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地球から最も遠くにある宇宙船「ボイジャー1号」、星間空間で「持続的な低い音」を検出

※本記事は、2021年5月17日に掲載した記事の再掲です

ボイジャー1

宇宙空間を移動するNASAのボイジャー1号の想像図。

NASA/JPL-Caltech

地球から225億キロメートル以上離れたNASAの宇宙探査機ボイジャー1号は、星間空間が奏でる音を聴いている。

40年以上前に打ち上げられたボイジャー1号は、2012年に太陽系を抜けて星間飛行を開始し、それから5年後、単調な音を拾うようになった。

Nature Astronomy」に5月10日付けで掲載された論文によると、ボイジャー1号は、電離したガス、すなわちプラズマの絶え間ない振動音を検出しているという。この音は、プラズマが星間ガス(星間空間を満たす放射線、ガス状粒子、塵などの物質)の中を波打って進む際に発生する。

コーネル大学の天文学者で今回の論文の筆頭著者であるステラ・コッホ・オッカー(Stella Koch Ocker)はプレスリリースで「星間ガスのかすかで持続的な音を検出した」と述べている。オッカーによると、この音は人間には聞こえないが、ボイジャー1号に搭載された機器ではその振動を拾うことができるという。

「我々がそれを聞くことができるとしたら、安定した継続的な音が、時間の経過とともにわずかに変化するように聞こえるだろう」と彼女はロイターに語った

ボイジャー1号がさらに移動する間もこの振動を観測していけば、星間空間がどのようなものなのか、星間ガスとプラズマの混ざり具合が宇宙の位置によってどのように異なるかについて、理解が進むだろう。

星間空間に流れる「穏やかな雨」の音

エンジニア

ボイジャー1号の作業にあたるエンジニアたち。1976年11月18日。

NASA/JPL-Caltech

ボイジャー1号は、これまでのどの宇宙船よりも地球から遠く離れた場所を飛行している。同機はこれまでに星間空間に到達した2つの人工物のうちの1つであり、もう1つは2018年に太陽系を離れたボイジャー2号だ。

NASAは1977年に2機のボイジャーを打ち上げた。双子の宇宙船は5年にわたるミッションで木星と土星の観測を行い、土星の環の組成や、木星の衛星イオに火山があることなどを明らかにし、その後、ボイジャー2号は天王星と海王星を、ボイジャー1号は太陽系の果てを目指した。

星間空間に到達するには、太陽から吹き出すプラズマの流れ、すなわち太陽風の勢力範囲(ヘリオスフィア)と星間空間の境界面にあたるヘリオポーズを越えなければならない。太陽風は太陽系外にも広がっているが、ヘリオポーズでは星間風の圧力を受け、太陽の方向に押し戻される。

ボイジャーの図

2013年時点のボイジャー1号と2号の位置を示す図。ボイジャー1号(上)は、グレーで示されたヘリオスフィア(太陽圏)から抜け出して星間空間に突入し、ボイジャー2号はまだ抜け出していない。

NASA/JPL-Caltech

太陽の影響がヘリオポーズを越えて及ぶことがあるという研究結果もある。太陽は時折、太陽フレアの形で数十億トンものプラズマを宇宙空間に噴出し、星間ガスに激しい衝撃を与える。ボイジャー1号もこれまでそのような衝撃波を検出したことがある。

しかし、ボイジャー1号がヘリオポーズの先に進むほど、星間ガスとせめぎ合う太陽風のエネルギーは弱まっていく。NASAによると、ボイジャー1号がそのまま進むと、太陽からのプラズマが測定に影響を与えなくなる時期が来るという。探査機がそこに到達すれば、「宇宙のさらなる深淵からの刺激を感じ取ることができる」という。

実際、今回の論文で取り上げられた音は、太陽の活動とは無関係と見られている。これは、太陽からの不規則な衝撃波とは異なり、星間ガスの中での絶え間ない振動からくる音であり、天文学者がまだ知らない別のエネルギー源があることを示唆している。

「星間物質(の状況)は、静かな、あるいは穏やかな雨のようだ」と、コーネル大学の天文学者で、論文の共同執筆者でもあるジェームズ・コーデス(James Cordes)は、プレスリリースで述べている。

「太陽のアウトバースト(突発的な増光)は、雷雨の中で稲妻を検出し、その後また穏やかな雨に戻るようなものだ」

この穏やかな雨の音を聞くことで、ボイジャー1号が地球から遠く離れていくにつれて星間空間の密度が変化するのかどうかを理解できるだろう。また、星は密度の高い星間雲の中で形成されるため、最も多くの恒星が生まれる場所はどこなのか、そしてその方法についても手がかりが得られるかもしれない。

[原文:The farthest spacecraft from Earth has detected a 'hum' in the space beyond our solar system

(翻訳:仲田文子、編集:Toshihiko Inoue)

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