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ミレニアル世代にとって、アメリカン・ドリームの新たな象徴は「移動する家」に

キャンピングカー

Evgeny Vasenev/Aurora Photos/Getty Images

  • アメリカのテキサス州オースティンでは、トレーラーパーク、極小住宅、RVサイトがブームになっていると、ブルームバーグが報じた
  • 新型コロナウイルスのパンデミックが"移動住宅での暮らし"へのシフトを加速させていると、グローバル化の専門家はInsiderに語った。
  • 専門家は、こうした動きをリードしているのは若い世代だと話している。"移動住宅での暮らし"へのシフトは経済的、社会的流動性への道を開くものだという。

テキサス州オースティンのダウンタウンから東に15マイル(約24キロ)ほど離れたところにあるコミュニティ「オーク・ランチ(Oak Ranch)」が活気づいている。

ただ、オーク・ランチはオースティンの郊外ではない。トレーラーパークだ。そして、その成長を後押ししている、新たに移ってきた住民はテスラの従業員たちだ。

ブルームバーグの記事も、テスラのCEOであるイーロン・マスク氏がオースティンの住宅市場に与える影響について詳しく報じている。コロナ禍で、オースティンは広々とした土地、安い税金、暖かい気候を求める人々(特にシリコンバレー)を引き付けてきた。パンデミックの最中にカリフォルニアからテキサスに移ったマスク氏も例外ではない。

ただ、マスク氏がテスラの新しいギガファクトリーを建設するためにこの街に引っ越してきた際、住宅が手に入りづらくなることは想定内だった。テスラはその工場で年収5万ドル(約570万円)弱の5000~1万人の「ミドルスキル」の雇用を約束したものの、住宅価格の中央値が52万5000ドルの街では十分とは言えなかった。オースティンに住む人々は、オーク・ランチのようなトレーラーパークや極小住宅、RV車に頼ることで、与えられた状況を逆手に取ろうとしている。

グローバル化の専門家パラグ・カンナ(Parag Khanna)氏は自身の新しい著書『Move: The Forces Uprooting Us』の中で、トレーラーハウスは「新たなアメリカの流動性の究極の象徴」だと書いている。カンナ氏は、コロナ禍でこのタイプの小さい住宅がこれまでになく人気となっていて、これは若い世代のおかげだとInsiderに語った。

トレーラーハウスが「かっこいい」

カンナ氏の著書は、若者たちがいかにして流動性のあるライフスタイルの未来を形作っているかを調べたものだ。トレーラーハウスはそのカギで、「伝統的な家を持つことに代わる、最先端かつコスト効果の高い持続可能な選択肢」として現れたという。

ちなみに、トレーラーハウスは一般的にプレハブ住宅(移動住宅)のことを指し、極小住宅やキャンピングカーとは異なる。

そして、これら全てのライフスタイルには共通点があるとカンナ氏は指摘している —— こうしたライフスタイルは、住宅価格がものすごく高い状況の中で住宅購入希望者に対して、より遊牧民的な生活を送ることを可能にし、より手頃な解決策を提示しているのだ。

これはまさに多くのミレニアル世代が2010年代に求めていたことであり、極小住宅での生活#vanlifeといった機動性のある、ミニマリストな暮らしの人気上昇につながった。

人生2度目の住宅危機に直面し、リモートワークの時代にオフィスから解放されたミレニアル世代の若者は、パンデミックが始まってからは、さらにこうした生活を求めるようになった。オースティンのミレニアル世代はこのトレンドの好例だと、不動産仲介業者のマット・メナード(Matt Menard)氏はブルームバーグに語っている。

カンナ氏は「彼らは『自分は場所に縛られないぞ。これ以上、借金をしないぞ。家を持つ必要はない』と感じているんです」と指摘する。

パンデミックが始まって以来、キャンピングカーやRV車、トラベルトレーラーのメーカーは、需要の高まりに応えるため、既存の型に手を加えたり、新たな間取りの型を開発してきた。極小住宅のメーカーは2020年に飛ぶような売れ行きを経験し、2つの別々の調査によると、極小住宅に住むことを考えているアメリカ人は2018年の53%から2020年には56%に増えたという。

カンナ氏は、トレーラー生活の増加は良いことだと話している。物理的な流動性は経済的、社会的流動性への道を開くからだ。同氏は、新しいアメリカン・ドリームを作り出しているとすら言う。アメリカン・ドリームの象徴だった「白いフェンス」は今、アイダホ州ボイジーの眺めを1週間楽しんだら、次はカリフォルニア州とネバダ州の州境にあるタホ湖の眺めを楽しめるというような機動的な極小住宅を持つことに変わったのだとカンナ氏は話している。

同氏は、より速く走るためにケージの中にとどまるネズミになぞらえて、「人が動けば、環境が良くなります」とInsiderに語った。解決策は別のケージに移動することだと、カンナ氏は言う。

[原文:Millennials are making mobile homes a new symbol of the American Dream

(翻訳、編集:山口佳美)

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