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「うちの国宝、全部見せます」東京国立博物館が150周年で特別展。担当学芸員が“奇跡的”と語る見どころは

東京・上野の東京国立博物館(東博)が2022年に創立150年を迎える。同年10月にはメモリアルイヤーを記念した事業の一つとして、所蔵する国宝の全てを展示する特別展を開催する。

タイトル『国宝 東京国立博物館のすべて』は「誇大広告ではございません」

150周年記念のキービジュアル。キャッチコピーは「150年後もお待ちしています。」

150周年記念のキービジュアル。キャッチコピーは「150年後もお待ちしています。」

撮影:吉川慧

11月15日の記者会見で発表されたタイトルは「国宝 東京国立博物館のすべて」。開会期間は2022年10月18日~12月11日。展示は「国宝」と「歴史」の2つを軸とする二部構成の予定だ。

撮影:吉川慧

第一部では、東博が所蔵する89件の国宝を会期中に展示替えを含めつつ、全て展示する。

東博が所蔵する国宝は、日本の国宝(美術工芸品)のおよそ1割に当たる。一つの博物館としては日本最大のコレクションだ。

武人埴輪の代表作「埴輪 挂甲の武人」(古墳時代・6世紀)、狩野永徳の障壁画「檜図屏風」(安土桃山時代・1590年)、渡辺崋山が描いた江戸肖像画の傑作「鷹見泉石像」(江戸時代・1837年)などがお目見えする。

「東博創立150周年記念」プレス資料より。

「東博創立150周年記念」プレス資料より。

撮影:吉川慧

また、国宝指定の刀剣19件は1つの部屋で全て展示する「国宝刀剣の間」を特別に設けるという。

ここでは天下五剣の一つ「太刀 銘 三条(名物 三日月宗近)」(平安時代・10〜12世紀)などが展示される。

この特別展を担当する東博・登録室長の佐藤寛介さんによると、所蔵する国宝を一堂に紹介するのは東博の歴史上初めてのことだという。

「 (「国宝 東京国立博物館のすべて」は)かなり攻めたタイトルだなと思われた方もいらっしゃるかもしれません。でも安心してください。このタイトルに偽りや誇大広告はございません」

「各分野の研究員には2年前から働きかけをしてきました。展示替えはありますが、89件が展覧会で一堂に並ぶということは奇跡的なこと。今後あるかどうかはわかりません。画期的なことです」
(佐藤さん)

撮影:吉川慧

第二部では、日本の博物館の歴史とも言える東博の150年を3部構成で紹介する。

東博は1872年に旧湯島聖堂の大成殿で開催した博覧会を機に発足した「文部省博物館」をルーツに持つ。その後は内務省、宮内省などの所管に。

1923年の関東大震災では旧本館が損壊する被害を受けた。太平洋戦争中は美術品を疎開させ、戦争末期には観覧中止に。食糧難から敷地を農地として開放したこともあった。こうした明治〜令和までの歩みを、東博のコレクションや資料でたどる。

「東博創立150周年記念」プレス資料より。

「東博創立150周年記念」プレス資料より。

撮影:吉川慧

展示会では1872年に旧湯島聖堂で展示された作品のうち、現存するものを披露する。保存されている約100年前の展示ケースなども活用し、かつての展示空間の再現も試みるという。

東博はかつて総合博物館「東京帝室博物館」として、自然や動植物などの標本も多数所蔵、展示していた。今回の特別展では、現在は国立科学博物館に所蔵されているキリンの剥製標本も約100年ぶりに里帰りさせる。

「日本の近代化と博物館の歩みを、東博は体現している」

記者会見後、佐藤さんはBusiness Insider Japanの取材に対し、展覧会の見どころについてこう語った。

東博の150年の中でどのようにコレクションが形作られていったか。国宝の1割という質・量とも圧倒的な東博のコレクションを皆さんと一緒に味わっていただきたいです。いつ頃、どういった経緯で所蔵品がコレクションに入ったのか歴史的な経緯にも触れつつご紹介します。

博物館の命はコレクションです。それが150年の歩みの中でどのように形作られていったか。これが実は日本近代史の流れとリンクしているんですよね。

NHKの大河ドラマ『青天を衝け』と同じ時代に東博は産声をあげています。まさに日本の近代化と博物館の歩みを、東博は体現していると思います。

150年という、かけがえのない機会でのみ実現できる、素晴らしい展示になると思います。このタイミングでこそ、精一杯できる展示をして、至高のものを御覧いただきたい。

リピーターの方はもちろん、東博にお越しになったことがない方にとっては、まるっと東博の魅力を味わえる機会になります。初めての方にこそご来場いただきたいと思います。

館長「私たちにとって、博物館がなぜ必要なのか」を考える機会に…

東京国立博物館の銭谷眞美館長。

東京国立博物館の銭谷眞美館長。

撮影:吉川慧

この10年、東博を訪れる人の数は飛躍的に増えた。インバウンド需要に対応するため多言語での展示紹介を充実させたり、夜間開館などにも取り組んできた。

こうした努力もあり、2012年には155万人だった入館者数は2019年度に過去最高の259万人を記録した。

ところが、150周年のメモリアルイヤーを目前に控えて世界はコロナ禍に陥った。未曾有の危機は東博にとって、博物館の役割を改めて問い直す機会になったという。

東京国立博物館の銭谷眞美館長は、この日の挨拶の中でこう述べた。

新しい生活様式による社会の変容の中にあって、私たちも大きな節目を迎えます。150周年は、博物館のありかたを再確認して「私たちにとって、博物館がなぜ必要なのか」を考える機会だと受け止めています。

創立150周年にあたり、新しい一歩をあなたと……。そういう思いで、誰にとっても身近な博物館として歩み出したい、歩み続けたいと思っています。

東博では150周年を記念してこの他にも、戦後に培ってきた文化財の修復技術や「未来の国宝」と題した知られざる所蔵品を紹介する特集展示を企画。例年の1.5倍となるおよそ30件の特集展示を企画している。詳細は150周年記念サイトで。

(文・吉川慧)

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