを提供すべきだと専門家は述べている。
Samantha Lee/Insider
- 逼迫した労働市場は多くの労働者に、企業へのさらなる要求を行う力を与えた。
- 専門家は、ブルーカラーの労働者にホワイトカラー並みの特典を提供することが、人手不足から抜け出す唯一の方法だと指摘している。
- 例えば、ボーナスの支給、福利厚生の充実、プロとしての成長の機会の提供などだ。
パンデミックの間、企業は入社祝い金のような特典をアピールしてきた。給与アップを行った企業もある。だが専門家は、企業は人手不足に陥り正念場を迎えている多くのブルーカラーの職種の給与について再考し、さらなる提案を行うべきだと述べている。
時給制の仕事を紹介する求人サイト、Snagajobのマチュー・スチーブンソン(Mathieu Stevenson)CEOは、「これまでホワイトカラーの労働者向けだった給与と福利厚生が、今ではブルーカラーの仕事でも標準、あるいは期待されるものになっている」と、Insiderに語った。彼はこの現象を「ブルーカラーのホワイトカラー化」と呼んだ。
スチーブンソンは、ブルーカラーの仕事の定着率を上げられる特典として、入社祝い金、アマゾン(Amazon)やウォルマート(Walmart)などの大手企業が宣伝している教育面での支援、キャリアパスのガイダンス、産休や男性育児休暇、メンタルヘルス関連の福利厚生などを挙げた。
小売業の労働者へのインセンティブ管理に特化したソフトウェア企業、Sparkplugの創業者兼CEOのアンドリュー・ダッフィー(Andrew Duffy)は、このような特典を提供できない企業は、人手不足の状態から抜け出せないだろうと語った。
「優秀な労働者は、待遇のよい職場にしかやってこない」とダッフィーは述べている。
「優秀な労働者を獲得できず、もっと有意義な報酬を与える新しいシステムを導入することもしない企業は生き残る気がないのだろう」
さらに、雇用モデルの中には、現代の労働者が仕事に求めるものとの乖離が著しいものがある。サプライチェーンや倉庫関連など特に人手不足に悩む業界では、季節労働者の雇用には人材派遣会社が利用されることも多い。
この古い人材派遣モデルは、ホワイトカラーによくある能力開発の文化に替わる必要があると、ロジスティクスソリューション企業のWorkStepの創業者兼CEOのダン・ジョンストン(Dan Johnston)はInsiderに語った。それは、新入社員がスキルを身につければ、より困難でより専門的な役職に就けるラインを構築し、「もしあなたが会社に投資するなら、会社はあなたに投資する」というメッセージを組織の全員に送ることだ。
求人サイト、Hourly by AMSのプロダクト・イノベーション部門の副部長を務めるクインシー・バレンシア(Quincy Valencia)は、小売業のマネジメントからキャリアをスタートした。彼女は、歴史的に見て企業は多くのブルーカラーの労働者を「代わりがきくもの」という誤った見方をしていると指摘した。
「小売業などの分野の労働者はこれまで、特にパンデミック期間は経済を牽引してきた」と、彼女は語った。
「そして今、募集されている仕事と応募者の間で大きなミスマッチが生まれている」
だが、その考えが変化してきている。パンデミック期間に多くの最前線の労働者がヒーローと賞賛され、必要不可欠な存在だと捉えられた。そして、これに気づき始めている企業もある。
「我々全員が、彼らを頼りにしている」と、物流会社のShipHeroのマギー・バーネット(Maggie Barnett)COOはInsiderに語った。
「新型コロナの期間、多くの人々が家にとどまった。倉庫に入った人々が彼らの仕事を行ったおかげで、我々が贅沢できた。そのことに感謝している。彼らは報われるべきであり、注目されるべきだ。そのことを人々が知るのがあまりにも遅すぎた」
[原文:It's time to give white-collar perks to traditionally blue-collar jobs]
(翻訳:Makiko Sato、編集:Toshihiko Inoue)