アタカマ砂漠(2019年11月27日、チリ)。
REUTERS/Fabian Cambero
- チリのアタカマ砂漠には、売れ残った服や使用済みの服が山積みになっている。
- アメリカやヨーロッパ、アジアで不要になった推定3万9000トンの服が毎年チリの砂漠に捨てられている。
- 他にも、砂漠に運ばれた大量の使用済みの服は一帯を覆うほどだという。
南米チリの砂漠には不要になった服が大量に捨てられていて、"ファストファッションの墓場"が急速に拡大している。
AFPによると、これらの服は中国やバングラデシュで作られ、アメリカやヨーロッパ、アジアへと運ばれたものだという。これらの地域で売れ残った服や使用済みになった服はチリのイキケ港に運ばれ、ラテンアメリカの国々で再び売られている。
AFPは、約5万9000トンの服が毎年チリの港に届くと報じている。このうち3万9000トンは砂漠の廃棄場に運ばれるという。
イキケ港の輸入部門で働いていたアレックス・カレーニョ(Alex Carreno)さんは、服が「世界中から集まってくる」とAFPに語った。その大半はラテンアメリカの国々でも売れず、最終的に捨てられることになるという。
アタカマ砂漠に運ばれた大量の不要になった服は、今では一帯を覆うほどだという。
「服は生物分解が不可能で、化学製品を使用しているものもあるため、自治体のごみ廃棄場では受け入れられません」と、2018年から捨てられた服で断熱・吸音パネルを作ることで、ごみを資源として利用しようとしているEcoFibraの創業者フランクリン・セペダ(Franklin Zepeda)さんは話している。
「問題であることをやめ、解決策になりたい」とセペダさんはAFPに語った。
ファストファッションは手頃な価格で手に入るが、環境にとっては非常に有害だ。
例えば、国連欧州経済委員会(UNECE)によると、ファッション業界は世界の二酸化炭素排出量の8~10%を占めている。2018年には、ファッション業界が航空業界と海運業界を合わせたよりも多くのエネルギーを消費していることも分かった。
そして、消費者が服を買う量は増え続けている。イギリスのシンクタンクでサーキュラー・エコノミー(循環型経済)を促進する慈善団体でもあるエレン・マッカーサー財団の統計によると、服の生産量は2004年から2019年までの15年間で2倍に増えているという。マッキンゼーの報告でも、2014年に平均的な消費者が購入した服の量は2000年より60%多かったとしている。
[原文:A mountain of unsold clothing from fast fashion retailers is piling up in the Chilean desert]
(翻訳、編集:山口佳美)