※本記事は、2021年7月17日に掲載した記事の再掲です
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- 世界各地の建築家が周囲の自然の美に溶け込む建造物を建てている。
- 南アフリカの自然保護区の中には、現代的な家が隠れている。
- ヨーロッパにある土と芝生の家は、上空からは見分けがつかない。
「House of the Big Arch(ハウス・オブ・ザ・ビッグ・アーク)」と呼ばれるこの家は、南アフリカの自然保護区の中に隠れている。
© Frankie Pappas
Insiderで以前報じたように、この家はヨハネスブルグに拠点を置く建築事務所フランキー・パパス(Frankie Pappas)が、所有者からの周りを取り囲む砂岩の崖や手付かずの森をそのままにしてほしいという要望を受けてデザインした家だ。信じられないことに、家を建てる過程で木は一切伐採されていないという。
景観を損なわないように、この家には幅が11フィート(約3.4メートル)しかない場所もある。また、人里離れた場所にあることから、オフグリッドになっている。
© Frankie Pappas
ただ、家自体は豪華だ。ワインセラーやプール、複数の中庭、書斎もある。ソーラーパネルを使って必要な電気を作り、雨水を集めて利用している。
「この建物はここ以外、世界中のどこにも存在できません」と建築事務所は書いている。
アメリカのテキサス州オースティンにある「Edgeland House(エッジランド・ハウス)」は、草の下に隠れている。
Paul Bardagjy
建築事務所Bercy Chen Studioによると、この家はSF作家に依頼されたもので、利用されずにいた土地に建てられたという。
ただ、近付くにつれ、現代的な竪穴住居が姿を現す。
Paul Bardagjy
2012年に建てられたこの家は、ネイティブ・アメリカンの住まいからインスピレーションを得た。土地を掘り下げ、家を土で囲んだことで、夏は涼しく、冬は暖かく過ごせる。
緑の屋根の下には、2つの居住空間がある。一方には寝室が、もう一方には社交スペースがあり、どちらもプールへとつながっている。
Paul Bardagjy
2つの居住空間の間には屋根のない通路もあって、風通しがとても良い。
「この中庭ではハチドリやオオカバマダラ、アリの巣などが観察でき、都市部にありながら自然に対する意識が高まる」と建築事務所は話していると、ArchDailyは報じた。
「わたしたちはレディ・バード・ジョンソン・ワイルドフラワー・センターと協力し、地域の生態系を守るために40を超える野の花や草の在来種を復活させた」という。
「Casa do Penedo(カーサ・ド・パネド)」は、まるでポルトガルの山の上にある巨大な石のようだ。
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よく見ると、石と石の間に家があるのが分かる。Casa do Penedoは4つの巨大な石で作られていて、それぞれが基礎、壁、天井の役割を果たしている。1974年に完成した。
ポルトガル北部ファフェの山にあるこの好奇心をそそる建物は、もともと住宅だったが現在は博物館として使われている。
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観光客はこの建物を見て回ることができ、事務局は「世界で一番風変りな家だと考えられている」としている。
家の中には電気がないので、元所有者は屋内ではろうそくを使っていたと、フォーブスは報じている。暖炉もあり、階段は丸太でできている。
アイスランドにある、3つの寝室があるこの家は、周囲の景観にすっかり溶け込むようデザインされている。
Photo by Marino Thorlacius
デンマークの建築事務所KRADSが、この草木に囲まれた家をアイスランドのシンクヴァトラヴァトン湖の近くに建てた。オーナーは、景観を台無しにするのではなく、景観と連動した家にしたかったのだという。
「アイスランドは不毛の地が多いので、大きな木や森は貴重だ。そして、この土地には(大きな木や森が)たくさんあった」とKRADSの建築士クリスチャン・エッゲルトソン(Kristján Eggertsson)氏は以前、Insiderに語っている。
「家の傾斜を慎重に決めたことで、古い松の木や家を囲む背の低い草木の大部分を残すことができた」
景観に合わせて傾斜した屋根は芝生や苔で覆われているため、この家は周囲と調和している。
Photo by Marino Thorlacius
家からはシンクヴァトラヴァトン湖だけでなく、ヨルティンドゥル山やハティンドゥル山も見渡せる。
「クライアントは丘の上にある近隣の家々から見える、湖に向かって広がる景色を自分たちの家が遮らないことを望んでいた」とエッゲルトソン氏は言う。
「それが傾斜した屋根のアイデアにつながった。上の家々から見ると、建物が景観によくなじんでいることが分かるだろう」
カナダのブリティッシュコロンビア州にあるこの家は、広さが4500平方フィート(約418平方メートル)あるにもかかわらず、モミの木が並ぶ海岸線に隠れている。
James Dow / Patkau Architects
「Tula House」と呼ばれるこの家は、2006年から2012年の間にジョージア海峡にあるクアドラ島に建てられた。
「Tula Houseは、この土地の岩棚、海辺、森の思いがけない不規則性を反映している」と建築事務所Patkau Architectsは述べている。
家の外壁はダークグレーのセメントパネルで覆われているため「離れた場所から見ると、この家は視覚的にうっそうとした森の中に消える」という。
上から見ると、ここに家があることを示しているのはキラっと光る天窓だけだ。屋根は芝生とこの土地固有の植物に覆われている。
James Dow / Patkau Architects
5958平方フィートと、ルーフエリアは家よりも広い。
木々に囲まれたこの家は、太平洋の44フィート(約13.4メートル)上に建っている。
James Dow / Patkau Architects
巨大な窓からはジョージア海峡の島々だけでなく、本土の山々までよく見える。
スウェーデン北部のハラッズにある、木に吊るされたホテル「Mirrorcube(ミラーキューブ)」もどこにあるのか見つけるのが難しい。
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Tham & Videgård Arkitekterがデザインした13フィート×13フィート(約4メートル×4メートル)のこのホテルは、2010年に建てられた。
客室には、長さ40フィート(約12メートル)のロープの橋を使って入る。2人まで宿泊可能だ。
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ホテルの公式サイトによると、客室にはダブルベット1台、ラウンジ、バスルーム、屋上テラスがある。
ミラーガラスには実は透明ステッカーが貼られていて、これが鳥には見えるため、窓にぶつかるのを防いでいると、建築事務所は説明している。
スイスのディーティコンでは、草の下に土壁の家がいくつも隠れている。
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「Earth House Estate Laettenstrasse」はチューリッヒの建築会社Vetsch Architekturが手掛けた。同社は世界各地に90軒以上の土壁の家を建ててきたが、ここには9軒の独立した家が集まっている。こじんまりした家に見えるかもしれないが、中には寝室が7つある家もある。
トルコにある"ホビット・ハウス"も上空からどこにあるのか見つけるのは不可能だろう。
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トルコのシワスにあるこれらの別荘は、『ロード・オブ・ザ・リング』のホビット・ハウスにインスパイアされたものだ。丘の斜面に掘り込まれた、それぞれ広さ700平方フィート(約65平方メートル)のこの家には寝室、リビング、バスルーム、キッチンがある。観光客に人気だ。
「将来的には、40~50軒に増やしたいと考えている。疲れを癒すために人々はこうした家に2、3日滞在している」とシワスのサミ・アイドゥン(Sami Aydin)市長は2018年、Anadolu Agencyに語っている。
アイスランドにあるこれらのターフハウスには、周囲の景観に溶け込み、家の断熱性を高めるために、同じ技術が使われている。
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写真の「Glaumbaer turf house」は芝土、石、材木で作られていて、 一部は18世紀に建てられたものだ。13の建物から成り、中でつながっている。
最後の住民が1947年にここを引き払い、今ではアイスランド国立博物館の一部となっている。
ノルウェーにあるこの伝統的な家も周囲に溶け込んでいる。
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ノルウェーのグドヴァンゲンにあるこの家は、屋根が野生の草花に覆われている。
オーストラリア、ブルーマウンテンズにあるこの崖の上の洞窟の家は、周囲の景観からインスピレーションを得た。
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2015年に撮影されたこの家は、オーナーであるリオネル・バケット(Lionel Buckett)氏が自らデザインし、建てたものだ。天然の岩の台地の上にコンクリートとスチールで作られていると、バケット氏はNew Atlasに語った。
洞窟は北に向かって開けているため、家は自然に暖かくなったり、涼しくなったりする。眼下に広がる森の景色も楽しめる。天気が悪い時は二重ガラスのドアを閉めることができる。
家の中に入るには、洞窟の裏の小さな丸い木の出入り口を使う。
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この洞窟の家は、バケット氏の家族が1950年代から所有している600エーカーの土地に建てられたとNew Atlasは報じた。土地を相続した後、バケット氏は木を伐採して売る代わりに、この家のように、環境に配慮した家を建てることにした。
[原文:20 photos of homes that blend in seamlessly with nature]
(翻訳、編集:山口佳美)