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- よくあるダイエットのアドバイスで、3500キロカロリーをカットすると1ポンド(約453グラム)の脂肪が減るという正しくないものがある。
- 体重の減少は時間の経過とともに一定ではなく、さまざまな要因が影響していると専門家は話している。
- 健康的に脂肪を燃焼させるには、食事の管理と運動を少しずつ継続して行うことが大切だ。
一般的なダイエットに関する情報では、1週間で1ポンド(約453グラム)の脂肪を落とすためには約3500キロカロリー、つまり1日に約500キロカロリーをカットする必要があると言われている。
しかし、専門家によればそれはただの神話で、肥満学会(The Obesity Society)の年次大会「肥満週間(ObesityWeek)2021」で発表された研究によると、栄養士の間で信じられているものだという。
インディアナ大学ブルーミントン校(Indiana University Bloomington)の博士研究員であるジャスミン・ジャムシディ‐ナエイニ(Jasmine Jamshidi-Naeini)は、減量のためにそれに頼ると、より正確な予測に比べ、結果を10ポンドから15ポンド(約4.5kgかた6.800kg)も過大評価してしまう可能性があるとプレゼンテーションの中で述べている。
減量したい場合には、週に3500キロカロリー減らすよりもずっといい方法があると専門家たちは言う。
体重の減少は直線的な変化ではない
3500キロカロリーの計算式は、医学研究者のマックス・ウィシュノフスキー(Max Wishnofsky)が1958年に発表した論文に端を発している。このウィシュノフスキーの論文では、カロリーの体内への蓄積の仕方をもとに、体重1ポンド(約453グラム)はおよそ3500キロカロリーに相当すると推定している。
ジャムシディ‐ナエイニによると、現在この方法を適用している人たちはウィシュノフスキーによる基本的な注意点を考慮していないという。そのひとつは、ほとんどの人の体重は一定のペースでは減らないということだ。
「小さい体を動かすために必要なエネルギーは、大きな体を動かすエネルギーに比べて少ない」と彼女は言う。
「体重が減ると、私たちが生きるために必要なエネルギーも減る」
食べ物の消化にもエネルギーが必要なので、食べる量が少なければエネルギーの消費量も少なくなる。
そのため3500キロカロリーのルールでは、減量期間が長くなると精度が低くなり、ほとんどの人にとって役に立たなくなる可能性がある。
「7日後の体重減少の予測は、かなりうまくできるはずだ。しかし、180日後、1年後、10年後の体重変化を予測するのは無理だろう」とジャムシディ‐ナエイニは述べている。
体重の変化に関する完璧なモデルはないが、NIH(アメリカ国立衛生研究所)のボディ・ウエイト・プランナー(Body Weight Planner)などの他の計算式は、体重をどれだけ減らせるのかを正確に予測するのに役立つだろうと彼女は話している。
「3500キロカロリー神話の問題点のひとつは、食べる量を減らして体を動かせば減量できると言われていること」と管理栄養士のレイチェル・ハートリー(Rachael Hartley)は以前Insiderに語っている。
「それはとても古く、根拠のない、時代遅れの栄養神話だ。その考え方は人体の仕組みに合っていない。体重に影響を与える要因は100種類以上あるのだから」と彼女は話している。
減量には考えている以上に時間がかかる
体重を減らそうとしている人にとって、急激な減量や制限をすることは不健康なことだと管理栄養士のボニー・タウ‐ディクスは(Bonnie Taub-Dix)は以前Insiderに語っている。
「さらに厳しくする必要はない。さらに我慢する必要があるだけ」と彼女は話す。
タウ‐ディクスによると、長期的にダイエットを続けるためには好きな食べ物を少量ずつ食べるなど、少しずつ行っていく方がいいという。
食事の質も重要で、タンパク質や食物繊維などの栄養素は満腹感を維持するのに役立つという。
健康的なダイエットのためには、活動的に過ごすことも大切
ジムで過ごす時間を増やしても必ずしも減量できるわけではないが、体重減少や代謝の維持に役立つという研究結果もある。
特に筋力トレーニングに集中すれば、筋肉量を維持するのに役立つ。そして筋肉が増えれば、体重が減ったとしても、安静時代謝量(生きているだけで消費するカロリー)を減らさずにすむ。
(翻訳:大場真由子、編集:Toshihiko Inoue)