イーロン・マスク
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- イーロン・マスクがCEOを務めるスペースXが参画するミッション「ドージ・ワン」は、暗号通貨の「ドージコイン」で資金を決済し、2022年初頭までに実施される予定だ。
- スペースXのファルコンロケットを使ってキューブサット(小型人工衛星)を月の軌道に送り込むというこのミッションを、ブロックチェーン企業が行うことになったとコインテレグラフが報じている。
- ドージ・ワンは、暗号通貨の新たなユースケースを示しつつ、月へと向かう。
2021年11月10日の報道によると、イーロン・マスク(Elon Musk)がCEOを務めるスペースX(SpaceX)は、ブロックチェーン企業2社およびジオメトリック・エナジー・コーポレーション(Geometric Energy Corp:GEC)と提携し、月に小型の人工衛星を送り込むミッションを2022年初頭までに実施するという。このミッションは「ドージコイン(dogecoin)」で決済が行われる。
暗号資産専門メディアのコインテレグラフによると、スマートエクスチェンジ・エコシステム(集中型と分散型の要素を組み合わせた暗号資産取引所)のユニゼン(Unizen)と、分散型金融インキュベーターのゼンX(ZenX)の2社が、キューブサット(小型人工衛星)を打ち上げる「ドージ・ワン(DOGE-1)」ミッションを進めているという。この衛星は月の軌道に送り込まれ、カメラ、センサー、鏡を使って情報を収集する。
このキューブサットの打ち上げが実現するのはスペースXと合意に至ったおかげであり、暗号資産の新たな活用法を提示できるのはブロックチェーン技術のおかげであると、コインテレグラフは報じている。
ビットコインのパロディとして考案されたドージコインが、宇宙開発ミッションの支払いで使用されるのはこれが初めてだ。コインテレグラフによると、すでに約1600基のキューブサットが地球低軌道(高度2000km以下)に打ち上げられているが、ドージ・ワンは40万kmに達する初めての人工衛星になるという。ミッションは順調に進んでいるというが、打ち上げの明確な日程などは明らかにされていない。
Insiderは、スペースX、ユニゼン、ゼンX、GECにコメントを求めたが、回答は得られていない。
これらの関連各社は「ドージ・ワンは歴史上初めて月に到達するキューブサットになる可能性があり、宇宙飛行の取り組みにおける重要な成果になるだろう」とコインテレグラフに語っている。
暗号通貨とブロックチェーン技術は世界を席巻しており、医療情報の保存、住宅ローン契約、債券支払い処理などに利用されている。仮想通貨情報サイトのコインゲッコー(CoinGecko)によると、ドージコインは過去12カ月間で1万%以上も上昇している。
イーロン・マスクとドージコインは、この1年で特別な関係を築いてきた。マスクのツイートがしばしばドージコインの価値を押し上げたのだ。マスクは最近のツイートで、ビットコインやイーサリアムと一緒にドージコインも所有していると述べた。そして2021年5月のツイートで、2022年にドージコインによるミッションが行われることを初めて発表した。
知的財産・製造・物流などを扱うGECは、5月のプレスリリースで、スペースXにミッションの代金をドージコインで支払ったと述べていた。
「このミッションは、地球軌道を超えたところでも暗号通貨が活用できることを実証し、惑星間での商業の基盤を築くものだ」とスペースXの商業販売担当バイスプレジデント、トム・オチネロ(Tom Ochinero)は当時の声明で述べている。
(翻訳:仲田文子、編集:Toshihiko Inoue)