複数のスクリーンで仕事をこなす男性。
Peter Cade/Getty Images
- ホワイトカラーの中には、より多くの収入を得ようと密かに2つ目、さらには3つ目のフルタイムの仕事を引き受ける人もいる。
- ある23歳の男性は、自分の3つ目の仕事を、求職中の妹に譲ったとガーディアンに語っている。
- 「会議には私が顔を見せるために出席し、仕事の大半は妹がしている」という。
何百万人ものアメリカ人が仕事を辞めようと考えている一方で、まったく異なる決断をし、むしろ仕事を増やしている労働者もいる。
ガーディアンによると、リモートワークをしているホワイトカラーの中には、密かに2つ目、あるいは3つ目のフルタイムの仕事を引き受け、「過剰雇用」に陥っている人もいるという。アメリカのある23歳の男性は、3つの仕事をしていたが、そのうちの1つを、仕事探しに困っていた妹に譲ったという。
記事の中でサムと名乗るこの男性は、「妹に会社のサイトへのログイン情報を伝え、何をすべきかを教えた」とガーディアンに語っている。
「会議には私が出席し、仕事の大半は妹がしている」
「過剰雇用」は、リモートワークの増加に伴い増える傾向にある。これは、雇用者の監督が行き届かなくなったことも一因と考えられる。ホワイトカラーの仕事はリモートでもできることが多いため、こっそりと複数の仕事を掛け持ちすることができる。だがブルーカラーにとってはなかなかそうはいかない。
イギリス在住のソフトウェアエンジニア(25歳)は、空いた時間によくビデオゲームをしていたが、その時間をもっと稼ぐために使うべきだと考えたと、ガーディアンに語っている。ジェイミーと名乗るこの男性は、2つ目のフルタイムの仕事としてソフトウェア開発の仕事を引き受け、今では以前の2倍の収入を得ている。
「想像していたよりもずっと簡単だった」とジェイミーは言う。
「どちらの会社もあまり多くのことを求めてこないので、2つの仕事をこなすのにそれほど苦労はない」
だが「過剰雇用」されていると、複数の仕事を同時にこなすために悩むこともある。例えば、会議のやりくりは大変だ。
「いずれの会社ともミュートにしてカメラも使わないようにするか、超多忙でどちらかの会議には出席できないように振る舞わなければならない」とジェイミーは言う。
「だが私はそういった問題に遭遇したことはない。落ち着いてやっている」
複数のフルタイムの仕事をかけ持ちする労働者のために「Overemployed.com」というデジタルコミュニティが立ち上げられ、そのサブコミュニティが掲示板型ソーシャルニュースサイトのレディット(Reddit)や、コミュニケーションアプリのディスコード(Discord)にも作られている。「Overemployed.com」の創設者であるアメリカの技術系社員アイザック(37歳)は、職場から一時解雇を通告されたことから就職活動を始めた結果、給料を16万ドル(約1800万円)から34万ドル(約3900万円)へと2倍以上にすることができたとガーディアンに語っている。
「リモートで同時に2つの仕事をすることは、以前から行われていた。テック業界では最も大きな公然の秘密だった」とアイザックは言う。
「パンデミックによってその傾向が加速し、テック業界以外の分野でも、リモートワークがやりやすくなった」
カリフォルニア州で働くカティア(47歳)は、亡くなった息子の病院代の支払いで多額の借金を抱えたため、副業を始めたとガーディアンに語っている。
「こんなことをしているのは自分だけだと思っていたし、しばらくは本当に嫌な気分だった」とカティアはガーディアンに語っている。
「でも、これでやっと、他に何のためのお金が必要だろうかと心配することなく、さまざまな支払いを済ませ、食べ物を手に入れることができた」
なお、ガーディアンは、記事の中で取材した人の雇用を確認したと明確に述べているわけではない。
(翻訳:仲田文子、編集:Toshihiko Inoue)