レストランでは食事客にタグを追加することができるようになる。
SevenRooms
- ハロッズがセブンルームズと提携して、どの食事客がお得意様なのか、VIPなのかを追跡しようとしている。
- セブンルームズのソフトウェアは、食事客の予約、注文内容、レストランのスタッフが追加したメモといったデータを収集する。
- ハロッズはそのデータを使い、14の飲食店で食事客の体験をパーソナライズする計画だ。
ロンドンを象徴する百貨店、ハロッズ(Harrods)が、レストラン・テクノロジー企業のセブンルームズ(SevenRooms)と提携し、レストランの利用客に関する重要なデータを収集している。そのデータには、予約通りに来店したか、何を注文したか、どれほどの利用額なのか、といった情報が含まれている。
注文履歴も確認できる。
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セブンルームズのソフトウェアを使うと、レストランはオンラインで注文を受けたり、予約を管理したり、口コミを集めたりすることができる。そして、そのデータを使い、広告宣伝、イベントなどのマーケティングを行うこともできる。
また、客の好みを見極めてワインを勧めたり、アレルギーに関する情報を記憶したりなど、顧客のレストランでの体験をパーソナライズすることまでできる。
このシステムはハロッズの14の飲食店で展開予定で、各店舗で収集されたデータは、他の店舗にも共有される。
ハロッズ・ソーシャル・バイ・ジェイソン・アサートン(Harrods Social by Jason Atherton)など14の飲食店でソフトウエアによるデータ活用を展開する。
Harrods
「我々の野望は、顧客の体験におけるすべての要素を顧客のニーズに合わせることだ。情報が多ければ多いほど、成功につながる」と、ハロッズのレストラン部門長、アシュレー・サクストン(Ashley Saxton)はInsiderに語った。
「それは、レストランのゲストをシェフがバースデーケーキで驚かせたり、スタッフが毎年恒例の祝いの席に顧客を招待したり、朝食の時にお気に入りの新聞を用意しておくような、単純なことだ」とサクストンは述べた。
セブンルームズのプラットフォームから顧客データが確認できる。
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ホワイトラベルのB2B企業であるセブンルームズが行うのは、レストランとのやり取りのみで、顧客との接触はない。
セブンルームズのインターナショナル・マネージング・ディレクター、ダニーロ・マンガーノ(Danilo Mangano)はInsider に対し、そこが、顧客データをレストランと共有するのではなく自らのプラットフォーム内の別のレストランのプロモーションに使っている他のレストラン予約マーケットプレイスと違うところだと語った。
食事客の情報が閲覧可能。
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「我々は、レストランの経営者に顧客データの所有権と管理を一任している」とマンガーノは述べた。
予約の際、顧客は連絡先などの基本的な情報を提供しなければならない。これらのデータは、顧客がマーケティング目的でデータを共有することに同意した場合のみ、セブンルームズのソフトウェアに取り込まれる。
そこからレストランを予約した人のプロフィールが作成される。セブンルームズはその後、レストランのPOSシステムと接続し、顧客が来店している間の注文履歴や支払い額といった追加のデータを保存する。この情報は、セブンルームズのプラットフォーム上でリアルタイムで更新され、レストランからはiPodやiPhoneを使ってアクセスすることができる。
今後の予約状況が把握できる。
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レストラン側も、「甲殻類アレルギーあり」「ワイン$$$$」「常に便宜を図ること」「VIP」のようにタグ付けをすることで、食事客に関する追加情報をソフトウェアに入力することができる。データは、顧客には公開されない。
レストランはこのデータを使って、食事客の来店体験をカスタマイズすることができる。 例えば、特に多くの食べ物を注文した客には、レストランのゼネラルマネージャーがテーブルまで挨拶に行くことがあるかもしれない、とマンガーノは述べた。
ハロッズ・ソーシャル・バイ・ジェイソン・アサートンも利用している。
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マンガーノによると、レストランは広告宣伝やイベントのマーケティングなど、食事客とのコミュニケーション手段としてもデータを利用できるという。過去の注文に基づき、例えばワインにお金を使うことが分かっている顧客に対し、ワイン試飲会の告知をする、といったことだ。
セブンルームズのテクノロジーにより、レストランは業績を「より高いレベルで把握」し、ライブデータに基づいたパフォーマンス管理ができるようになるだろうとサクストンは述べた。
顧客の予約を管理することができる。
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「レストランは皿の上の料理だけではなく、訪れた際にどんな気持ちにさせてくれるかが重要だ。顧客の好みが分かれば、期待を超えることができるだろう」
(翻訳:Ito Yasuko、編集:Toshihiko Inoue)