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2021年の売上は中国の10分の1。アメリカのソーシャルコマースの現況と今後

  • この記事はインサイダー・インテリジェンスによる調査レポート「ソーシャルコマース 2021(Social Commerce 2021)」のプレビュー版。

2021年のアメリカにおけるソーシャルコマースの売上高は、前年比35.8%増の366億2000万ドル(約4兆2000億円)に達する見込みだ。主にパンデミックの影響によるEコマース・ブームとソーシャルメディア視聴時間の増加で、その前の年に比べ38.9%と大きく伸びた2020年と比べても、成長のペースはそれほど鈍化していない。

とはいえ、アメリカのソーシャルコマースの市場規模は、中国(2021年の売上高が3516億5000万ドル)の10分の1程度に過ぎない。

ブランドはプラットフォームでの直接販売など、ソーシャルメディアの活用を進めている。インフルエンサー・コンテンツに親しみ、それを参考にすることが多いミレニアル世代やZ世代。デジタルに強い彼・彼女らは、今後ますますソーシャルコマースを利用するようになるだろう。

ソーシャルコマースとは?

2021年のソーシャルコマースの状況。中国での売上高は3516億5000万ドル(約40兆円)。アメリカではインターネットユーザーの35.9%が1度以上ソーシャルコマースを利用。アメリカで最も利用されるソーシャルコマースのプラットフォームはFacebook。

2021年のソーシャルコマースの状況。中国での売上高は3516億5000万ドル(約40兆円)。アメリカではインターネットユーザーの35.9%が1度以上ソーシャルコマースを利用。アメリカで最も利用されるソーシャルコマースのプラットフォームはFacebook。

Business Insider Intelligence

Eコマースのなかでも「ソーシャルメディア上で消費者が直接買い物をする」ことをソーシャルコマースという。ソーシャルメディア上のリンクから小売業者のウェブページに遷移し、商品を購入できるようにする方法もこれに含まれる。

インサイダー・インテリジェンスの予想では、中国で4億2400万人以上の消費者(14歳以上)が2021年に少なくとも1度はソーシャルコマースを利用する。これはインターネットユーザーの46.4%に相当。「インターネットユーザーに占めるソーシャルコマース利用者の割合」では、インサイダー・インテリジェンスが調査した13カ国中、アメリカが35.9%(9020万人)で2位となっている。

ソーシャルコマースのマーケティング戦略

すべてのブランドが共通して使えるマーケティング戦略は存在しない。例えば「アスレジャー製品」のソーシャルショッピング体験と「家電製品」のキャンペーンは全く異なるものになるだろう。だが、どのブランドも「インフルエンサー」「消費者の行動喚起(Call to Action:CTA)」「ユーザー生成コンテンツ」をうまく活用することで、ソーシャルコマース市場で優位に立つことができる。

アメリカにおけるソーシャルコマースの売上高の推移と予測。赤は増加率。

アメリカにおけるソーシャルコマースの売上高の推移と予測。赤は増加率。

Business Insider Intelligence

ソーシャルメディア・ユーザーにニュースフィードの広告経由で商品やサービスを買ってもらうための定番となっているCTAには、「スワイプアップして購入」や「ストアリンクはプロフィール欄へ」などのフレーズがある。

ユーザー生成コンテンツもマーケターにとって重要性が増しており、TikTok動画やハッシュタグ・チャレンジはブランドに価値をもたらしている。広告主やマーケターは、視聴者にとって親しみやすいこれらのコンテンツとCTAをうまく組み合わせることで、利益を導き出している。企業がソーシャルコマース戦略を立てる際には、これらのオーガニックな方法に加えてインフルエンサーの活用も積極的に検討すべきだ。

インスタグラムは2019年から「チェックアウト」というショッピング機能を一部のインフルエンサーに与えている。また、Snapchatもトップ・インフルエンサーに「ショップ」ボタンを提供している。最近ではTikTokもソーシャルコマース市場に参入。2020年11月にShopifyとの提携を発表している。

広告関連企業のグローバルウェブインデックス(GlobalWebIndex)が2020年9月に行った調査では、インフルエンサーのライブ配信を定期的に視聴するアメリカのインターネットユーザーの70%が「インフルエンサーが勧める商品を購入する可能性がある」と回答。インサイダー・インテリジェンスの予想では、従業員数が100名以上のアメリカ企業のマーケティング担当者の67.9%が、2021年にインフルエンサーを使ったマーケティングを行うとしている。

ソーシャルコマースのトレンド

中国とアメリカにおける2021年のソーシャルコマースの売上高。

中国とアメリカにおける2021年のソーシャルコマースの売上高。

Business Insider Intelligence

中国での先例があるため、ブランドはソーシャルコマースの未来に楽観的だ。インサイダー・インテリジェンスによる調査レポート「ソーシャルコマース 2021」によると、ソーシャルコマースはアメリカにおけるEコマースの成長の鍵を握っている。そのイノベーションの参考となるのが中国だ。

特にWeChatは、アメリカ企業やその他のブランドがソーシャルコマース戦略を立てる際のモデルとなる。企業はWeChatのプラットフォーム上にバーチャル店舗を持つことができ、ワンストップショップとして機能している。

オンラインショッピングに関しては、消費者が特定の商品を検索して買う場合もある。だが、ソーシャルコマースは「欲しいものが曖昧な時」あるいは「購入する意思がない時」にも「なんとなくネットを見ていて買いたくなる」状況と新たな需要を作り出す。ブランドや企業はソーシャルメディア上で消費者が商品を発見する機会を設けようとしている。

ソーシャルコマース企業の例

ソーシャルコマースに関しては、ソーシャルメディア企業ごとにそれぞれのアプローチがある。ここでは主だったプラットフォームについて解説する。

Facebook

圧倒的な規模の大きによって、Facebookはマーケティングのためのプラットフォームとしてトップに君臨している。2021年には5610万人がFacebook で買い物をする見込みで、アメリカで一番のソーシャルコマース・プラットフォームとなっている。

2020年には、コロナ禍で苦しむ中小企業のオンライン化を後押しするため、企業が無料でオンラインストアを開設できるモバイルプラットフォーム「Facebookショップ」を立ち上げた。この取り組みが成功すれば、大手ブランドに向けたサービス展開の可能性もある。

インスタグラム

インフルエンサー文化と深く結びついたFacebook傘下のインスタグラムは、ソーシャルコマースの分野で非常に重要な位置を占めている。

インスタグラムは2019年に「チェックアウト」機能を開始し、プラットフォームでの直接購入を可能にした。2020年にはショッピング機能をさらに進化させ、ホームページの下部にショップタブのアイコンを配置した。ユーザーはアイコンをクリックするだけで、フォローしているブランドやインフルエンサー、セレブなどが推している商品をすぐに見て購入できるようになった。

Pinterest

Pinterestで最も検索されるカテゴリーは「インテリア」「ファッション」「ヘルス&フィットネス」。ショッピングやブランド認知と親和性が高く、ソーシャルコマースの理想的なプラットフォームとなっている。

PinterestはFacebookに比べてユーザーのエンゲージメントが低いものの、「買い物のためのインスピレーションを与えること」を前提としたプラットフォームであるため、重要な購買チャネルとして認識されている。

TikTok

ソーシャルコマース領域に進出してまだ日が浅いが、TikTokは中国企業としての強みがある。これまで他の市場で何が成功し、何が失敗したかについて多くの知見を有しており、競争で優位に立つためにそれを利用できる。

優れたアルゴリズムと、テクノロジーに精通した熱心なユーザーベースを持つTikTokは、プロダクトマーケットフィットを達成すれば、この分野でも急速な成長を遂げるかもしれない。最近ウォルマートと提携したことも強みだ。Eコマース分野で消費者の需要を喚起し、満たすための強力なパートナーとなるだろう。

Twitter

2017年に「購入」ボタンを廃止してからは特に、Twitterはソーシャルコマース分野では最も人気のないプラットフォームかもしれない。とはいえ、ブランドやマーケターはTwitterでの「ソーシャルリスニング」をソーシャルコマース戦略に活かせる。

オーディエンスが何が好きで何が嫌いなのか、正直な気持ちをツイートの分析から把握し、収集したデータに基づきソーシャルメディア戦略を立てられる。

ソーシャル・コマース市場の現状と展望

「Eコマースの売上全体に占めるソーシャルコマースの割合」の推移と予測。赤は中国。黒はアメリカ。

「Eコマースの売上全体に占めるソーシャルコマースの割合」の推移と予測。赤は中国。黒はアメリカ。

Business Insider Intelligence

インサイダー・インテリジェンスの予測では、アメリカでのソーシャルコマースによる小売売上高は、2021年に前年比35.8%増の366億2000万ドルに達する。アパレルやアクセサリーなどのファッション関連カテゴリーが最大の規模を維持しているが、電子機器メーカーやインテリアなどのライフスタイルブランドも重要なプレーヤーだ。新製品や他との差別化をうたう製品を売りたいブランドこそ、ソーシャルコマースを活用するメリットがある。

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[原文:Social Commerce 2021: Social media and ecommerce convergence trends bring growth opportunity for brands

(翻訳・野澤朋代)

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