グラフデータベース「Neo4j(ネオフォージェイ)」最高経営責任者(CEO)のエミール・エイフレム。
Neo4j
グラフデータベースのNeo4j(ネオフォージェイ)がシリーズFラウンドで当初の想定を超える3億9000万ドル(約430億円)の調達に成功した。
グーグルの元最高財務責任者(CFO)で、2020年6月からはツイッター会長を務めるパトリック・ピシェットを取締役会に招き入れたことの影響も大きいとみられる。
Neo4jの最新評価額は20億ドル(約2200億円)、スウェーデン発のユニコーン(評価額10億ドル以上の未上場スタートアップ)として知られる。
エクセルやスプレッドシートで使われている表形式のデータベースに代わる実用性の高いソフトウェアを提供。ユーザーは複数のノード(=ある属性を持つ情報の基本単位)同士の関係をより簡単に視覚化できる。
Neo4jはいま世界で最も広く採用されているグラフデータベース製品だ。
米クリエイティブツールのアドビ(Adobe)、英製薬大手アストラゼネカ(AstraZeneca)、米メディア大手コムキャスト(Comcast)、米EC大手イーベイ(Ebay)などがクライアントに名を連ねる。
また、国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)も同データベースを導入。パナマ文書やパラダイス文書、直近ではパンドラ文書など、調査にあたったジャーナリストらは膨大な財務資料を熟読して分析し、富裕層や著名人による数々の秘密取引を明るみに出した。
グーグル元最高財務責任者(CFO)でツイッター現会長のパトリック・ピシェット。Neo4j取締役も兼務。
Eva Blue/Inovia
ピシェットはInsiderの取材に対し、次のように語っている。
「(グラフデータベースを用いた)アプリケーションを活用できる分野は信じられないほどに広い。
誰もが知る直近のユースケースが『パンドラ文書』の公表です。ジャーナリストたちがきわめて複雑なデータベースを読み解くことができたのは、Neo4jが機能したからなのです」
Neo4jは今回(冒頭のシリーズFラウンド)、当初想定されていた3億2500万ドル(約360億円)に加え、ピシェットがパートナーを務めるイノヴィア・キャピタル(Inovia Capital)などから6600万ドル(約75億ドル)を調達している。
「活用できる分野はまだまだ広がります。例えば、創薬に使えるのではないでしょうか。不正行為を明るみに出したり、最安値の航空券を探し出したりにも使えるでしょう。データはそこにあるのですから」(ピシェット)
Neo4j社のエミール・エイフレム最高経営責任者(CEO)はピシェットの存在についてこう評価する。
「グーグルとツイッターは、どちらもグラフが持つ画期的なパワーを活かして大きく成長した企業です。そこでパトリック(・ピシェット)が得た知見は、さらなる成長に向けた航海の途上にあるNeo4jにとって、かけがえのないものなのです」
なお、ピシェットはNeo4jへの出資について、イノヴィア・キャピタルのブログ(11月9日付)でも自身の考えを語っている。
(翻訳・編集:川村力)