行動データを使った「消費者スコアリング」とは何か? オルタナティブ信用スコア、活用領域の将来像:eMarketerレポート

  • この記事はインサイダー・インテリジェンスによる調査レポート「予測分析と消費者スコアリング(Predictive Analytics and Consumer Scoring Report)」のプレビュー版。

人工知能(AI)や予測分析技術の向上で、リスクや不正行為を自動的に予測するためのスコアリングの利用が進んでいる。だが、スコアリングが本当にフェアなものなのか懸念の声もあり、企業の消費者に対する透明性が求められている。

※この記事は、2021年2月18日に公開した記事を一部編集して再掲載しています

予測分析とは?

予測分析とは、機械学習や高度な統計技術を用いて消費者の行動を分析し、将来の行動を予測する手法だ。リスク評価や不正行為の防止などにも応用される。顧客の行動や生涯価値を予測するだけでなく、特定の経験に対する顧客の感情を理解する手がかりにもなる。

消費者スコアリングとは?

消費者スコアリングでは、過去の行動をもとに消費者についての諸情報を数値化する。ウェブ、モバイル機器、IoT機器などから集められた、(年齢・性別などの)人口統計学的属性、位置情報、取引履歴などのデータをもとにしている。複雑なデータ分析を使って消費者を評価し数値化する消費者スコアリングは、ビジネスにおける意思決定の自動化に役立てられている。

予測分析とモデリングツール

全社的に広く利用できる予測分析や機械学習のプラットフォームを提供するベンダーが増えたことで、企業は統計学の専門家やデータ・サイエンティストを雇う必要がなくなった。これらのプラットフォームは「ドラッグ&ドロップ」で使えるインターフェイスや「グラフィカルな説明」など、ユーザーフレンドリーな仕様となっている。

これらのツールは、AIやデータサイエンスのスキルを補ってくれる一方で、必要不可欠な「監査機能」がシームレスなプロセスのなかで見えにくくなる危険性も孕んでいる。機械学習とAI技術を用いて、リアルタイムでビッグデータに対して回帰分析と決定木分析を実行することで、特定の目標にもとづき効率的に人々を「採点」できる。

予測分析のテクニックと、消費者スコアリングの活用領域

AIに抵抗意識調査

「顧客体験向上のために、企業がAIを使い個人情報にアクセスすることに抵抗感があるか」オーストラリア、日本、イギリス、アメリカの成人を対象にしたアンケート。「全く抵抗感がない」12%、「あまり抵抗感がない」41%、「ある程度抵抗感がある」33%、「大きな抵抗感がある」14%。

Insider Intelligence

データの増加、分析方法の高度化、機械学習により、業界を超えたさまざまなビジネスで予測分析と消費者スコアリングの新たな応用が進んでいる。調査レポート「予測分析と消費者スコアリング」では、多岐にわたる活用方法に光を当てる。そのうちの2つが、「不正防止」と「オルタナティブ信用スコアリング」だ。

不正防止への有効性

「不正」「信用」「リスク」関連のスコアリングツールは、正当なユーザーや取引とボットを識別し、安全な取引のための判断を自動化する。多くのベンダーは機械学習を用い、顧客サイト上での「正常」な動作と「不正」な動作を識別するためのモデルを訓練している。「新規アカウントの作成」「ログイン認証」「Eコマース(EC)の取引認証」などに使われている。

オルタナティブ信用スコアリングとは

オルタナティブ信用スコアリングは「レンタル代や携帯電話料金の支払い」「銀行口座の取引」など、従来クレジットカードやローン審査の際に信用情報として使われてこなかったデータを使い、個人の信用リスクをより包括的に把握する。

そのほかにも、「ショッピングの傾向」「Webやソーシャルメディアの閲覧履歴やそこでの行動パターン」さらには「デバイスの取り扱い方」などのデータが含まれることもある。これらの情報は、(少なくとも米国では)従来の信用情報のように規制の対象となっていない。スタートアップや既存の信用調査機関のどちらもオルタナティブ信用スコアリングを行っている。

ビッグデータと予測分析の今後

「コスト削減」と「リスク軽減」につながる予測分析の重要性は、今後増していくだろう。だが、企業にとって規制上のリスクなど留意すべき点は多い。インサイダー・インテリジェンスは、企業が将来を見越しながら予測分析を事業に活かせるよう、鍵となる方法を示す。

レポート完全版では、以下のようなベストプラクティスについて解説している。

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  • 消費者スコアリングを使うビジネスケースを明確にする
  • 綿密なリスク分析を行う
  • スコアの公平性を評価する
  • 消費者が抱くかもしれない懸念や、受け止め方を想定する
  • 小規模で始める

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[原文:Predictive analytics and consumer scoring: How companies use AI, machine learning & big data to create predictive models

(翻訳・野澤朋代)

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