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アメリカ政府による75兆円の中小企業支援策。金融機関はどう対応したのか

  • この記事はインサイダー・インテリジェンスによる調査レポート「アメリカ政府の中小企業支援策:給与保護プログラムPPP Small Business Loans)」のプレビュー版。

アメリカ政府は2020年4月、新型コロナウイルスのパンデミックで苦境に立たされている中小企業が銀行から資金援助を受けられるようにする、歴史的な「給与保護プログラム(Paycheck Protection Program:PPP*)を開始した。2度にわたって実施されたPPPでは、合わせて6590億ドル(約75兆2000億円)という巨額の予算が割り当てられたが、1回目の3490億ドルは2週間足らずで底を尽きてしまった。続く2回目では、批判的な世論を受けて大企業が受給したローンを返上したり、複雑な要件や不明瞭な返済免除のガイドラインにより中小企業が申請を控えたりして利用が減少した結果、2020年8月8日の申請締切時点で1340億ドルが未使用となった。

(*金融機関からの融資の形を取るが、雇用維持など一定の条件を満たせば返済が免除されるため、給付金的な側面がある)

そのとき、銀行はどう動いた?

グラフ

PPPの第1回目は混乱も多く、申請者の80%は締切日時点で「入金待ちで、手続きの現状について情報が得られていない」状況だった。

Business Insider Intelligence

PPPのもと積極的に融資を行った銀行は、新規顧客を獲得し、規制当局からの信用を得て、合計で数十億ドルにのぼる融資手数料の一部を手にすることができた。

出だしの躓きにもかかわらず銀行は大方の目的を達成。5250億ドルの支援金をそれを必要としていたアメリカの中小企業に届けた。一部の銀行でPPPローンの申請書に不備があったり、最も必要とされる地域に資金が行き渡らなかったり、金融機関によっては大規模なローンを優先して承認する傾向があるなどの課題も散見された。だが申請締切までに、ほとんどの問題が緩和または修正された。目下のところ金融機関の仕事はローン返済免除の申請処理に移っているが、これはローンの承認以上に大変な仕事かもしれない。

多くの打撃を受けた産業分野は?

コロナによる打撃が特に大きかった州に資金を行き渡らせることに関しては、1回目よりも2回目の方がうまくいった。だが最も大きな打撃を受けた産業分野への資金提供については、実績はまちまちだった。医療分野のように多額の資金を必要とし、それが供給された業界もあった。だが、宿泊や飲食業などコロナの影響が特に深刻だった業種は、十分な支援を受けることができなかった。

以下に、PPPに参加した主な金融機関についての概要を記す。

グラフ

PPPローンの融資手数料の総額をローンの規模別に示した図。濃紺:融資額3万5000ドル未満、グレー:融資額3万5000ドル以上200万ドル未満、青:200万ドル以上

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JPモルガン・チェース(JPMorgan Chase 融資額:293億5000万ドル)

JPモルガン・チェースは、承認総額ではトップで、1件あたりの平均融資額も比較的低く抑えられている。2020年8月8日の時点で総額293億5000万ドルを承認しているチェースは、最大の資金提供者となっている。チェースの平均融資額は10万4760ドルで、プログラム全体の平均融資額10万1000ドルをわずかに上回っている程度。1回目のPPPにおける同行の平均融資額51万5304ドルと比較すると、かなり優秀だ。

バンク・オブ・アメリカ(Bank of America 融資額:255億6000万ドル)

アメリカの中小企業向け融資市場におけるバンク・オブ・アメリカのシェアと比較すると、PPP 融資における同行のシェアは相対的に低かった。2020年6 月 30 日の時点で、バンク・オブ・アメリカは PPP ローン全体の 4.6%を承認している一方で、中小企業向け融資市場での シェアは9.5%で、その差は同業者の中でも最大となっている。だがこれは、PPPの1回目で記録した8.3ポイント差よりもはるかに小さい。

BMOハリス(BMO Harris 融資額:48億4000万ドル)

BMOハリスは、プログラムに参加した主要金融機関のなかで最も平均融資額が大きかった。その額は21万9888ドルで、同規模の銀行キーバンク(KeyBank)やM&T バンク(M&T Bank)より多いが、PPPの1回目より平均融資額を減らすことに成功している。

クロスリバー(Cross River 融資額:65億5000万ドル)

ニュージャージー州が本拠地のクロスリパーは、プログラムに参加した主要金融機関のなかで最も規模の小さい銀行。同行は総資産の66%という驚異的な額のローンを承認した。融資額は65億5000万ドル、平均融資額は3万2960ドルで、主要金融機関のなかで最も平均融資額が少ない。この地方銀行は少額ローンの処理に精通しており、その素晴らしいパフォーマンスはキャベッジ(Kabbage)やクイックブックス(QuickBooks)などのフィンテックとのパートナーシップによって支えられている。

ウェルズ・ファーゴ(Wells Fargo 融資額:106億ドル)

ウェルズ・ファーゴの平均融資額は5万4501ドルと、クロスリバーに次いで2番目に低く、総額で106億ドルのローンを承認した。大手銀行のウェルズ・ファーゴは1回目のPPPが終了した後、プログラムに本腰で取り組まなかったと批判を受けた。また、5月5日に提出された決算報告書からは、集団訴訟の事実や、PPP融資に関して連邦・州政府機関から問い合わせを受けていることが明らかになっていた。だが、同行は「額が大きいローンを優先的に承認しているのではないか」との懸念を払拭するため、相当の努力をしているようだ。

最も優良なPPPローンの貸し手

グラフ

中小企業の「取引銀行に対する印象」はPPPローンの申請以降どのように変化したか。濃紺「変化なし」、グレー「悪くなった」、青「良くなった」。

Business Insider Intelligence

インサイダー・インテリジェンスによる調査レポート「アメリカ政府の中小企業支援策:給与保護プログラム」では、各金融機関がどのようにPPPを実施したのかを調査。全3回の最終アップデートとなる本レポートでは、以下の企業を取り上げている。

バンク・オブ・アメリカ(Bank of America)、BMOハリス(BMO Harris)、シティバンク(Citibank)、クロスリパー・バンク(Cross River Bank)、JPモルガン・チェース(JPMorgan Chase)、キャベッジ(Kabbage)、キーバンク(KeyBank)、M&T バンク(M&T Bank)、ペイパル(PayPal)、PNCバンク(PNC Bank)、トゥルイスト・バンク(Truist Bank)、USバンク(U.S. Bank)、ウェルズ・ファーゴ(Wells Fargo)

本レポートではまず、貸し手によるPPPローンの承認パターンに関する入手可能なデータを調査。2020年8月8日のプログラム終了時点までに、資金が主にどのような金融機関を通して、どのような地域や業界に届けられたのかを明らかにする。また、アメリカの中小企業に対する救済策として、プログラムがどの程度有効だったのかを評価し、パンデミックが続く中で今後考えられる取り組みを予想する。

本レポートの完全版では:

ppp-small-business-loans-second-round-upate-november-2020-1copy_720x

  • 中小企業庁(Small Business Administration)の公式データに加え、企業の報告書や決算報告書、学術論文、アナリストの調査などの追加資料を組み合わせ、2020年8月8日の申請締切時点で、さまざまな金融機関がどのようにPPPの融資を実施したかを明らかにする。
  • PPPローンの規模やそれぞれの金融機関が得た手数料の総額、PPPに参加した主な金融機関の融資総額や平均融資額について調査。
  • 産業別、地域別に承認されたローンの数字を分析し、そこから得られた主なポイントについて解説する。

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[原文:PPP SMALL BUSINESS LOANS: How $525 billion in coronavirus-linked loans were spread across banks lenders

(翻訳・野澤朋代)

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