2021年02月05日、カリフォルニア州サンラファエルのターゲット(Target )にて。スタッフ募集の看板が掲げられている。
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- グラスドアやインディードを運営するリクルートの出木場久征CEOは、履歴書による採用は多くの業界で時代遅れの方法だと語った。
- 出木場CEOは、実践的な評価の方が多くの業界でうまくいくだろうと述べた。
- また、人手不足は企業が労働者の採用方法を変えるチャンスだと話している。
世界最大の求人企業のCEOは「履歴書は時代遅れであり、多くの業界で置き換える必要がある」と述べた。
グラスドア(Glassdoor)やインディード(Indeed)を所有する日本のリクルートホールディングス(Recruit Holdings)の出木場久征社長兼CEO は、多くの中小企業は人材確保に苦労しているにも関わらず、10年前と同じ方法、つまり履歴書の提出を求めて社員を採用しようとしているとブルームバーグ(Bloomberg)に語った。
出木場は、労働力不足は 「履歴書文化」から脱却するチャンスだと語った。履歴書の代わりに、職務上必要とされる特定の仕事をどのように処理できるかを確認する質問や評価を行うことも可能だという。
現在、アメリカ内外の企業は人手不足による人材確保の難しさを訴え、中には「労働意欲が見られない」とする企業もある。一方、労働者側からは、低賃金の仕事に耐えられなくなったという声があり、退職したり、キャリアを考え直したりする人もいる。
出木場は雇用主が人材の確保に苦労しているトラック運送業界とホスピタリティ業界について言及した。
彼がブルームバーグに語ったところによると、あるレストランでは10年間も求人条件を更新しておらず、いまだに大卒の資格を求めていたという。
彼はトラック運転手はいつも路上で仕事をしているため、ノートパソコンを持っていない人が多いとも話す。そこでリクルートは「チャット・ベース」の採用方法を運送業界に提供し始めたという。また技術を駆使して転職に有利なスキルの見極めにも取り組んでいる。「履歴書を書けない人が非常に多い」からだと出木場は言う。
「旧態依然とした現状の履歴書文化から、『あなたには何ができるか』を問うことへと前進する絶好の機会だ」と彼はブルームバーグに語っている。
一部の企業ではTikTokで作った履歴書を受け入れるなど、新しい人材を獲得するためにさまざまな工夫をしているところもある。
2021年初めに発表されたハーバード・ビジネス・スクール(Harvard Business School)の研究によると、自動履歴書スクリーニング技術の欠陥によって、何百万人もの労働者が書類選考のプロセスで脱落していたことが判明した。このソフトウェアはその人がその仕事に何をもたらすことができるかではなく、履歴書に特定のスキルが記されているかどうかで判断していたことがわかっている。
(翻訳:大場真由子、編集:Toshihiko Inoue)