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「罪悪感ドリブン」をやめ、心地よい選択を。ウェルビーイングな状態を作るためのヒント

カンファレンスに登壇した3人。左からMASHING UP編集長遠藤祐子、TSUMUGI取締役はしかよこさん、エクラ・コフレ17代表取締役小高千枝さん

撮影:中山実華

人とのコミュニケーション方法や、自分との向き合い方が大きく変わったこの約2年。自分を愛すること、労り、肯定することに課題を感じている人も少なくない。

2021年6月26日に開催されたオンラインカンファレンス「Women's Well-being Updates 2021」では、トークセッション「『私なんて』って言いがちな人のための、自分の心とのつきあい方」が展開された。

登壇者は公認心理師であり、女性が自ら自分の人生を創るための生き方・働き方支援をおこなうエクラ・コフレ17代表取締役の小高千枝さん、「自分にも地球にもいい暮らし」をテーマにコミュニティを運営するTSUMUGI取締役のはしかよこさん。MASHING UP編集長の遠藤祐子がモデレーターを務め、現代を覆う“生きづらさ”の正体、そして自分の気持ちと向き合いウェルビーイングな状態を作るためのヒントを話し合った。

「私なんて」と思うことは誰にでもある

公認心理師 / エクラ・コフレ17代表取締役の小高千枝さん

公認心理師 / エクラ・コフレ17代表取締役の小高千枝さん。自分を俯瞰し、メタ認知するための方法など、プロフェッショナルな立場から多くのアドバイスをおこなった。

撮影:中山実華

会議で発言を求められたときや、昇級・昇格を打診されたとき、とっさに頭をよぎる「いや、私なんて……」という言葉。このように自分の実力を内面的に肯定できない心理傾向を「インポスター症候群」と呼ぶが、その経験は、日々さまざまな人たちから相談を受けるメンタルケアのプロフェッショナルである小高さんですらもあるという。

例えば疲れている時やストレスを感じている時など、「私なんて」と思う時には必ずきっかけがある、と小高さんは説明する。

「最近では、SNSの情報に飲み込まれて自分を見失い精神がアンバランスになったり、物事との距離の取り方がわからなくなったりする人も増えています。コロナ禍で在宅が増えたことも関係しています。外にいれば自然に入ってきていた『自分は興味がないこと』が遮断されたことで、心の余白がなくなり、視野が狭くなってしまうのです。そういう時は、自分を取り巻く環境から一歩引いて、全体を俯瞰してみることが大切です」(小高さん)

これに対して、「一歩引いて俯瞰してみる。何に対して悩んでいるのかメタ認知するというのは、いい手段ですね」と遠藤もうなずく。

比べる対象をリセットする

TSUMUGI取締役のはしかよこさんさん

TSUMUGI取締役のはしかよこさん。セッションでは、以前Googleが開催した「#IamRemarkable」というワークショップに参加した際のエピソードなども語られた。

撮影:中山実華

はしさんはイェール大学のオンライン講義「The Science of Well-Being」を受講した際、名門校の学生でも「私なんて」と思っている人がたくさんいることに驚いたという。

「講義で印象的だったのは、リセット・ザ・リファレンス(比較対象をリセットする)が大切だということです。どんなにいい学校や企業に所属する人でも、周りのすごい人たちと比べたら『私なんて』と思ってしまう。しかし比べるのではなく、自分が今の状況に対してどう感じているのかを見定めることが重要です」(はしさん)

「『私なんて」と思ったり悩んだりすること自体は、自分が前進し成長している証。悩みがないことは平和でいいことですが、そればかりだと成長しない。大切なのは、ここでも自分が置かれている状況を俯瞰してみること」と小高さんは語った。

女性は100%じゃないと自己肯定できない?

セッションでトークするはしさんと小高さん

日々の暮らしで自分と向きあい、楽しむことが大切と語る、はしさんと小高さん。

撮影:中山実華

インポスター症候群は、中でも女性に多く見られるという。その理由について小高さんは、女性の保守的なところが関係していると指摘する。

「ある調査で、仕事において自分がどれだけできていたら昇格を受け入れるかという質問に対し、男性の平均は『60%』だったのですが、女性は『100%』と回答する人が多かったというものがあります。保守的になってしまうがあまり、チャレンジして失敗したくないという恐れをもつ女性は多いのです」(小高さん)

遠藤も、「丁寧で慎重という良い面もある一方で、何でも100%じゃないと自分を責めてしまう、というのは女性に多いですよね」と同意する。

「罪悪感ドリブン」ではなく、楽しいほうを選ぶ

トークを楽しむ3人

撮影:中山実華

セッションの後半では、「100%」だけでなく「正しさ」が正義になり、それにより自分の首を絞めてしまうことの危うさについても語られた。

はしさんが運営する生活共同体TSUMUGIでは、メンバー同士で協力して、オーガニック野菜を栽培するなどの活動をおこなっている。そして、丁寧に暮らすことの大切さを発信しているが、そこに陥りがちな落とし穴も存在するという。

オーガニック野菜の栽培は楽しいからやっているのであって、それが『それじゃないといけない』という罪悪感からやるという、『罪悪感ドリブン』に陥ってしまった場合は危険。オーガニックの野菜やコンビニのご飯、冷凍食品のいずれもが同じ選択肢で、一番大切なことは自分自身も満たされることだということを発信していきたいです」(はしさん)

ウェルビーイングとは主観的なもの。「人がこういうから」ではなく、自分自身で「私はこれがいい」という道を選択し続けることで、心も体も満たされた幸福な自分に近づくことができる。

大切なのは、人と比べるのでも、「罪悪感ドリブン」に従うのでもなく、まずは自分の心と向き合うこと。それを積み重ねることで、「私なんて」から脱却し、より良い自分に出会えるはずだ。

セッション後撮影された記念写真

撮影:中山実華

Women's Well-being Updates 2021

『私なんて』って言いがちな人のための、自分の心とのつきあい方
小高千枝(公認心理師 / エクラ・コフレ17代表取締役)、はしかよこ(TSUMUGI取締役)、遠藤祐子(MASHING UP編集長)

MASHING UPより転載(2021年9月17日公開


(文・中島理恵)

中島理恵:ライター。神戸大学国際文化学部卒業。イギリス留学中にアフリカの貧困問題についての報道記事に感銘を受け、ライターの道を目指す。出版社勤務を経て独立し、ライフスタイル、ビジネス、環境、国際問題など幅広いジャンルで執筆、編集を手がける。

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