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設立1年でユニコーン化した別荘共同所有スタートアップ「Pacaso」とは?…物価高時代に注目集める「オルタナティブ資産」

コテージ

マサチューセッツ州のマーサズ・ヴィニヤード島に立ち並ぶコテージ。

John Greim/LightRocket/Getty Images

こんにちは。パロアルトインサイトCEO・AIビジネスデザイナーの石角友愛です。

先日、アメリカの消費者物価指数が前年の同月と比べて6.2%の上昇を記録し、約31年ぶりの高い水準となったと報道されました。

アメリカではワクチン接種後、今まで我慢していた旅行などに出かけるリベンジ消費の需要が増えているにも関わらず、供給側の人手不足や物流停滞、エネルギー価格の高騰などを受け、軒並み値上げが起きています。

メニュー

チポートレのメニュー。アメリカではメジャーなファストフードチェーンだ。

REUTERS/ Shannon Stapleton

例えば、約2900の店舗を所有・運営する、タコスやブリトーの有名チェーン店のチポートレでは、働き手の確保・維持のため5月に従業員の時給を平均15ドルに引き上げると同時に、各職務における経験豊富な従業員には昇給を割増し(時給制のマネージャーには平均して1時間あたり2ドル程度、また給与制のマネージャーにはそれに見合った昇給を実施)した結果、7月にはメニュー価格が3.5〜4%引き上げられました(私が以前寄稿した記事はこちら)。

このようなインフレの影響で、投資家は現金や債券よりも持ちこたえる可能性のある「オルタナティブ投資」を探す傾向が出てきます。オルタナティブ投資とは、一般的な株式や債券に対する投資以外のすべての投資を指し、例えば不動産投資なども含まれます。

米大手銀行のJPモルガンが発表したレポートによると、オルタナティブ資産は2022年も引き続きパフォーマンスが伸びると予想されています。そして、このようなオルタナティブ投資市場の盛り上がりを反映するかのように、最近では新しいビジネスモデルを提供する「オルタナティブ投資スタートアップ」が生まれています。

例えば、オルタナティブ資産の代表である不動産。コロナの影響でリモートワークが増え、生活習慣の変化が進み、セカンドハウスを購入する人が増えました。不動産プラットフォーム大手Redfinが行った調査結果によると、アメリカにおける10月のセカンドホーム需要はコロナ前に比べて70%アップしました。

セカンドホームの需要

不動産プラットフォーム大手Redfinは、10月のセカンドフォーム需要は70%アップしたというレポートを公表した。

出典:Redfin

カリフォルニアに拠点を持つスタートアップ「パカーソ(Pacaso)」 は、これまで超富裕層しか買えなかったようなセカンドハウスを、共同所有(Co-Ownership)という形にすることでより幅広い層に届けることを目的としている会社です。

2021年、企業価値が10億ドル(約1142億円)に到達し、7500万ドル(約85億円)の資金調達を経て、創業から1年も経たずにユニコーン入りしました。投資家にはソフトバンク・ビジョン・ファンド2(SVF2)の名前もあります。

パカーソは、市場で売りに出ている不動産を購入し、LLC(合同会社)を作ることで共同所有を可能にします。

具体的には、家を購入する際に独自のLLCを作り、LLCの共同メンバーとしてセカンドハウスを所有したい8名が参加するという仕組みです。8名それぞれの与信審査などはパカーソが行うため、購入する側は8分の1の価格(正確には8分の1の価格の30%相当にあたる頭金)を支払えばよいということになります。

パカーソの共同設立者であるAustin Allison(オースティン・アリソン)氏は、不動産プラットフォーム大手Zillowの元幹部でした。同氏はCNBCの番組“The Exchange”の番組内で「ほとんどのセカンドハウスは、1年のうち11カ月間は空き家になっているのが現状です」と述べたうえで次のような興味深い発言をしています

「我々は、昔からの慣習を“共同所有権”という形で現代風にアレンジして、不動産をより有効に活用しています。料金の支払いやメンテナンス、インテリアデザインなど、面倒な部分をすべてパカーソが担当することで、誰でも手軽にセカンドハウスを楽しむことができる。これがパカーソの特徴です」

パカーソのビジネスモデルは、購入時に所有者に12%のサービス料と月額100ドルの管理費を請求することで収益を上げるというものです。これは商業用不動産では一般的ですが、別荘業界ではそれほど一般的ではありませんでした。 また、パカーソの所有者は、所有権獲得後12カ月経過すれば、いつでも自分の持分を売却できるとのことです。

Pacasoホームページ

パカーソで売り出されている共同所有権の例。西海岸で人気でワイナリーが多い地域で知られるナパバレーでは、50万ドル(約5700万円)〜100万ドル(1億1400万円)前後の共同所有物件が並んでいる。

出典:Pacaso

このビジネスモデルにより、もしパカーソが今後より低価格の不動産を扱う様になれば、今までは別荘の所有が現実的ではなかった層でも、セカンドハウスの購入と投資が可能になります。

現在売りに出されている物件はプール付きの豪邸が多く、価格帯は8分の1のオーナーシップで80万ドル(およそ9130万円)ほどです。

販売商品

パカーソ上で売りに出されている家。高級住宅街であるカリフォルニア州マリブにある豪邸で、家全体の値段は700万ドル以上だが、8分の1(97万4000ドル)から所有できる。8分の1の所有権の場合の支払いは、上記の通り。年間最大滞在日数も決まっている。家の購入はビットコインなどの暗号資産でも決済できる。

筆者キャプチャー

パカーソでは5人から8人のCo-Ownershipで所有でき、かつ家のメンテナンスや「いつ誰が滞在するか」といったスケジュールの管理までパカーソアプリを使ってシームレスに行えることが特徴になっています。

Airbnbのようにいつでも気軽に違う家に滞在できるのもよいですが、「何かを所有したい」「高級物件に投資をするだけではなく住みたい」という層に、パカーソのCo-Ownershipモデルが響いているのではないでしょうか。

実際に、パカーソの顧客層の65%が初めて別荘所有をする人だとのことです。

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