サンタクロースは、予防接種を受けていない子どもたちとの接触に神経質になっている。
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- ウォール・ストリート・ジャーナルによると、全米でサンタが不足しているという。
- 主にサンタ役を務めてきた年配で小太りの男性は、新型コロナウイルスへの感染の懸念からこの仕事をしなくなっている。
- ある依頼者は、ホリデーイベント用のサンタを確保できるなら「いくらでも払う」と述べた。
ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)によると、人手不足のアメリカでは、サンタまでもが足りなくなっている。新型コロナウイルス感染への懸念から、年配の男性がこの仕事を敬遠しているからだ。
例年のように、アメリカ中のファミリーがサンタの家に予約を入れてお祭り気分を盛り上げようとしている。しかしいつもとは異なり、2021年はサンタが足りていない。
サンタにふさわしい人材、つまり年配で小太りの男性は、新型コロナウイルスにさらされるリスクを負いたくないと考えているため、候補者を見つけるのが難しくなっていると、WSJが報じている。
人材派遣会社ハイヤー・サンタ(Hire Santa)のエルフ長、ミッチ・アレン(Mitch Allen)がWSJに語ったところによると、サンタはまだワクチンを接種していない幼い子どもとの接触に神経質になっているという。また、サンタのイベントのうち、何らかの形でソーシャルディスタンスを取るようにしているのは、約半数に過ぎないと同紙は伝えている。
サンタの派遣担当者は、今年はサンタの需要が高いのに、人手が足りないと頭を悩ませているという。アレンによると、今年のホリデーシーズンは、昨年と比べて依頼が121%増加しているにもかかわらず、サンタの人数は15%も少ないという。
39年間この業界に携わってきたスーザン・メスコ(Susen Mesco)は、これまで依頼を断ったことはないとWSJに語っている。
「2日前、ある女性が泣きながら電話をかけてきた。彼女が主催するイベントには、サンタがどうしても必要だった」
この女性はメスコに「いくらでも払う」と訴えたという。
非営利団体サンアントニオ・ユースのチーフ・ディベロップメント・オフィサーであるクリスティーナ・カセラ(Christina Casella)は、市内に配置するための12人のサンタを必要としていた。ソーシャルメディアでボランティアを募集したが、その役割を果たす人は見つからなかった。
「スタッフにサンタの衣装を着用させるというのはとんでもないことだが、必要であればそれを実行する」と彼女は代替案について同紙に語っている。
トラック運送業、動物病院、接客業など、さまざまな分野の企業が人手不足の影響を受けている。
9月には、コロラド州にあるダンキン(Dunkin)の店舗は、スタッフが15人から3人に減ったため、一時的に閉店を余儀なくされた。
最近では、アーカンソー州のあるレストランのオーナーが、人手不足が続く中で労働者を確保するために、学生アルバイトに1時間余分に給料を与え、宿題をする時間を確保していると述べた。
その一方で、人手不足の中、働きすぎの従業員に感謝するために「感謝ロボット」を使っている企業もある。このロボットはペンを手に取り、お礼状やホリデーカードにオリジナルのメッセージを書いてくれる。
(翻訳:仲田文子、編集:Toshihiko Inoue)