「次のテスラ」と期待される電気自動車(EV)スタートアップ、リビアン(Rivian)最高経営責任者(CEO)のR.J.スカーリンジ。2018年11月撮影。
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11月11日(現地時間)に上場を果たした米電気自動車(EV)スタートアップ、リビアン(Rivian)の創業者兼最高経営責任者(CEO)R.J.スカーリンジは、たびたびアマゾン創業者ジェフ・ベゾスのサクセスストーリーと重ねて語られてきた。
幼いころから自動車のメカニックに夢中だったスカーリンジは、18歳のときに自動車メーカー設立を目標に定めた。米マサチューセッツ工科大学(MIT)で博士号の取得後、2009年に26歳でリビアンを立ち上げている。
リビアン株は11日にナスダック市場で106.75ドルの初値で取引が始まり、時価総額はおよそ910億ドル(約10兆円)に達した。
前日に発表された売出価格は1株あたり78ドルで、同社は今回の新規株式公開(IPO)を通じて119億ドル(約1兆3000億円)の資金調達に成功したことになる。
しかし、アマゾン上場で巨額の富を手にしたベゾスとは違って、スカーリンジがIPOを経て手にした自社株はほんのひと握りにすぎない。
リビアンが米証券取引委員会(SEC)に提出した有価証券届出書(S-1)の記載に従えば、スカーリンジの保有株式価値は19億ドル(約2000億円)だ。
したがって、この若い創業者兼CEOの保有株式はリビアン時価総額のわずか2%にすぎないことになる。
一方、アマゾンが1997年に上場した際、ベゾスは発行済み株式の40%以上(S-1書類の記載によれば42%)を保有していた。
ベゾスの株式保有比率はその後売却をくり返して10%程度まで減ったものの、現在も筆頭株主の地位を維持している。
スカーリンジの持つ議決権割合は9.5%で、株式の保有割合より多い。「クラスA普通株式」は1株に1議決権が付与されるが、スカーリンジは1株あたり10議決権が付与される「クラスB普通株式」を独占保有しているためだ。
それでも、リビアンに出資する他の投資家たちに比べてスカーリンジの経営支配権は弱い。
ちなみに、リビアンの最大出資者は驚くなかれ、アマゾンだ。株式保有割合は約19%、議決権割合もスカーリンジを大きく上回る17.3%となっている。
リビアンの他の大株主は、米資産運用大手ティー・ロウ・プライス(T. Rowe Price)、米自動車大手フォード(Ford)、米自動車関連サービス大手コックス・オートモーティブ(Cox Automotive)の子会社、サウジアラビア政府系自動車会社の投資部門など。
コックスの子会社以外の株式保有比率および議決権割合は、いずれもスカーリンジを上回る。
(翻訳・編集:川村力)