スーパーサウルスの想像図。
Sean Fox/Fossil Crates
- スーパーサウルスは、鼻から尾までの長さが約40メートルという、史上最長の恐竜だったと考えられている。
- 古生物学者のブライアン・カーティスが、コロラド州でスーパーサウルスの骨を分析した結果、史上最長という称号が与えられることになった。
- これらの骨は、かつて3種の異なる恐竜のものだと誤って分類されていた。
スーパーサウルスは、馬ほどの大きさの頭を持ち、腰の筋肉は車ほどの大きさで、史上最大の恐竜であるとされてきた。そして新たな研究により、史上最長でもあったことが示唆されている。鼻から尾までの長さが平均して約40メートルで、大型スクールバスを3台並べたほどの大きさだったという。
これまでは、別のグループであるティタノサウルスという恐竜と最長の座を巡って争っていたが、アリゾナ自然史博物館の古生物学者、ブライアン・カーティス(Brian Curtice)が、この論争に決着をつける証拠を発見した。
カーティスは、コロラド州にある約22ヘクタールのドライメサ恐竜採石場で発掘された巨大な骨を分析し、他のスーパーサウルスの骨格と大きさや構造が一致していることから、スーパーサウルスのものであると判断した。
カーティスによる分析の前には、フィールドワーカーのジム・ジェンセン(Jim Jensen)が、これらの骨をスーパーサウルス、ウルトラサウルス、ディスティロサウルスという3種類の竜脚類(首と尾が長い恐竜)のものと分類していた。
「従来、誰もがドライメサを『骨のサラダボール』であるように見ていた」とカーティスはInsiderに語っている。
骨が発見された場所をマッピングしたところ、ここには複数の生物ではなく、1体の大きな生物がいたことにカーティスは気が付いた。最大級の骨がすべて同じくぼみにあったことも理に適っている。スーパーサウルスの骨は重すぎて、運び去られたり、風で飛ばされたりすることがなかったと考えられるからだ。
「地図上に骨をプロットしてみると、パズルのピースがはまっていくようだった」とカーティスは言う。
骨を計測した結果、スーパーサウルスの肩甲骨の長さは2.4メートル以上、脚の長さは3.7メートル以上、首の長さは15メートル以上、尾の長さは18メートル以上であることが判明した。この研究をまとめた論文はまだ査読を終えていないが、カーティスは11月初めに開催された脊椎動物古生物学会(Society of Vertebrate Paleontology)の年次総会で研究成果を発表した。
「ゴライアス」「ジンボ」と名付けられたスーパーサウルスの骨に似ていた
これらの骨が3種類の恐竜のものであるというジェンセンの説は立証されなかったと、カーティスは述べている。
「彼はその場の雰囲気に流されてしまった。基本的な訓練を受けていなかった」
古生物学者たちは、ウルトラサウルスとディスティロサウルスが、スーパーサウルスとは明らかに異なる種類の恐竜だったのか、あるいは単に誤ってその名称で分類しただけなのか、疑問を呈している。しかし、スーパーサウルスが約1億5000万年前に現代のコロラド州とワイオミング州にあたる場所を闊歩していたことは間違いない。
スーパーサウルスの骨は、ドライメサで見つかったもの以外にも、2つの部分骨格が発掘されている。2008年に発表された論文では、ワイオミング州で発見された「ジンボ」と名付けられたスーパーサウルスについて論じられている。最近発掘されたスーパーサウルスの骨は「ゴライアス」と名付けられているが、その研究成果はまだ査読付き学術誌に掲載されていない。
このジンボとゴライアスの骨が、コロラド州で見つかった骨を判別するのに役だったと、カーティスは述べている。
スーパーサウルスが発掘されたドライメサ恐竜採石場で発掘作業にあたるブライアン・カーティス。
Brian Curtice/Fossil Crates
「ジンボのおかげでスーパーサウルスに対する理解が深まり、ドライメサ恐竜採石場に戻ると『ああ、これはあれに似ている』と思えるようになった」とカーティスは言う。
「そしてジンボで分かったことが、ゴライアスによって証明された」
しかし、骨の長さを計算するのは、やはり完全な骨格がないと難しい。
「首の骨は15から16個あるはずだが、我々はそのうちの6個しか持っていない」とカーティスは言う。
「だから、『待って、我々が持っているのはどの(場所の)骨だ』ということが、大きな課題になる。首の骨には番号がついているわけではないのだから」
だが少なくともカーティスは、骨の大きさにパターンがあることを理解していた。つまり骨は、最も長いものから離れるにつれ、一定の割合で小さくなっている。そのパターンに基づき、見つかっていない骨の長さを推計することができた。
スーパーサウルスと人間のサイズを比較した図。
Daniel Berrera Guevara/Fossil Crates
もし2頭のスーパーサウルスが鼻を突き合わせると、サッカー場1面分近くの長さに広がるだろうとカーティスは推計した。だがこれでも控えめな推定値だという。
「私にとって衝撃的なのは、ゴリアテとジンボのサイズがあまりにも似ているということだ」とカーティスは言う。
「もし、3頭の動物が並んでいれば、『よし、これが平均だ』と判断できる」
尾は長くて強力な武器
スーパーサウルスの体長の大部分が尾と首で占められているのには理由がある。
太い骨がつながり、それが筋肉と重いウロコに包まれた尾は、捕食者を打つために使われたのではないかと、カーティスは考えている。また、尾は後ろ足で立ち上がり、高い木の上の餌に手を伸ばすための支えとしても役立っていたかもしれない。
カーティスは、この首を巨大な掃除機に例えた。
「ある一点に立ち、首を左右に動かすと、食べ物を取るためにカバーできる範囲が非常に広くなる」
結局のところ、スーパーサウルスの力強さと巨大さに匹敵する恐竜はほとんどいなかったとカーティスは言う。その首だけで、捕食者を地面から6メートルも持ち上げられたと考えられる。
「腰を動かして尾を叩きつければ、複数の捕食者を攻撃することができただろう」
(翻訳:仲田文子、編集:Toshihiko Inoue)