脱プラスチックの「誤解と課題」…プラ依存社会は変われるか

※この記事は、2021年8月11日初出の記事(特集「なぜ?脱プラスチック」所収)の再掲です。

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世界では毎日のように大量のプラスチックがごみとして捨てられている。

Andrew Fox/Getty Images

世界で生産されているプラスチック量は、年間で約4億トン。このうち日本で生産されているのは約1000万トンだ(プラスチック基礎知識2021より)。

プラスチックが大量生産・大量消費されていく中で、大きく2つの課題が表面化してきた。

プラスチックの原料として「石油」を大量に消費し、焼却処分をすると二酸化炭素が排出され地球温暖化を助長してしまうという点。そして、廃棄されたプラスチックが海洋マイクロプラスチックなどとなって環境を汚染しているという点だ。

SDGsの取り組みへの注目も相まって、ここ最近「脱プラスチック」に向けたさまざまな取り組みが進められている。

「『脱プラ』を掛け声に、使用量を減らしていこうということならもちろん賛成です。ただ、『脱プラ』という言葉通りのこと(プラスチックをゼロにすること)が達成できると思っているのだとすると、それは現実的ではないでしょう

こう指摘するのは、循環経済(サーキュラー・エコノミー)の研究者、叡啓大学の石川雅紀特任教授(神戸大学名誉教授)だ。「脱プラ」の果てに、どんな社会が訪れるのか?

「脱プラ」は「ゼロプラ」ではない

YagiStudio

レジ袋ではなく、マイバックを持って買い物に出かける人を見かけることが増えた。

Yagi Studio/Getty Images

脱プラの取り組みは、多かれ少なかれ私たちのライフスタイルに変更を迫るものだ。

日本では2020年6月に、プラスチックの過剰消費の抑制や、環境問題への意識付けを目的に、スーパーやコンビニなどで使われるレジ袋(買い物袋)の有料化が始まった。

同年11月に実施された調査では、ユーザーの7割がレジ袋を辞退しているという結果が公表され、一定の効果があったと見られている。

このように、それほど無理なくライフスタイルを変更できるものもある。

一方で、例えば医療現場のように、プラスチックなしではもはや成り立たない可能性が高い現場も存在する

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