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- ウィスコンシン州に本社がある乳製品会社のシュライバーフーズがサイバー攻撃に遭った。
- 同社はアメリカのハンバーガーやサンドイッチにトッピングされるチーズの75%を製造している。
- この混乱は業界全体に波及し、在庫の増加によってチーズの価格が20%下落した。
ここ数週間でハンバーガーは高くなっているかもしれないが、トッピングのチーズの価格は実は安くなっているようだ。
これはアメリカ最大級の乳製品会社であるウィスコンシン州のシュライバーフーズ(Schreiber Foods)が、2021年10月23日にサイバー攻撃を受け、業務を中断させられたことが一因になっている。
ウィスコンシン・ステイト・ファーマー(Wisconsin State Farmer)によると、ハッカーとされる人物は、同社の施設でミルクやチーズの供給を制御するコンピューターシステムをロックし、解除するために250万ドル(約2億8500万円)の身代金を要求したという。
シュライバーフーズの広報担当者はInsiderに対し、サイバー攻撃は同社の全拠点に影響を与えたが、「専門の対応チーム」が直ちにこの問題に取り組み、5日後には生産と出荷を完全に再開したと述べた。
シュライバーフーズはチーズ、ヨーグルト、サワークリームなど幅広い乳製品を製造していて、サンドイッチやハンバーガーのトッピングによく使われる黄色いチーズは約75%の市場シェアがあるという。
同社の影響力を示すもののひとつにバレルチーズの価格がある。バレルチーズとは、スライス、パウダー、ソースなどのチーズ製品の加工用に販売されている重さ500ポンド(約226キログラム)単位のチーズだ。
ある酪農業界アナリストによると、シュライバー社の5日間の混乱がバレルチーズの在庫の滞留を招き、市場に影響を与えたために、サイバー攻撃後の数週間で20%もの価格の下落が起こったと考えられている。
アメリカ農務省(USDA)のデータによると、バレルチーズの価格は2021年の最高値である10月22日までの週の1.85ドル(約211円)から、11月16日の週には1.46ドル(約167円)にまで下落した。
サイバー攻撃を受ける前、バレルチーズは牛乳代の高騰もあって価格が上昇していた。
この事件は、2021年の夏にブラジルの食肉業者JBSが同様の大規模なサイバー攻撃を受けたことに続くもので、食肉市場に混乱をきたし、アメリカの食糧供給を支えるデジタルインフラの脆弱性を浮き彫りにした。
(翻訳:大場真由子、編集:Toshihiko Inoue)