2021年の「ブラックフライデー」「サイバーマンデー」商戦は、Eコマース事業者が軒並み苦戦するなか、巨人アマゾンが底力を発揮した。
Brendan McDermid TPX Images of the Day/Reuters
アマゾンは7日間限定(11月26日〜12月2日)のセール「ブラックフライデー」で売上高を大きく伸ばし、Eコマース分野の競合他社を引き離した。
同社はブラックフライデーについて、サイバーマンデー(11月29日)も含めて売上高など実績のわかる詳細は公表していない。
しかし、社内向けはもちろん別で、サンクスギビング(11月25日)に続く買い物シーズンの営業パフォーマンスが共有されている。
Insiderは一部の管理職向けレポートを独自に入手。その数字をみると、アマゾンのブラックフライデーの売上高は、苦戦を強いられた(Eコマースの)競合他社を尻目に、前年比10%以上の増加を記録した。
以下では販売データの一部を紹介しよう。
[ブラックフライデー]
- 販売商品点数:前年比プラス4.36%
- 売上高:前年比プラス10.68%
[サイバーマンデー]
- 受注商品点数:前年比プラス7.5%
- 販売商品点数:8130万点(1分あたり平均5万6000点)
- 「レブロン ワンステップ」ヘアードライヤーの販売点数:14万5000台(1分あたり100台)
- フルフィルメントセンターからの出荷点数:5650万点
Eコマースにとって厳しい状況が続いた年にもかかわらず、こうした売上高(あるいは販売商品点数)の成長を実現できたことで、アマゾンのレジリエンス(強靭さ)が浮き彫りになった。
新型コロナ感染拡大が続いた2020年は、行動制限のもとで買い物客がオンラインに殺到し、Eコマースが急拡大。ところが、行動制限が順次解除された2021年は、実店舗に足を運ぶ消費者が増え、Eコマースにとっての状況は一変した。
また、2021年はサプライチェーンの混乱とモノの供給不足も大きな影響があった。
デジタルデータ分析のアドビアナリティクス(Adobe Analytics)によれば、ブラックフライデーとサイバーマンデー、いずれもEコマース経由の総購入額は前年比でマイナスを記録。
より詳細な数字をあげると、サイバーマンデーの購入額が107億ドル(約1兆1800億円)で前年比マイナス1.4%、ブラックフライデーが89億ドル(約9800億円)で前年比マイナス1.3%だった。
サンクスギビングからサイバーマンデーを含む週末の総購入額でみても、前年比マイナス1.4%の339億ドル(約3兆7300億円)と、Eコマースは全体として伸び悩んだ。
アマゾンだけが成長できた理由のひとつは、Insiderが以前から報じているように、競合他社を圧倒するロープライスと考えられる。
Eコマース向け分析ツール開発を手がけるプロフィテロ(Profitero)の最新調査によれば、アマゾンはわずかひとつを除くすべての商品カテゴリーで最安値の商品を販売し、競合する小売り事業者との比較では平均14%安い価格で商品を提供している。
(翻訳・編集:川村力)