3000mの深海でマンモスの牙を発見…DNA解析でコロンビアマンモスのメスと特定

Members of the science team at the Monterey Bay Aquarium Research Institute observe the mammoth tusk.

マンモスの牙を観察するモントレーベイ水族館研究所の研究チームのメンバー。

Darrin Schultz ©2021 MBARI

  • 海面からおよそ1万フィート(3048m)の深さで、長さ3フィート(約91cm)のマンモスの牙を科学者たちが発見した。
  • 深海は化石の保存には適しているが、マンモスの化石が深海から見つかることはめったにない。
  • この牙は若いメスのマンモスのものだった。科学者たちはこの牙から彼女がどのように生活していたのか手がかりを探している。

素人目には巨大な丸太に見えたかもしれない。科学者たちは2年前、カリフォルニア沖の海底で長さ3フィート(約91cm)の珍しいものを発見した。マンモスの牙だ。

2019年にモントレーベイ水族館研究所(Monterey Bay Aquarium Research Institute)の研究チームは、海面下約1万フィート(3048m)の海底の山を探索中にこのマンモスの牙を発見した。

「これまでにも海からマンモスの化石が採取されたことはあったが、深海にあるのは珍しい」とミシガン大学(University of Michigan)の古生物学者ダニエル・フィッシャー(Daniel Fisher)はプレスリリースで述べている。

科学者たちは、270万年前から20万年前の前期旧石器時代(Lower Paleolithic)に生息していた若いメスのコロンビアマンモス(Columbian mammoth)の牙であると判断した。そして今後、このマンモスの正確な年齢と、食生活や繁殖の頻度などその生活の詳細を明らかにしようとしている。

「これは『インディ・ジョーンズ(Indiana Jones)』と『ジュラシック・パーク(Jurassic Park)』が混ざったようなものだ」とカリフォルニア大学サンタクルーズ校(University of California, Santa Cruz)の博士研究員、ケイティ・ムーン(Katie Moon)はニューヨーク・タイムズ(The New York Times)に語った

この発見は最終的に、深海に隠された他の古代動物の化石の存在を示唆することになるかもしれない。

ship’s laboratory

船内の実験室で大きな牙を洗浄する準備をするモントレーベイ水族館研究所(MBARI)のシニアサイエンティスト、スティーブン・ハドック(左)、カリフォルニア大学サンタクルーズ校の博士研究員ケイティ・ムーン(中央)、ミシガン大学の古生物学者ダニエル・フィッシャー(右)。

Darrin Schultz © 2021 MBARI

2年前、科学者たちはマンモスの牙の一部を折った

モントレーベイの科学者たちは、2年前の2019年、マンモスの牙に遭遇することを想定していなかった。当時、研究チームは遠隔操作の探査機を使って深海の生物を探索していた。

「深海を探検するときは、『予想外のことを期待』するものだが、それでも太古のマンモスの牙に出くわしたのには驚いた」と、モントレーベイ水族館研究所(Monterey Bay Aquarium Research Institute)のシニアサイエンティスト、スティーブン・ハドック(Steven Haddock)はプレスリリースで述べている。

科学者たちは直感で海底から牙を回収することを決めたが、先端が折れてしまって完全な標本を採取できなかった。その後、チームは2021年7月に現地を再び訪れ、残りの牙を手に入れた。この時はスポンジのような柔らかい素材を探査機に取り付け、ロボットアームで牙をそっと持ち上げたという。

牙を完全に採取できたおかげで、より多くのマンモスのDNAサンプルを得ることができ、それをもとにマンモスの種を特定することができた。

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