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- アメリカが渡航制限を緩和したことによる旅行需要の増加から、エアビーアンドビーは大きな利益を得ることが期待されている。
- エアビーアンドビーの最近のデータによると、アメリカが外国人旅行者受け入れの再開を発表した後、外国人の予約が44%増加した。
- ある旅行専門家はInsiderに対し、これは2021年に向けた旅行業界の着実な上昇の始まりに過ぎないと語っている。
海外からの訪問者にアメリカの国境が開放されたことで、エアビーアンドビー(Airbnb、以下エアビー)のような宿泊サービス企業への予約が急増しており、これまで規制で抑えつけられていた旅行への需要が明らかになった。
エアビーの最近のデータによると、アメリカが2021年11月8日から33カ国への渡航制限を緩和すると発表した直後に、外国人観光客の予約が44%増加した。エアビーが2021年11月9日に発表したレポートによると、国境を越えた旅行が増加していて、自宅から3000マイル(約4828キロメートル)以上離れた場所への旅を予約する人が増えているという。
これらの旅行の多くは「歴史的に世界最大のインバウンド旅行市場である」アメリカへのものだとエアビーは報告書に記している。
「世界各国が渡航制限を緩和し始めたことで、関心が急激に高まっている」
アトモスフィア・リサーチ(Atmosphere Research)の旅行業界アナリストであるヘンリー・ハートベルト(Henry Harteveldt)は、回復のペースは今後数カ月の間、「ちょっとしたジェットコースターのように」なるかもしれないと予想している、とInsiderに述べた。
ハートベルトは、「今は需要が急増している状態だが、クリスマスの頃にはさらに増えるだろう。2022年には海外からの来訪者が増え、ビジネスが着実に進歩する年になることを期待している」と述べた。
アメリカ国内での旅行の予約も増加しており、感謝祭(11月25日)の週だけで40%の予約増となっている。これは新型コロナウイルスのワクチンの接種率が高まる中、アメリカ人が休暇を家族と過ごしたいと思っているためだとエアビーの報告書は指摘している。
旅行需要の増加に伴い、TSAチェックポイント(空港で運輸保安局が搭乗者のセキュリティーチェックを行う場)を通過する旅行者数は、2019年のレベルに近づいており、2020年の2倍以上の数となっている。2021年の夏の終わりには航空便の数は少し落ち込んだが、ハートベルトによると、航空各社はアメリカ国外の販売拠点からの予約の増加に満足しているという。
外国人旅行者のアメリカへの来訪は、新型コロナウイルスによるパンデミックで大きな被害を受けた観光業、小売業、接客業などの地域経済や産業を大きく活性化することが期待されている。ハートベルトによると、海外からの旅行者は、「滞在している近隣で金銭を使う傾向がある」ため、ホリデーシーズンを前に旅行者による消費が増える可能性が高いという。
新型コロナウイルスのパンデミックの際、エアビーは景色の変化や新しい仕事場を探している人々を引き付けることができたが、現在もまだパンデミックの損失からの回復途上であり、いくつかの課題を抱えているとハートベルトは述べている。
そのひとつは予約需要を満たしてホストとの関係を再構築することだ。パンデミックによるロックダウンが始まった際、エアビーではホストから予約客へ旅行保証金を返却させていた。加えて、一部の利用者は新型コロナウイルスの冬の急増に警戒感を抱いており、将来的に規制が入った場合には旅行業界の回復に新たな障害となる可能性がある。
「エアビーが直面している課題はまだ残っており、この業界が完全に順風満帆になることはないだろう。しかし、エアビーはマーケティングの観点からビジネスを競うための財政的な準備ができており、利用客の獲得に成功すると考えている」とハートベルトは述べている。
※Insider Incを所有するアクセル・シュプリンガー(Axel Springer)社はエアビーアンドビーに出資している 。
(翻訳:大場真由子、編集:Toshihiko Inoue)