再エネ小売の「黒船」英オクトパスがサービス開始。東京ガスとの合弁で「日本最大の新電力」目指す

TGオクトパスエナジー 公式サイト

従来型のエネルギー企業とは異なるユニークなアプローチで急成長している英オクトパスエナジー。

提供:TGオクトパスエナジー

いま最も勢いのあるエネルギーテック企業と言われるイギリスのオクトパスエナジー(Octpus Energy)と東京ガスとの合弁会社「TGオクトパスエナジー」が11月15日、関東圏で電力販売をスタートした。

まずはベータ版の提供から始め、システムの使い勝手や料金などに関する顧客の声を反映しつつ、年明けの本サービス開始を目指す。

オクトパスエナジーは200種類を超える多彩な料金プランで知られるが、日本ではまず、「ハジメテオクトパス」というベータ版の料金プラン1種を提供する。

対象は、関東圏(東京電力管内)の家庭や小規模事業者(低圧電力で供給を受けている利用者)。新規契約者には1万円を割り引く「1万円割」も実施する。

最大の強みは、独自のクラウドプラットフォーム

「(低圧ベースで)日本最大の新電力、東京ガスを超えられるように頑張りたいですね」

こう意気込みをみせるのは、TGオクトパスエナジーの中村肇代表取締役社長だ。

「スタートしたばかりなので“野望”に過ぎませんが、『オクトパスが一番いい』と言ってくださるお客さまをひとりでも増やしたい。

そのために、テック企業としての強みを最大限に生かし、個々のお客さまにとってベストなサービスを迅速に提案・提供していくことにこだわっていきます」(中村代表)

オクトパスエナジーの最大の強みは、人工知能(AI)を駆使した独自のクラウド型テクノロジー・プラットフォーム「クラーケン」。

サービス提供にともなう作業の多くを自動化し、電力使用状況をはじめとするさまざまなデータを一括管理することで業務を大幅に効率化できることが特徴だ。

戦略企画マネージャーの悦喜亮二氏は「直感的に操作できるのもクラーケンの特徴」と話す。

「iPhoneをイメージすると分かりやすいかもしれません。お客さまがどんな契約で、どんな電気の使い方をしているのかがすぐ把握できるので、スピーディな対応や提案が可能です」(悦喜氏)

「コンシェルジュ」が迅速に対応

クラーケンのおかげで “節約できた時間”は、顧客のために充てる。

顧客からの問い合わせや要望に、自動音声で何度も番号を押してようやく担当者につながるような「たらい回し」はせず、「エナジースペシャリスト」と呼ばれる担当者が迅速に対応。

一顧客に対して常に同じ担当者・チームがワンストップで対応するオクトパス独特の「コンシェルジュ」的なサポートは、競争の激しいイギリスにおける新規参入競争を勝ち抜いてきた大きな要因でもある。

TGオクトパスエナジー 申し込み手続き フロー

オンラインで行う新規契約の申し込みについても「お客さまをお待たせしないことに全力をあげている」オクトパスエナジーのポリシーが貫かれている。

提供:TGオクトパスエナジー

「お客さまと一緒に考え、ともにサービスを作り上げていくのがオクトパスエナジーの基本的なスタンス」と話すのは、マーケティング・ディレクター(Japan)の厚地陽子氏だ。

「スマート家電などのテクノロジーの進化によって、今後、一人ひとりが普段どんなふうにエネルギーを使っているのかという『エネルギーライフスタイル』の解像度がどんどん上がっていくでしょう。

そうしたなかで、私たちは私たちの強みを生かし、仲間になってくれるお客さま一人ひとりの生活をハッピーにしていきたいと考えています」(厚地氏)

TGオクトパスエナジー CEO マネージャー

オクトパスエナジーのキャラクター、タコの「コンスタンティン」を手に。左から、悦喜氏、中村氏、厚地氏。

撮影:湯田陽子

2016年にイギリスで創業したオクトパスエナジーは、わずか5年のあいだに、ドイツ、アメリカ、オーストラリア、ニュージーランド、スペインに進出し、100%再生可能エネルギーを310万件の顧客に提供(顧客の多くは電力とガスをセットで購入している)。

日本については2020年12月、東京ガスと戦略的提携に合意、2021年2月にTGオクトパスエナジーを設立していた。

ベータ版開始にあたり、電力はおもに東京ガス保有の発電所から調達。今後は、日本の市場環境の状況や顧客の声を踏まえつつ、再生可能エネルギー100%の電力など、新たな料金プランの開発にも力を入れていく考えだ。

(取材・文:湯田陽子

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