大退職しているのはミレニアル?Z世代?一度味わった柔軟性のある働き方は手放せない

大退職時代・Z世代

DisobeyArt / ShutterStock

アメリカでは今、経済活動の本格的再開に伴い、サプライチェーンの逼迫問題、人手不足が深刻になっている。

人手不足が賃金上昇を招き、サプライチェーンの混乱による物資の供給不足とエネルギー価格の上昇、好調な株式市場、パンデミック対策としての大規模な財政出動の影響も手伝って、物価の高騰が進んでいる。

スーパーでもレストランでも、価格の上昇や人手の足りなさを明確に感じる。9月末の段階で、全米では1040万の求人が満たされていない(Bureau of Labor Statistics 労働統計局のデータによる)。

新型コロナウイルスの感染が拡大し始めた頃は、「自分も解雇されるかも」という恐怖を抱き、どうにか今の職場に留まりたいと願う労働者が多かった。その懸念に対し、アメリカ政府は職を守ることを優先事項の一つとし、企業への補助金も気前よく配布した。実際多くの企業がきつい状況の中でも、なるべく従業員を解雇しないよう努力していたと思う(それが補助金を受ける条件の一つでもあった)。

それでも2020年4月には2400万人近くが失業し、実質失業率が14.7%に達した。これは1940年以来、最悪の数字だった。

過半数が新しい仕事を探すという衝撃

ワクチン接種

アメリカでは5歳から11歳の子どもへのワクチン接種も始まった。

EVELYN HOCKSTEIN / Reuters

しかしそれから約1年、アメリカではワクチン接種が一巡し、経済活動が再開し始めた頃から、まったく違う様相を呈している。企業による求人は増えているのに、仕事を辞める人の率が歴史的に高く、結果的に労働市場の需給バランスが過去数十年になかったほど逼迫している。その一方で失業率も下がっているものの、依然として高い(10月時点で4.6%)という珍しい状況が4月以降ずっと続いている。

2021年春、マイクロソフトは「2021 Work Trend Index」の中で、「世界の労働者の41%は、2021年中に今の職場を離れることを考えている」というデータを発表。衝撃を持って受け止められたが、8月には、Bankrate Surveyも「アメリカの労働力人口の55%が、今後12カ月の間に新たな職を探すつもりだ」というデータを発表、同じく8月にPwCがアメリカで行った意識調査でも、労働者の65%が新たな職を探していると答えている。

考えている人全員が実行する訳ではないだろうが、それにしてもなぜこれほどの人が退職や転職を考えているのだろうか。実際、勤めを辞めた人の数字は4月以降高止まりし、5月に若干下がったものの、それ以降毎月記録を更新している。

statista

アメリカの求人数、離職数、解雇・一時解雇を示したグラフ。2021年からは求人数が増えているが、離職数(赤いグラフ)も増加している。

statista

この現象をマクロ経済データが出る以前の2021年5月に予測し、「Great Resignation (大退職時代)」という言葉を生み出したテキサスA&M大学のアンソニー・クロッツ(Anthony Klotz)教授は、一躍有名人となった。

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