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Netflixが情報公開し始めた「ランキング」のエクセルデータをダウンロード・分析してみた…今オープンにする理由とは

ネットフリックスは11月第3週より、前の週に同社利用者が視聴した作品のランキングデータについて、「トップ10」の形で一般公開を始めた。

ネットフリックスが公開した人気トップ10ランキング。今後毎週、日本では水曜早朝に更新される予定。

ネットフリックスが公開した人気トップ10ランキング。今後毎週、日本では水曜早朝に更新される予定。

出典:Netflix

更新はアメリカ太平洋時間で毎週火曜。日本では水曜の早朝なので、今週分は11月17日朝に公開済みだ。今後毎週更新される。

企業が自社サービスの人気ランキングを公開すること事態は、一般的なことだ。けれども、このネットフリックスの情報公開に関しては、映像業界にとって「視聴率が無料で公開された」ことに近いインパクトを持っている。

国や言語で異なる「ヒット作」の様相

ネットフリックスのトップ10紹介サイトは「top10.netflix.com」。ストレートなアドレスだ。

サイトで公開されているのは、名前の通り、その週にネットフリックス内で視聴された時間が長かった作品を、1位から10位まで並べたリストだ。集計の関係もあって現状は英語など一部の言葉だけに対応しており、日本語での表記はまだ先になる模様だ。

このランキングは、ネットフリックス加入者全員が見た「視聴時間」を集計し、その累計が長い順に並べられている。

そして、次の写真も見ていただきたい。

これは、英語・映画の第6位にランキングされている、ニコラス・ケイジ主演の「211(邦題:コード211)」。ヒット映画の1つではあるが、ネットフリックスのオリジナル作品ではなく、他のサービスでも視聴できる。

英語・映画作品で6位の「211(邦題:コード211)」。ネトフリ作品ではないから「N」の文字がない。

英語・映画作品で6位の「211(邦題:コード211)」。ネトフリ作品ではないから「N」の文字がない。

出典:Netflix

要は、このリストは「ネットフリックスが作った作品の人気ランキング」ではなく、本当に「ネットフリックスで視聴されている作品全体の人気ランキング」である、ということだ。

少しスクロールすれば、この作品が何週トップ10ランキング入りしているのか、そして、累計視聴時間がどれだけになっているかも見ることができる。ご覧のように、現在1位の「レッド・ノーティス」は、公開初週から圧倒的な勢いで支持されているのがわかる。

ランキングはその週の「加入者が視聴した時間の累計」で決まる。作品ごとの人気がはっきりとわかるようになっている。

ランキングはその週の「加入者が視聴した時間の累計」で決まる。作品ごとの人気がはっきりとわかるようになっている。

出典:Netflix

さらに下には、人気タイトルがどの国でどんなランキングなのかも掲示されていて、なかなか面白い。

どれだけの国でトップになったか、というリストも用意されている。

どれだけの国でトップになったか、というリストも用意されている。

出典:Netflix

ネットフリックスは「国ごとのトップ10リスト」のページも公開している。こちらには視聴時間はないが、日本を含む90以上の国や地域のトップ10リストが、「映画」「TV(シリーズ)」それぞれで見られるようになっている。各国ごとに傾向がかなり違うので、見比べていくと面白い。

国ごとのランキングも見られるが、思った以上に各国ごとの差が大きく、面白い。

国ごとのランキングも見られるが、思った以上に各国ごとの差が大きく、面白い。

出典:Netflix

過去データも含め無料公開、ランキングの「解析」も可能

非常に興味深いのは、ここで公開されているデータは、すべてタブ区切りのテキスト(TSV)もしくはExcel形式で自由にダウンロード可能になっていることだ。

しかもデータに含まれているのは、「2021年6月28日以降」のすべてのデータだ。これは面白い。

一番下からExcel形式とTSV形式で使える「集計に使ったデータ」そのものをダウンロード可能。

一番下からExcel形式とTSV形式で使える「集計に使ったデータ」そのものをダウンロード可能。

出典:Netflix

このデータをダウンロードすれば、「あの作品が毎週何時間視聴されていて、どの国のランキングで何位に入り、それを何週間続けたのか」といったことを自分で集計できる。

映画の興行収益や音楽のランキングは、これまで専門の調査会社の領域だった。ランキングが一般公開されたとしても、分析に使えるような細かな情報は、有料でないと手に入らない。

だが、このデータを使うと「ネットフリックスで配信中のもの」という制限はつくが、世界中の国々でどんな作品が人気なのかがわかる。実際に5カ月ほどの期間を使ってチェックできるわけで、流行分析という点で興味深い気づきが得られる可能性がある。

NetflixのExcel視聴データを分析してみる

試しにちょっと開いてみよう。

使うのは「グローバルでの、英語・非英語・映画・シリーズすべてのデータ」だ。このデータには「週ごと」の累計視聴時間が含まれているので、より多彩な見方ができる。

『イカゲーム』の流行と現在

イカゲームのヒットの奇跡

ネットフリックスの公開情報を元に編集部作成

現在のネットフリックスを代表するコンテンツ『イカゲーム』。

9月19日の週に初めてランクインすると、いきなりその週に「6319万時間」の累計視聴を獲得、そのまま9週連続で現在もトップにいる。

週単位での最高累計視聴時間は「5億7176万時間」。これは、集計データの全番組中でトップの値だ。9週目までの累計は「21億時間」に達している。

長期トップ10入りする韓国勢の中に『るろうに剣心』の姿

トップ10入りが10週以上継続した作品は、意外にも「非英語作品」が多かった。具体的には、公表された6月28日以降のデータの中で、7週間以上トップ10入りした作品は10作品しかないのだが、そのうち英語作品は1作品しかない。テレビシリーズが7本とやはり長期人気になりやすい傾向を示している。

そしてその中でも4本が韓国ドラマだ。『イカゲーム』に『海街チャチャチャ』、『賢い医師生活』『わかっていても』と、他国を圧倒する状況にある。

そんな中、日本映画として健闘していたのが『るろうに剣心 最終章 The Beginning』だった。非英語・映画部門で最高2位を獲得、トップ10に7回入り、トップ10内だった7週の累計で「3841万時間」の視聴時間を獲得していた。

エクセル

「トップ10入りが10週連続した作品」など、公式発表には出てこない探し方ができるのが、生データを「掘る」面白さだ。画像は、データの雰囲気がわかりやすいようにあえてExcelで開いた状態をとった。

編集部

『鬼滅の刃 竈門炭治郎 立志編』も、非英語・シリーズ部門で11月7日・11月14日付で連続ランクインし、2週の累計視聴時間の合計は「1400万時間」になっている。

韓国実写ドラマの元気さと、日本のコミック原作コンテンツの強さが見えてくる。

一方、アメリカのネットフリックス・オリジナル映画である『レッド・ノーティス』は、1億4872万時間を初週で叩き出している。これもまた、ハリウッドの力を示す驚きの値と言える。

オープンになるネットフリックス、公開はクリエイターのため?

こうした集計ができるデータをなぜ公開したのか?

ネットフリックス広報は、「透明性を高め、クリエイターに自らアピールする情報を提供するため」と話す。

過去、ネットフリックスは、各種データを外部に公開することについて消極的だった。技術では非常にオープンな立場だったが、データについては自社に閉じる傾向があった。

また、同社は数年前まで、新作・旧作・国の違い・オリジナルと調達といった、「コンテンツの出自の差」をあえて見せないやり方を採ってきた。

ベースにあったのは、「新作であろうが旧作であろうが、利用者が初めて出会ったなら新コンテンツと同じ」という考え方だ。今もつかっている機械学習をベースにした「レコメンド」は、この発想に基づく手法である。

だが、ライバルとの競争が激化しオリジナル新作の存在が差別化の軸になってくると、「話題になっているのはなにか」をアピールする必要も出てくる。そこで同社はランキングを導入し、人気コンテンツの可視化もするようになった。その流れで今回の「情報公開」につながったわけだ。

実はネットフリックスは今年から、ランキングに使う「見られた量」の計測基準を変えている。 公にはされてこなかったが、ネットフリックスはこれまで、「2分間見た人が何人いたか」を視聴の基準としてきた。ページビューや動画再生回数に近い考え方といえる。2分間見ていれば間違えて見た人は含まれないだろう、という判断で決められていたのだが、あくまで「見た人の数の最大化」が重視されており、見た人がどう番組を楽しんだのかは反映されづらい。

新しい基準は、前述のランキングで使われている通り「その作品の累計視聴時間」だ。ユーザーが動画を視聴した際に何分再生したかを単純累計したものである。他のネット動画ではあまり使われていない形だが冒頭を2分以上見た人の数を集計するよりも、ユーザーの可処分時間にどれだけ食い込んだか、という見方をするほうが、番組の人気を示すバロメーターとしてはより適切だ。

こうした変更も含め、公開された情報を使うことで、ネットフリックスだけでなく、映像作品の制作会社やクリエイターなどが、自らの作品を宣伝・告知しやすくなるのは間違いない。

もちろん、ファンへの「作品告知効果」が最も大きな狙いなのは、言うまでもない。

(文・西田宗千佳

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