Insiderでは、さまざまな理由によりフェイスブックが好きではないという51歳から61歳までの3人に話を聞いた。彼らは情報漏洩などのプライバシー問題や、タイムラインに流れるコンテンツの内容などを問題視している。
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- ここ数年、フェイスブックは中高年のユーザーが多いと言われている。
- Insiderは、フェイスブックを利用していないという51歳から61歳の3人に話を聞いた。
- フェイスブックにはベビーブーマー世代があふれているという固定観念に同意する人もいた。
フェイスブック(Facebook)は、かつてインターネット上で若者が集まる人気のスポットだったが、ここ10年でティーンエイジャーが寄り付かなくなり、中高年層が多いという評判になっている。
Insiderが以前報じたところによると、オハイオ州に住む19歳のメーガン(Megan)は、フェイスブックは「まるでベビーブーマー世代(1946年から1964年生まれ)のためのSNSみたい」と語っていた。またバージニア州に住む14歳のアレクシスは「年配の人がいる限り」フェイスブックは使わないと述べていた。
アメリカでは近年、高齢者のウェブサイト利用率が大きく伸びている。ピュー・リサーチ・センター(Pew Research Center)によると、2015年から2019年の間に、ベビーブーマー世代とサイレント世代(1927年から1945年生まれ)の中でフェイスブックを利用していると答えた人の割合は、いずれも2桁台の増加となった。市場および消費者データのコンサルティング会社Statisticaが2021年7月に発表したレポートによると、アメリカのフェイスブックユーザーは45歳以上が35.2%を占める一方、13歳から17歳までのユーザーは2.9%にとどまっている。
これらの数値は、世代ごとの違いを明確に示しているが、ベビーブーマー世代やX世代(1965年から1980年生まれ)の中にも、実はフェイスブックが嫌いだと言う人もいる。Insiderが51歳から61歳の3人に話を聞いたところ、フェイスブックに興味のない多くのティーンエイジャーと同じ意見だった。
誤まった情報やプライバシーへの懸念からフェイスブックを利用しないという人も
Insiderに対して、フェイスブック上の誤った情報が気になると語る人がいる。
フェイスブックは新型コロナウイルスに関する誤報を削除するためのポリシーを制定しているが、内部文書によると、ワクチン接種を躊躇するコンテンツの表示防止や削除に苦心しているとInsiderは報じている。
51歳(X世代)のティム・シモンズ(Tim Simmons)がInsiderに語ったところによると、フェイスブックが「下水道のようになってしまった」ので、2年前に利用をやめたという。フェイスブックで見かける多くの人は、同意できない政治的意見や健康に関する誤った情報など「受け入れがたく、明らかにでたらめなことを投稿している」と彼は述べ、「簡単に否定されるような情報が圧倒的に多く流布している」と付け加えた。
中西部に住む53歳のレディット(Reddit)ユーザーであるジャック(プライバシー保護のため仮名)は、フェイスブックを好きになれない理由の1つが誤報を見かけることだと、レディットのメッセージを通じて語った。
ジャックは、レディットを何年も利用しており、かつてはリンクトイン(LinkedIn)も利用していたが、「フェイスブックにそっくりになってきた」のでやめたという。
バージニア州バージニアビーチに住み、政府のITスペシャリストとして働くシモンズは、フェイスブックを使い始めてまもなく、セキュリティ上の懸念を抱いたという。
フェイスブックはこれまでに、セキュリティ情報の漏洩やプライバシーの侵害などの問題に直面してきた。例えば2021年4月には、ハッキングフォーラム上でフェイスブックユーザー5億3300万人の電話番号、所在地、姓名などの個人データが公開された。
シモンズは、レディットを最も頻繁に利用し、インスタグラム(Instagram)のアカウントも持っているが、他のソーシャルメディアのアカウントはすべて削除してしまったと言う。
サンフランシスコに住む61歳(ベビーブーマー世代)のケイト・ヴァン・ホーテン(Kate Van Houten)は、レディットだけを利用している。フェイスブックは友人の行動を把握するためだけに利用していたが、何年も前からやめたり再開したりを繰り返し、最終的には、友人たちが「食べ物の写真を投稿したり、くだらないことを言い続けたりする」から利用しなくなったと、Insiderに語った。
ジャックは、誰もがフェイスブックを匿名で使えるようにすれば、もっと利用するようになる「かもしれない」と述べたが、「みんなが匿名だったら、本当の意味でのフェイスブックではないし、正直言って、それほど役に立たない」とも付け加えた。
シモンズは「フェイスブックが本当にユーザーを取り戻したいのであれば、ユーザー自身が自分のデータをコントロールできるようにするはずだ。表示されるコンテンツについてもそうだ」と述べている。彼は、フェイスブックのアルゴリズムによってコンテンツやプロモーション商品を提供されるのが好きではないという。
ヴァン・ホーテンは、もしフェイスブックが「必要性を感じさせてくれる」のであれば、利用を再開するかもしれないという。彼女はレディットにあまりにも多くの時間を費やしており「何か別のことをすべきだろう」と考えている。
とはいえ、世界的に見ると、フェイスブックのユーザー数は減少していないようだ。Statisticaが2021年10月に発表したレポートによると、2021年第3四半期のフェイスブックの月間アクティブユーザー数は29億人で、過去最高のピークを迎えている。
[原文:'Boomers' explain why they don't like Facebook, despite its reputation as an older social network]
(翻訳:仲田文子、編集:Toshihiko Inoue)