日本で生き残る地方都市は3つだけ。その勝敗を分ける「福岡にあって神戸にない」ある要素【音声付・入山章栄】

今週も、早稲田大学ビジネススクールの入山章栄先生が経営理論を思考の軸にしてイシューを語ります。参考にするのは先生の著書『世界標準の経営理論』。ただし、本連載はこの本がなくても平易に読み通せます。

リモートワークにより地方移住が加速する中で、神戸市から若者が流出し、福岡市に人口の流入が続いています。このように人を集める・集めない都市の差はどこにあるのでしょうか。仕事で全国津々浦々を行脚する入山先生が、神戸と福岡の違いから地方都市の近未来までを語ります。

【音声版の試聴はこちら】(再生時間:11分17秒)※クリックすると音声が流れます


人口が減る都市、増える都市

こんにちは、入山章栄です。今回もBIJ編集部の常盤亜由子さんが、何やら面白い新聞記事を見つけてきてくれました。


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BIJ編集部・常盤

先日、朝日新聞を読んでいたら、神戸と福岡を比較した記事がありました。その記事によれば神戸市は近年、若者が流出している。一方、福岡市は人口の流入が続いているらしいんです。

福岡市は企業誘致に向けて都市の再開発計画が進んでいるけれど、神戸は働く場の創出が目下の課題なのだとか。

確かにいまはオンラインでのミーティングも可能ですから、住む場所を自由に選べるようになってきています。最近、私の知り合いも福岡に移住しましたし、きっと福岡には移住先として選ばれるだけの魅力があるんでしょうね。

入山先生はお仕事で全国津々浦々に足を運ばれていますが、都市によって勢いの違いを感じたりしますか?


そうですね。福岡市は高島宗一郎市長が頑張っていますよね。また福岡市の職員には的野浩一さんという行政の課長がいて、福岡市の中心地にある小学校をリノベーションしてスタートアップのオフィスにしたりと、面白いことに挑戦しています。

ただ、地方創生についての僕の根本的な意見は、「そもそも日本全体で人口減少しているのだから、地方同士で人口を取り合っても、ゼロサムゲームどころかマイナスサムゲームになるだけだ」というものなんです。

そう考えると、いま日本にあるすべての地方都市を、現在の規模のまま維持することは難しいのではないでしょうか。これからはある意味、地域の中で「勝ち負け」がはっきりしていくはずです。

大胆なことを言ってしまいましたが、これには根拠があります。エコノミック・ジオグラフィー(経済地理学)という企業の立地などに関する研究があるんですね。

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