バーチャルアシスタントをしているジェシカ・ホークス。
Jackie Sterna
ジェシカ・ホークスがバーチャルアシスタント業を始めたのは2020年3月のことだ。バーチャルアシスタントとは、主にオンライン上でやり取りしながら、遠隔で業務を行うアシスタントだ。
彼女が自分のマーケティングのために使ったのはSNSのみ。今やInstagramのフォロワーは13万3000人、TikTokでは86万1000人にフォローされている。Insiderが確認した資料によれば、SNSアカウントを始めてからわずか5カ月で、SNS経由でのビジネスからの月商が9000ドル(約100万円)になった。
コロナ禍によるロックダウンで多くの経営者がデジタル化を強いられる中、ホークスは自分自身が解決策になれるとして提案した。この変化への対応のサポート役となり、事業を成長させ、SNSを使って顧客を開拓する支援をできるとしたのだ。
また、ニューヨーク市の零細企業向けイベントであるSmall Business Expoで3度講演したことのあるマーティーン・カデット(Martine Cadet)も、質の高いSNSコンテンツを作り出すことで生計を立てている。フルタイムでコンテンツについてのコーチングをすることで、企業のオンライン・マーケティングをサポートしている。
どんなビジネスでも今やSNSは重要なマーケティング・ツールだ。プロフィールの作成から有益なつながりをどう獲得するかなど、ビジネスを行う個人がSNSにおいて存在感を示し、自分のブランディングや顧客獲得につなげるための5つの戦略をホークスとカデットが教える。
1. 事業内容が分かるプロフィールを書く
起業家は自分のビジネスについて、事業のマーケティングにつながり、顧客を惹きつけるような、明確な内容のSNSプロフィールを作成するべきだとホークスは言う。
バーチャルアシスタントの仕事をする人は、プロフィール欄を自己紹介として使い、自分にとって理想的な顧客とは誰かを定義するべき、ともアドバイスする。
ホークスがフルタイムでバーチャルアシスタントをしていたときのInstagramのプロフィールは、こんな具合だ。「事業をスケールさせ、自分の時間を作りたいと思っているウェディング・クリエーターの支援と戦略作りのお手伝いをしています」
自分が欲しい顧客を見つけ、バーチャルアシスタントとしての自分の役割を説明するには、シンプルだが効果的なプロフィールが重要だという。
2. ビジネスの意義とアプローチを説明するコンテンツを作る
ホークスはInstagramのアカウントを設定したあと、プロフィール情報を補足するようなキャプションを入れて写真を投稿した。写真や動画などのコンテンツは、そのビジネスの果たす役割や、実際どのようにそのビジネスを行っているのかを説明するのに使った。ビジネスを成功させるためのコツや、なぜ彼女が顧客を成功に導けるのかについてのコンテンツもあった。
売るものがサービスであれ商品であれ、毎回の投稿はブランドの目的を明確に説明する内容にする必要がある。カデットは、そのためにTERAという手法を使うことをSmall Business ExpoのSNSマーケティングのセッションで事業主に推奨している。TERAとは「感情、信頼性、行動を喚起する(trigger emotion, reliability, and action)」という意味だ。
「Instagramに投稿する際、見る人が『自分に話しかけている』と感じられるコンテンツになっているか、自問してみましょう。人間らしさを感じさせない、ロボットのような投稿にしたくないですから」
3. 位置情報やキャプション機能を使いアルゴリズムを活用する
企業のSNS戦略においては、さまざまなコンテンツを投稿することが重要だとカデットは言う。特にInstagramでは、フォロワーのエンゲージメントやつながり感を深めるために、長めのキャプションを付けた画像を投稿するべきだという。
「Instagramは2200文字まで投稿できるので、それを活用しましょう」というカデットによれば、キャプションをタイトル、本文、行動を喚起する部分に分けることで、読みやすくなるという。
位置情報を示すメタデータを追加できるジオタグ(Geotag)など、SNSの他の機能も活用しよう。位置情報を使うとターゲットとするエリアの顧客に見つかりやすくなる。
4. 業界の課題を自分が解決できることを示す
料金の相場、競合他社、業界の専門家などの情報をピックアップした市場調査の情報は、経営者にとって貴重だ。
一番重要だったのは、自分がターゲットにする潜在顧客が具体的にどのような課題を抱えているかの情報だったとホークスは言う。そういった情報を基に、顧客の問題を自分がどのように解決できるのか、課題に関する自分の洞察などのコンテンツ戦略を練ったという。
「共通するテーマや課題を見つけ、それを自分が解決できることを示しましょう」
5. つながりたい顧客を見つける
写真、美容、アートをこよなく愛するホークスは、ウェディングの演出事業をターゲット顧客に設定した。ウェディング業界のバーチャルアシスタントとして自分をマーケティングし、その分野のビジネスをしている人や潜在顧客にアプローチした。
ホークスは、サービス業である自分の仕事について、「自分から出て行って、一緒に仕事をしたいと思う人たちを見つけて来られるかにかかっている」と語る。そして、Instagramや他のSNSの検索機能を使って潜在顧客を探すべきだという。
商品を販売している企業にとっても、つながりをつくることは重要だ。ビジネスと顧客を自然な形でつなぐことができるのは、コンテンツの中でも動画だとカデットは言う。
動画を共有する際には、自動作成されるキャプションを活用することをカデットは勧める。その文字情報をもとに、視聴者は動画を見るか、次の動画にスクロールするかを決めるのだという。
「見る側はスクロールしながらそれを3秒で判断するのです」
6. 自分のソフトスキル、ハードスキルと人となりを宣伝する
ハードスキルを求める企業は少なくないものの、多くの人は、たくさんのアイデアがあって、積極的で、頑張ることをいとわず、義理堅い人と働きたいと思うものだとホークスは言う。
「私は自分の職業倫理観を顧客にアピールしました」と言うホークスによれば、そういった性格面も、見込み顧客との会話やSNSの投稿から伝わることがあるという。スキルや経歴だけでなく自分の人となりが見えるプロフィール内容にしよう。
自分の性格をオンライン投稿で見せるのに躊躇する人もいるかもしれないが、投稿を見てもらい親近感を持たせ、自分の性格面をアピールすることが、本物の人間関係やビジネスの成功につながるとホークスは言う。
カデットも同様に、誠実なコンテンツが重要で、それが信頼を獲得し行動を喚起するというTERAの手法にも役に立つという。ビジネスや起業家の性格や精神を見せることが、固定客を生み出す確実な方法だ。
[原文:How to market yourself on social media according to a virtual assistant making $9,000 per month.]
(翻訳:田原真梨子、編集:大門小百合)