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ENEOS「前代未聞の巨額買収劇」は氷山の一角? 日本にも“不穏な”ESGバブルの兆し

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ENEOSによる再生可能エネルギー企業の巨額買収が話題に。

Shutterstock.com

2021年最大の新規株式公開(IPO)となった米電気自動車(EV)スタートアップ、リビアン(Rivian)の上場は、投資家たちを熱狂させた。

「次のテスラ」の呼び声が高いだけあって、11月10日の上場直後に株価が高騰し、時価総額は一時1000億ドル(約11兆円)を突破。ゼネラル・モーターズ(GM)、フォード・モーターを超え、アメリカの自動車メーカーとしてはテスラに次ぐ額を記録した。

ESG投資への熱が広がっているのは、海の向こうだけではない。

日本国内でも、エネルギー大手・ENEOSが10月に、再生可能エネルギースタートアップ、ジャパン・リニューアブル・エナジー(JRE)を2000億円で買収すると発表。経済界や市場関係者の度肝を抜いたばかりだ。

詐欺罪で起訴されたニコラを彷彿とさせる

実は、今回の「リビアン・フィーバー」とも言える状況に、眉をひそめる市場関係者も少なくない。

「創業者が詐欺罪で起訴されたEVスタートアップ、ニコラ(Nikola)の上場を思い起こさせます」

そう語るのは、りそなアセットマネジメントのチーフ・ストラテジスト、黒瀬浩一氏だ。

2020年に上場した水素燃料電池トラックメーカーのニコラは、2020年6月に特別買収目的会社(SPAC)の仕組みを利用して上場。当時、まだ1台も生産・販売していなかったにもかかわらず、時価総額は一時、フォードを上回る約288億ドル(約3兆円)となった。

2020年9月にはGMとの提携を発表し、順風満帆に見えた。

しかし、ニコラが喧伝する技術や開発動向に対する虚偽疑惑が広まり、創業者のトレバー・ミルトン氏は最高経営責任者(CEO)を辞任。GMとの提携は一部を除いて実現せず、ミルトン前CEOはアメリカ連邦検事局から詐欺罪で起訴、アメリカ証券取引委員会(SEC)からは民事提訴された。

「アマゾンが筆頭株主とはいえ、まだ本格的な販売を行っていないリビアンの時価総額が1000億ドルになるとは。いくらなんでも過大評価すぎるという懸念が、金融界で広がっています」(黒瀬氏)

ESG投資ブームに「バブル」の懸念

リビアン上場に株式市場が湧いた背景にはもちろん、そうした時代の潮流、いわゆる“ESG投資ブーム”がある。

国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)では、開催国イギリスの主導で、今後販売する新車を、主要市場で2035年までに、世界全体では2040年までに、温室効果ガスを排出しないEVなどに限定することを目指す共同声明を発表

自動車産業が強い日本やアメリカ、ドイツ、フランス、中国は署名を見送った一方で、GMやフォード、メルセデス・ベンツ、ボルボなどの大手自動車メーカーが署名。世界的なEVシフトの勢いは、衰える兆しがない。

ESG投資に関する国際的な調査機関「世界持続可能投資連合(GSIA)」によると、2020年のESG投資額は2018年から15%増え、35兆3010億ドル(約3900兆円)に拡大

アメリカは42%増の17兆810億ドルとなり、欧州をしのぐESG投資大国となっている【図表1】。

ESG 投資額

【図表1】世界のESG投資額の推移。欧州とオーストラリアについては「ESG投資」の定義が厳格化されたため、2020年と過去を単純に比較することは難しいという。

出所:世界持続可能投資連合「GLOBAL SUSTAINABLE INVESTMENT REVIEW 2020」より筆者作成

テスラやリビアンをはじめとするEV関連のスタートアップは、ESG投資ブームの大きな目玉にもなっている。2020年はフィスカー(Fisker)、ローズタウン・モータース(Lordstown Motors)、カヌー(Canoo)などのEVメーカーの上場が相次いだ。

ESG投資について、国際決済銀行(BIS)のエコノミストは「ESG投資にバブルが発生する恐れがある」と警告。1990年代後半から2000年にかけて起きた「ドットコムバブル」になぞらえ、「ESGバブル」だと警鐘を鳴らす投資家もいる。

ENEOSの巨額買収が示唆すること

日本にとっても“対岸の火事”ではない。

ENEOSが2000億円もの金額を投じてジャパン・リニューアブル・エナジー(JRE)を買収するというニュースに、経済界や市場関係者の注目が集まった。

資産運用会社のストラテジストによると、買収金額の目安は、直近の純利益の5〜7倍が通常だという。

ジャパン・リニューアブル・エナジーの2020年の最終損益は約9億円の赤字。稼働まで時間を要する大規模な洋上風力発電プロジェクトを抱えているため、資産算定が高めになる面はあるとはいえ、「これほどの金額を投じるのは前代未聞」という見方が少なくない。

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